尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

ロマンと哀愁-函館旅行②

2015年10月12日 00時01分45秒 |  〃 (温泉以外の旅行)
 函館の旅、2日目。函館は主要な観光地を路面電車(市電)で回れる。そのレトロな感じが好ましい。市電の一日乗車券(600円)は3回乗れば元が取れる。ホテルで朝食を食べて、まずは駅前の朝市へ。話には聞いていたが、中国人観光客でいっぱいで、顔で判別できないから、店側では軒並み中国人と見て声を掛けてくる。非常に広いので、回るだけでも大変だけど、海産物のお土産をいくつか買った。名物の海鮮丼も、さまざまな店がズラッと並んでいて壮観。

 そこから、市電で「五稜郭公園」に行く。駅や港の方ではなく、五稜郭一帯が一番の繁華街だった。地元の人々の歓楽街で、デパートや飲食店が立ち並んでいた。「五稜郭タワー」の入場券が旅行にセットされたので一応行ったけど、今回はタワーに上っただけ。20数年前に来たときに、五稜郭の中も歩いている。中にいても形は判らず、タワーで上から見ないと形は実感できない。以前は、函館と言えば戊申戦争終結の地という印象が自分にはあった。そして、榎本武揚らの旧幕軍にもシンパシーがあった。今も、函館では土方歳三らの「男のロマン」を観光資源にしている気がする。だけど、僕はもうそれほど入れ込めない。勝つ可能性など皆無だったのだから。(写真最後は朝市)
   
 函館は長いこと北海道最大の都市だった。調べてみると、1940年に札幌に抜かれて2位となった。60年代初期に旭川に抜かれて、その後は道内3位となっている。(1922年に道内で6市が誕生し、他に小樽、室蘭、釧路が市制を敷いた。)昔は北海道に来る人は、必ず函館を経由していた訳だから、栄えていたわけである。だから、「北海道初の○○」といったものが多い。「近代化遺産」の宝庫である。大体、港町はモダンな近代化遺産が残されていることが多いが、北海道の港町はその後の経済的苦境もあって、さびれた風情も漂わせている。函館は最初の開港地であり、啄木など多くの文学者が寄留した町で、モダニズムを基調としながら、今では港町の哀愁を感じさせる町でもある。

 五稜郭公園の脇に六花亭が店を出しているので、ここで休んでホットケーキを食べる。さすがに美味しいんだけど、季節ものの栗きんとんが案外期待外れだった。いったんホテルへ帰って、夕方以降の服装に変えて再度出かける。カール・レーモンで食べた話は次回に回して、元町公園あたりを散策。何と言っても重要文化財の「旧函館区公会堂」が壮大なレトロモダンですごい。大火後の1910年に建てられた。「ハイカラ衣装館」があって、ドレスアップした西洋のお姫様のような女性が闊歩している。
    
 外も素晴らしいが、2回の大広間にはちょっと呆れた。階段を上っていくと、ベルサイユかエルミタージュかというと、いくら何でも大げさだけど、広々とした空間が広がる。こんなものを作って、舞踏会でもしたんだろうか。バルコニーからの港の景観も素晴らしい。まあ、壮大ともキッチュとも感じるけど、これほどの洋館は見たことがない。不思議な所である。
    
 函館の坂道は素晴らしい。傾斜の先に海があり、物語や映画の舞台にしたくなる。夜景もいいけど、うまく取れなかった。ちょうどナナカマドが見頃だった。市電に乗って終点の「函館どっく前」まで行く。函館山の夜景まで時間があるので、函館市街地のはずれにある「外国人墓地」の方まで歩いてみる。停留所から少し行くと、もう町はずれの感じが漂う。西部劇の舞台かなんかみたいな感じ。高龍寺というお寺もあって、文化財もあるようだったけど、小さな虫が飛び交っていて、蚊ではないから刺しては来ないようだったけど、とても近づく気がしない。ずっと坂を上ると、海に面した墓地が現れてきた。
    
 非常にいい感じではあるけど、やはり墓地なんだから、異国に眠る外国人の境涯を想像して、ロマンと哀愁に浸ることになる。ここまで来るのは大変だけど(坂道を相当登る)、来てみてよかった。夕陽を見られるカフェもあったけど、その休みたい気分のお金をタクシーに回して、ロープウェイ乗り場へ向かうことにした。翌日は車を借りて郊外へ行ったけど、その前にちょうど外国人墓地と反対側の「立待岬」に行ってみた。途中に啄木一族の墓があるが、うまく停まれない。ここも突端という感じがいいんだけど、案外北上半島や津軽半島が目の前にあるんだなあと感じた。海がきれい。
  
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