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WALKER’S 

歩く男の日日

6日目 民宿えびす(海陽町)~うまめの木(室戸市)

2015-06-08 | 15年四国の旅


 夜明け前から雨が降っています。データボタンでレーダー画像を確認すると真っ赤な雨雲の帯が高知県西部から県境に近づいています。しかも今日は1日中雨の予報、岬の雨は油断なりません。
 ここまで5日連続で雨にあったけれど、1日目=1時間、2日目=5分、3日目=2時間、4日目=3時間、5日目=30分、ぐらいで、太龍寺の下りで転んだことを除いて、あまり痛手を受けたという感じはしていなかったのですが、今日は本格的にやられそうな感じがします。何しろ、1巡目の室戸が大雨で親友から祝い事のお返しでもらった大切な折り畳み傘を駄目にしてしまった。すぐ、野根の荒物屋さんで新しい傘を買うことになってしまった、その時の印象が12年経っても忘れられません。
 朝食は6時から摂って6時半から発つこともできたのですが、赤い帯がまさに県境にかかろうとしていたので、行き過ぎるのを待って7時14分の出発となりました。



 7時20分、水床トンネルを抜けるとそこは高知県東洋町、写真でもすごい雨が降っているのが判るようです。


 8時02分、生見海岸、東洋町役場の近くにある元コンビニの前までやってきました。えびすからタイムをとったことはないのですが、時速から換算するとベストタイでした。風がほとんどないので傘をさしていても全くハンデにはなりません。合羽を着込む方が中が蒸れてかえって体力の消耗が激しいかもしれません。
 元はヤマサキショップだったのですが9年前ぐらいにつぶれてそのままになっていたのが、2年ぶりに来てみるときれいに再生していました。何の建物かはよく分からないのですが。
 生見海岸から5700mの地点にあるゴロゴロ休憩所まで53分57秒でやってきました。ベストより30秒遅れです。ちょうど歩きの男性が出発したところ、その200mほど前にも人影が見えます。9時ちょうどだから宍喰を早めに出た人たちでしょう。
 15分ほど休んで、9時15分に発ちます。出発を大部遅らせたのでゆっくりしているわけにもいきません。携帯では写真を撮ったのですが、急いていたのか写真を撮り忘れてしまいました。


 ゴロゴロ休憩所から5,5km、東洋町から室戸市に入ります。この少し前でゴロゴロを先に発った二人を追い抜きました。二人目の人はベテランさんでした。朝食は摂らずぼくより1時間ほど先に発ったそうです。雨足はそんなに強くなく風も落ち着いているので機嫌良く歩けています。靴の中はぐっしょりですが。
 ゴロゴロから8300m、佛海庵の近くにあるバス停がタイムチェックポイント、76分53秒、ベストより20秒だけ遅れました。遅れたといっても時速は6.48kmだから申し分のない歩きです。実際9回歩いて2番目の記録、しかも雨も降っている。バス停ではカートを持った野宿の男性が休んでいました。いつもはここで休むことにしていたけれど、今回からもう少し先の佐喜浜の町中で休みます。
 国道を離れてしばらく行くと、若者がうろうろしています。休むところを探しているのか自動販売機を探しているのか。橋を渡ったところにスーパーがありますよ、と伝えるとにっこり安心したようでした。


 11時02分、佐喜浜のスーパーフェニックスに到着、入口の横にあるベンチで昼食です。すぐ若者が追いついてきてスーパーの中でお弁当を買っています。ぼくは昨日買った芋けんぴ。そうしたら、スーパーの奥さんが熱いお茶を入れてくれました。早くも今年5回目のお接待です。
 スーパーで休んでいたら、佛海庵の近くで追い抜いた年配夫婦がやってきました。休みますかというと、宿はもうすぐだからといってそのまま行かれました。ロッジ尾崎まで3kmちょっと。13時までに着いてしまいます。もうこれ以上雨の中にいたくないという感じかもしれません。その後にベテランさんがやってきました。また、休みますかtと訊くと、近くの食堂で昼食を摂るといって、また先に行かれました。ここまで出会った歩き遍路さんは11人、この後は岬までひとりぼっちでした。
 35分ほど休んで、11時40分に出発、宿まであと20kmだから、休憩、お参りの時間を入れても16時までには楽に宿に着きそうです。
 スーパーから4kmの所にある民宿徳増がタイムチェックポイント、佛海庵の近くのバス停から64分09秒、ベストタイです。時速は6.58km、2年前の歩きとは大違い。
 室戸までの道は国道で新しい舗装道だけれど、四国全部を通じてのハイライトと言えるへんろみちです。その醍醐味のあるへんろみちを全く辛い思いで歩くしかなかった2年前は本当に最悪でした。リベンジという言葉は嫌いだけれど、この道だけはしっかり楽しく歩き直しておきたいという気は満々でした。すごい雨でそんなこといってる場合ではないという感じだったのですが、ここまでは本人も意外なくらい足が自然に動いてくれて大満足。


 13時00分、椎名郵便局に到着です。雨が降っていて風もあるので軒下でしか撮影できません。徳増からの5000mを44分17秒、時速は6.77km、ちょっと信じられないくらい、追い風の時間が長かったのが原因かも。


 雨が降ったら郵便局で休ませてもらうことは決めていました。佐喜浜から8.9km、この付近に適当な休み場所はないはずです。ここから24番札所まで9.5kmだから、バランスは申し分ありません。
 キットカットをお接待してもらいました。今年6回目のお接待です。女性局員さんから清原が歩いていると聞きました。3月の末に徳島を歩いていたから、もう高知には入っているのではないか、と言われたのですが、帰ってから調べるとこの日薬王寺に着いたということでした。1日に15kmしか歩けないほどひざを痛めているようです。
 椎名郵便局では12分ほど休ませてもらっていっぱいお話もできました。
 13時12分に出発したのはいいのですが、天気の様子がちょっと違ってきました。風が強くなって傘があおられるようになります。しかも、方角が一定しなくて右往左往する感じで歩きに集中できません。時に突風が来て傘を持って行かれそうにもなるので、これは駄目だと、傘をたたみました。こんな所で壊されたのではたまりません。風は相当な強風で岬の木々がうなりを上げているような感じすらしたのですが、雨足はそんなに強くなかったので合羽は出しませんでした。もう最後の区間だし下半身はしっかり濡れているから、今更という感じでもあります。それに何より宿で乾かしてたたみ直すことを考えたら濡れた方がましという気になります。宿に着けば濡れたものは全部洗濯機に放り込んで、自分は風呂に浸かって乾いた衣類を着ければそれは極楽、それまでの我慢だと言い聞かせながら室戸台風の中を濡れ鼠でひたすら歩き続けます。もちろんカメラは使えません。
 14時45分、24番札所最御崎寺の登り口までやってきました。郵便局から87分もかかってしまいました。ベストより6分遅れですが、これは納得。ベストを出したのは徳増から歩き出した時だし、何よりこの荒れくれた天気の中だから、たどり着けただけで偉い。登り口からお寺までは距離にして700m、時間にして14分、険しい山道ですが木々が雨をいくらか防いでくれるので国道を歩くよりは気分は落ち着いています。
 15時ちょうど最御崎寺山門前に到着、ここのお大師さんが好きでいつもカメラを向けるけれど、今回は諦めるしかありません。境内には車で来ている人が3人ばかり、当然のこと歩き遍路さんの姿はありません。24番にお参りする歩きの人は朝、徳増かロッジ尾崎から来る人がほとんどだから正午までにお参りを終えてしまいます。
 ライターがぐっしょり濡れてなかなか灯明に点火できません。雨の日はこういう苦労もあります。お参り納経を終えて、15時17分にお山を下ります。宿まで1750m、大変な1日もまもなく終了です。

 15時35分、本日の宿うまめの木に到着、若女将が出迎えてくれました。「歩きですか」、「はい」、「今日はみなさん歩きですね」。というのもこの宿は普通の歩き遍路さんが泊まりにくい所に位置します。徳増、ロッジ尾崎から16kmなのでかなりゆる足の人でも5km先の25番の近くの宿まで行けてしまうし、徳増の手前の宿は生見海岸までなくて37km歩かないとこの宿に到達できないというわけです。事実2年前泊まったときの同宿は自転車遍路と車で来た観光客でした。本日の同宿も一人は徳増から来た人で、もう一人はこの宿の評判を聞いてどうしても泊まりたくて昨日は佛海庵まで歩いてバスで生見海岸まで引き返して、今日はまた佛海庵までバスで来たということでした。佛海庵からだと24kmぐらいです。そういうことで二人ともぼくより大部早めに着いたようです。
 「前に来られたことありますよね」「はい2年前にお世話になりました」、当たり前のような受け答えですがそんなにあることではありません。2回目ですぐ気がついてもらえたのは、今はなくなってしまった足摺の宿(20代の若女将の優しい笑顔が忘れられない)と高松のビジネス旅館三鈴くらい、それ以上だったのが須崎の柳屋旅館。2回目1年ぶりに予約を入れたとき、自分の名前を告げた瞬間「ああ、昨年来られた方ですね」と言われ度肝を抜かれてしまいました。珍しい名前でもないのに声だけですぐ思い出せるなんて、今でも信じられないくらいです。おかげで柳屋旅館には6年連続、その後もう1回泊まることになってしまいました。
 玄関には先に着いた人のシューズが2足、中敷きをはずされ新聞紙が詰め込まれて立てかけてありました。
 「靴はそのままにしておいて下さい、後でちゃんとしておきますから」といってタオルを手渡されました。これも全然当たり前のことではありません。靴の中がずぶぬれで宿に到着しても、古新聞いただけますかとお願いして自分で詰め込むことがほとんどでした。タオルを手渡してもらったことも一度もありません。
 2年前と同じ部屋に案内され「洗濯物はこのかごに入れておいて下さい。後で取りに来ますから、お風呂は今入ってる方が出られたら案内しますので」、洗濯はもちろん無料、お湯は一人一人入れ替えてもらえます。3部屋だからできることかもしれないけれど、同じことをしてくれるのは宇和島の遍路宿もやいしかこの時点では知らなかったですね。
 夕食の写真は4月10日付のブログで確認して下さい、デジカメでは撮りませんでした。何から何まで本当に至れり尽くせりの最高の遍路宿だと言っていいと思います。こんな素晴らしい宿に多くの歩き遍路さんが来られないのは本当に残念です。徳増も、金剛頂寺宿坊もたいそう良い宿ですが。

  6日目の歩行距離  42.3km
      歩行時間  6時間44分  室戸岬ときっちり向きあえて大満足
      平均時速  6.28km

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