徒然なるままに 

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シャープの落日

2016年02月25日 | 日記・エッセイ・コラム

シャープが台湾の鴻海精密工業に買収されることになった。
昨年5月には資本金を減資するなど債務超過が隠し切れなくなっていた。
自転車操業を繰り返したあげく、ついに進退窮まり、産業再生機構のもとで解体的再建を目指す予定だった。
そこに、割り込んできたのが鴻海である。
7,000億の大金を手土産に、
「経営陣は更迭しない」
「会社の解体はしない」
「従業員のリストラはしない」
などの甘い提案を受け、驚いたことに、シャープの経営陣は自ら買収される道を選択したのである。
怒りを通り越して呆れてしまった。



鴻海といえば、iPhoneの組み立てで知られるEMSの大手である。
EMSとは、大量の非正規社員を雇い入れて電子機器の組み立て作業を請け負う、労働集約型ビジネスである。
中国に工場を造りたくないメーカーにとってはまことに都合がよい。
アップルだけでなく、HPやソニーなどの上客がついて、今や売り上げは15兆円に達するという。
でもそれだけことだ。
製造技術には長けても開発力があるわけではない。
メーカーに脱皮するために、シャープの技術を買い取ることにしたのだろう。

かつて、経営難に陥った日産がルノーの傘下に入った。
客離れを恐れた日産は、「買収されたわけではなく、パートナーになった」と苦しい説明を繰り返した。
このとき、日産もルノーも年間生産台数はほぼ同等の200万台だった。
あれから約20年が経ち、日産の生産台数は550万台に達し、世界有数のビッグメーカーになった。
一方のルノーは経営不振に陥り、生産台数も20年前と変わらない。
それでも、日産の親会社として経営権を掌握したままである。
日産は確かにルノーの下で成功したかもしれないが、それは日本人が望むような成功ではなかった。
日本向けの車づくりを放棄し、生産の大半を海外で行っている。

シャープの企業スローガンは、「目指してる、未来がちがう。」である。
買収されるシャープにはどんな未来があるのだろう。
中国化し、利益重視で技術力は減退し、物まね商品を薄利多売するだけの会社に成り下がっているかもしれない。
再建できても、日本人が望むような成功にならないことだけは確かである。

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