尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

恵山ドライブ-函館旅行④

2015年10月14日 00時15分51秒 |  〃 (温泉以外の旅行)
 3日目はレンタカーで恵山にドライブ。今回はなぜか同じホテルが三連泊で取れなかったので、荷物運びもあって車を借りることにして、郊外へ。9月末には爆弾低気圧が来て、帰った後には台風の影響で大風が吹いた。その合間に晴れ上がった日が続き、ドライブ日和である。北海道の南に突き出た半島は「渡島(おしま)半島」というが、さらにその半島の南西を松前半島、南東を亀田半島と言っている。恵山(えさん)は、その亀田半島の最先端にある火山で道立自然公園になっている。恵山岬と尻屋崎(下北半島)を結ぶ線が、津軽海峡と太平洋を分ける線だと言う。津軽海峡は日本海に属することになっていて、恵山はちょうど太平洋と日本海を分ける山と言える。

 温泉もあって一度は行ってみたいところだったんだけど、旅行ガイドに出ていない。何でかなあ、どんなところかなあと思い、行ってみることにした。最初に立待岬に寄ってから、海沿いの道をひたすら東へ真っ直ぐ進む。とても気持ちのいいドライブ。車も少ない。最初に目指すのは「道の駅 なとわ・えさん」である。「なとわ」って、何?アイヌ語かなと思うと、なんと「あなたとわたし」を意味するこの地方の方言だとあった。ここには昆布や海苔のお土産がいっぱいあって、そのことはまた後で触れる。

 突端の恵山岬に行くには、山を越してはいけない。山を大回りしないといけないが、とりあえずは山をひたすら登る。つつじ公園や温泉旅館を通り越し、「火口原駐車場」まで車で入れる。もう硫黄臭でいっぱい。今回は登る気で来てないからちょっと散歩するぐらいだが、「賽の河原」に噴気が上がっている様子がよく見える。よく晴れていて気持ちがいい。登り1時間ほどの618mの低山である。だけど、海風の影響と火山活動により、低山ながら高山植物が見られ、独特な植生をしている。
  
 初夏の頃にはツツジが咲き誇るというので、一度登ってみたい山だ。この程度の高度なら、これからでも登れると思う。反対側を見ると湿原風の草原が広がり、海向山(かいこうざん)に向かうコースもある。こっちもいい感じ。道にはフンがいっぱい。これはエゾシカかな。
 
 途中に旅館が二つある。恵山温泉旅館と石田旅館。どっちも掛け流しの恵山温泉に入れるはずなんだけど、なんだか人がいないし、案内もない。どうも平日の立ち寄り湯は夕方かららしい。そう言えば、昔90年代によく北海道に行ってた頃「恵山モンテローザ」というホテルがあったけど、それはどうなってるんだろうなあ。と思いつつ、帰ってから検索してみたら、そのホテルこそ「バブル遺産」として有名な「廃墟」になってると言う。そう言えば、来る途中で巨大な「黄金観音」を見たんだけど、何だろうと思いながら通り過ぎてしまった。それも、そのホテル開発の一環だったのかと思う。今度来たら、是非「廃墟探検」もしてみたいな。さて、山を越える道路はないので、来た道を戻って西回りの国道へ。海へ出たら、ひたすら先を目指す。「ホテル恵風(けいぶ)」で立ち寄り湯と昼食。
 
 温泉は「とどぽっくる」という施設が出来ていて、広いんだけどお昼で誰もいない。けっこう食事客はいたんだけど。ジャグジーやサウナもあって、中は塩素臭がするけど、高温湯と露天風呂が源泉のままだという。でも、高温は入れません。露天風呂は良かった。(今ホームページで見ると、すべて掛け流し・循環併用で、宿泊者専用浴場のみ掛け流しとある。)ところで、源泉は二つあって、恵山岬温泉と水無温泉と書いてある。この「水無温泉」は、岬の先にある「水無海浜温泉」と同じ。これは温泉好きには有名なところで、一日に数時間しか入れない、海の中にある温泉である。そういうところは屋久島の平内海中温泉や式根島(伊豆諸島)の地鉈温泉と同じ。僕はどこも入ってないけど、今回の「水無海浜温泉」もちょうど適する時間帯が朝4時から7時という時期だから、入れない。もう海水になっていて、温泉ではなく海水浴になってしまう。下の写真の石で囲んだところで、上に脱衣所がある。
  
 小さなかわいい灯台があって、中には入れないけど、これもとてもいい。ここが恵山岬とある。灯台資料館もあったけど、入らなかった。
  
 さて、恵山のあたりは昔は恵山町だった。2004年12月に広域合併して函館市になっているので、今回は函館市しか行ってない。函館から見て恵山の裏にあたる水無海浜温泉のあたりは、合併までは「椴法華村」だった。読み方は「とどほっけ」。難読の地名である。この地域は津軽海峡の暖流と太平洋の還流が混じり合う海域で、その恵みが素晴らしい昆布を生むという。そこで採れた昆布が「おとひめこんぶ」という昆布で、北海道プラザなんかに売ってるから家でも食べていた。でも、昆布と言えば日高とか利尻だから、「椴法華」なんていう謎めいた地名も北の方にある感じがする。だけど、実は函館市だったとは。こうして、道の駅に昆布や海苔がいっぱいあった理由が判る。他に物産館みたいなところもなく、そこで買うのがいい。帰り道はその椴法華の地帯を通り過ぎていく。昆布採りの寒村のような地帯がずっと続いていた。そこを通りすぎ、隣の旧南茅部町に入り、道の駅で休むと、そこに「縄文文化交流センター」がある。道の駅の名前も「縄文ロマン 南かやべ」という。ここに北海道唯一の国宝があるのである。それが中空土偶で、中空というのは中が空いているという意味。ヒスイなども出土しているが、それはもちろん糸魚川産で、縄文時代には津軽海峡を越えた濃密な交流があった。

*なお、恵山は常時観測対象の活火山で、噴火の恐れが皆無ではない。御嶽山のように噴火することもありうると函館市のホームページに出ている。だから、あまり宣伝しないのかもしれない。
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