今日、心に響いた文章。
変わらない現実だけど、「変えられる」と私も信じています。
米国留学中の銃による死、服部剛丈さん当時16歳。その事件から30年。
父政一さんと母美恵子さんは、その後、銃社会の見直しを米国に今まで求めてこられました。
「待っていても何も変わらない。でも、自分で一歩を踏み出せば風景は変わる。この世代で到達できなくても、次の世代がいますよ。」
*******朝日新聞2022.10.19*******
今日、心に響いた文章。
変わらない現実だけど、「変えられる」と私も信じています。
米国留学中の銃による死、服部剛丈さん当時16歳。その事件から30年。
父政一さんと母美恵子さんは、その後、銃社会の見直しを米国に今まで求めてこられました。
「待っていても何も変わらない。でも、自分で一歩を踏み出せば風景は変わる。この世代で到達できなくても、次の世代がいますよ。」
*******朝日新聞2022.10.19*******
今回の「国葬」に関し、歴史社会学者小熊英二氏が分析されています。
大平氏以降は、『内閣・自民党合同葬』が慣例としてなされてきた。国費半額負担にしているのは、佐藤氏の前例踏襲という以外の理由がよくわからず、実質的には、『自民党葬』に国費から半額補助しているのと変わらない。『政権党による国費の私物化』がなし崩しに慣例化されてきた。
それを今回、安倍氏では、国葬という形で、いわば『私物化』を、理由や法的根拠がないまま一段階引き上げた。
その決定においては、安倍派への配慮という自民党の党内政治で決まったことが『私物化』の極みであるし、内閣法制局はじめ官僚が止めなかったことが懸念される(同様なことが国の政策全般でおきないか)と分析されています。
私も、官僚のチェック機能は、働かせるべきところはきちんと働かせることがとても大事であると考えます。
朝日新聞2022.9.17:https://digital.asahi.com/articles/ASQ9H4DS6Q9GUCVL01W.html
*****要点抜粋****
●吉田茂氏の国葬:1967年、死去後11日で実施。
*全額国費。
*戦前の国葬令は1947年に失効、最大野党の社会党は吉田氏の国葬を前例としないよう申し入れ。
*1965年に英国のチャーチル元首相、1967年に西独のアデナウアー元首相の国葬
●佐藤栄作氏(在任期間が戦後最長、ノーベル平和賞受賞)の国民葬:1975年、死去後13日で実施。
*国が半額負担、国庫と自民党で折半。1922年に大隈重信が民間有志による『国民葬』になったという先例をもとに、国民の葬儀に国費で半額を補助する『準国葬』という形式をとった。
●大平正芳氏の合同葬(『内閣・自民党合同葬』):1980年、死去後約1カ月後(衆参ダブル選挙期間中の急死)。
*佐藤氏のときに前例になった半額補助方式が引き継がれた。
*前例へ:1987年に岸信介氏が死去した時も、死去後1カ月半あけて合同葬。この後は自民党の首相経験者が死去すると、1カ月から2カ月後に国費で半額負担して、内閣と自民党の合同葬を行うことがほぼ慣例。
●安倍晋三氏の国葬:2022年、死去後2カ月
*岸田首相は、政府単独の国の儀式としてなら閣議決定で国葬は可能だとする内閣法制局の報告に基づいて決めたと報じられています。しかし吉田氏の国葬実施が難航し、佐藤氏を国葬にできなかった経緯を考えれば、閣議決定だけで『国葬』という名称を冠した国の儀式を実施するのはリスクが大きい。
政治と宗教との関係を見直すことが、マスコミや世間の注目を集めています。
どのように関係を見直していくのだろうか。
神里達博氏(千葉大学大学院教授、専門:科学史、科学技術社会論)は、2022.8.26の朝日新聞の論説で、フランスの対応が参考になると述べられています(以下、抜粋)。
フランスの宗教事情を知らなくて、勉強になりました。
「セクト」、「カルト」との結びつきをまずはなくすこと、そして、今後とも、信教の自由は守ること及び政教分離の基本原則を堅持すること、当然のことではあるけれど、していかねばなりません。
そのうえで、神里氏がいう“不安”(実は、抜粋以降のところのほうが、本論説は重要だと思います。)、それを乗り越えるには、どうしていけばよいのだろうか。
考え続けたい。今、たまたまジョージ・オーウェル『1984年』を読み返して、考えています。
ご存じのように、同書では、宗教さえなくなった“1984年”の世界が描かれています。
****朝日新聞2022.8.26 該当箇所、抜粋****
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15397708.html
そもそも政教分離は、キリスト教の力が強かった欧州諸国が近代化していく流れのなかで成立した考え方である。しかし同じ西洋諸国でも、その性格は国によって異なる。
たとえば最も厳格とされるフランスは、革命期の国民議会が、カトリックに対して財産没収などの徹底した弾圧を行い、国家と宗教を力ずくで分離した。その後の歴史的経緯のなかで、このような敵対的な性格はかなり緩和されたものの、現在もフランス憲法には「フランスは不可分にして、非宗教的(ライック)、民主的、社会的な国家である」と明記されており、これは非宗教=ライシテの原則として知られる。
(中略)
フランスの対応は参考になる。20世紀後半から先進国を中心に、旧統一教会も含め、宗教をめぐるさまざまなトラブルが多発した。これを受け、フランスでは信教の自由を守ると同時に、反社会的な活動をする団体を規制する法整備が進んだ。これを「反セクト法」という。
「セクト」、つまりカルトの線引きは必ずしも容易ではないが、「その活動に参加する人の精神的または身体的依存を作り出し、維持し、利用することを目的または効果とする活動を行うあらゆる法人」と定義し対処することとした。その結果フランスでは、旧統一教会の問題も基本的にはすでに解決しているという。
すなわちフランスは、人権の侵害は許さないという国家としての意志に基づき、真正面から対処したのである。日本も同様の対応をとるべきだと思う。だが、不安も残る。
***************
区政のあるべき方向性が示されていると思い、共有させていただきます。
区政のあるべき方向性:
対話と共有
区政の声を聞く集会
区政の透明性と説明責任
「区立施設とその職員は『コスト』ではなく、杉並の財産です」
人を大切にすることが、区民によいサービスを提供する大前提
他
******岸本聡子氏 区長就任メッセージ*******
https://www.youtube.com/c/suginami_tokyo
https://digital.asahi.com/articles/ASQ7C5KFFQ7CUTIL020.html
区民の声を区政に生かしてほしいという多くの人に支援されまして当選しました。
杉並区57万人の命と暮らしを守るという大変な使命と責任を持ち、区民のための区政を行っていきたい。
私に投票された方のみならず、僅差(きんさ)で当選させていただいたことを重く受け止め、私に投票されなかった方の思いをより意識的に聞き、対話と理解を深めたいと思います。
幅広い住民の提案を聞くことに最大の努力をしてまいります。
現在、物価高による生活への打撃、猛暑、東京での新型コロナ感染急増という三つの課題のなかで、区民の暮らしや健康への不安が高まっております。これらを緊急の課題と位置づけ、自治体としてできることを最大限取り組んでいきます。
行政職も政治職も初めての私にとって大切なことは、地域の課題や行政について多方面から、職員の方からしっかり学ぶこと。それがおそらく、対話を大切にする区政を目指す私にとっては、良いスタートになるのではないかと考えております。
「対話と共有」は、住民と行政の関係においてはもちろんのこと、議会との関係も含め、杉並区がものごとを進める原則として掲げてまいります。政策のなかの住民参加について、私は明確なビジョンに沿って進めてまいりたい。杉並区が日本で一番区政の透明性と説明責任が高く、住民参加が活発な自治体にしたい。
気候変動問題に、自治体として野心的に取り組むこと。そして、例えばですけども、23区で自転車が一番のりやすい街。こういったことは、住民にもわかりやすい指標に、ひとつの街づくりの指標になるのではないかと思っています。そして、ジェンダー平等も進めてまいります。
区政の声を聞く集会をいち早く開催いたします。
開催方法については現在検討中ですが、毎回テーマを設定し、申込制と無作為抽出した区民から希望者を募るハイブリッド形式でバランスの良いデザインにしたいと思っています。年間8~10回の開催を予定しております。
公約のなかで掲げた「さとこビジョン」ですけども、私を擁立した住民の要求から出発し、選挙戦の間は地域の当事者の団体を回ったり、街頭から寄せられた声を考慮したりして、共同で練り上げてきたものです。しかしこれを、一気に実現しようとは考えておりません。
区がすでに着手していることもたくさんありますし、選挙活動中の私の情報や認識不足も多く含まれていると思います。
大切なことは、今までの杉並区の歴史、達成してきたこと、計画を十分に考慮して、優先順位、緊急性、実現可能性の仕分けをしっかりと行い、決めていくことだと考えております。
行政の継続性は安定した区民生活の要です。
良いものをしっかり残し、育てながら、修正が必要な部分は職員や議会と協力して行ってまいります。
次に議会についてです。
議会での答弁も、職員からのサポートを大いに得ながらでありますが、できるだけ自分の言葉で発信してまいります。
すべての会派の質問を同じ重みで構成、平等に扱い、きちんと調べて誠実な答弁を心がけます。その前提として、全ての会派に等しく、可能な限りの情報を提供します。
区民のことを一番に考える地方自治で、与党、野党の構図をできるだけなくしていきたいと考えています。
是々非々の、より質のよい深い議論を議会で行うことをめざしてまいります。
次に、職員の方々についてです。
今までの仕事や努力が生かされるために、出来るだけストレスの少ない、風通しの良い、働きやすい職場づくりが急務だと考えております。あらゆる種類のハラスメントのない、全ての職員が安心して自分の能力を発揮でき、区民のために働ける職場をつくってまいりたい。
選挙活動を通じて、「公共の再生」を訴えてまいりました。
コロナパンデミックを世界が同時に経験し、医療や保健といった公共の中枢的な機能が弱体化していること、そこで働く人たち、エッセンシャルワーカーが「コスト」として見捨てられたり、圧縮されたりしてきたことが明らかになりました。
私は「区立施設とその職員は『コスト』ではなく、杉並の財産です」と訴えてまいりました。
例えば、会計年度任用職員の待遇改善を含め積極的に取り組んでまいりたいと思います。人を大切にすることが、区民によいサービスを提供する大前提だと私は考えております。
そして、この記者会見の、きょうが初めてになるわけですが、報道の方との今後のつきあい方についても一言いわせていただきます。
記者会見は、必要に応じてなるべく多く開催していきたいと思います。そのなかでは、記者のみなさんと、懇談をするような、意見交換をするような時間も積極的にもっていきたいと思います。
雑誌やフリーランス、海外の記者も含め、参加したいと希望される方は申込制で参加してもらえるよう、開かれた区政を実現するよう、広く記者会見を開き、報道の方々にしっかりと区政をチェックしていただき、区民はもちろん、より広く、杉並区の課題を報道していただきたいと考えております。
安倍晋三元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
選挙という政治において最も大切な場を、殺戮の場として用いられたことに、強い衝撃を受けています。
それも、選挙戦の大事な最終盤に、実行されてしまいました。
明後日、7月10日が投票日です。
声や政策を届けることができるのは、7月9日が最後。
昔からなされ続けてきたことだけど、大きな問題提起がなされてしまいました。
再発を防ぐには、どうすればよいのか、
暴力にも、決して怯まない社会を維持するにはどうすればよいのか。
テロに屈しないのは、その事件があったとしても、動揺をせず、日常を続け貫くこと。
参議院選挙候補者の皆様、最後までどうか、声を、考えを、政策を、有権者へ届け抜いて下さい。
いやー、17才の特区総理大臣が、一生懸命やっている中で、サンセット・ジャパン(日の沈む国)の総理殿が、自らの政権維持のために、隠しカメラを17才に仕掛けるのはないでしょーと憤っていました。
ドラマでは、市を引っ張ってこられた方々が、デモを起こしました。
やむにやまれぬ思いだったと思います。
自分たちが、今まで、この市を作ってきた、AI特区を導入したのも自分たちだという、誰よりも市を考えているというプライドがなしたデモと感じました。
特区の閣僚の一人が、「逆効果だろ。」とポロっとこぼす中、特区総理の17才は、自らが、そのデモのひとりひとりに話しかけました。
AIが見落としがちなところを、きちんと自らの目と耳と心で受け止め、受け止めたことに対し、自らの言葉で考えを返していました。
次が最終回です。
廃案にした再開発案の修正に取り組まれていますが、修正案も、人工地盤が商店街から陽の光を奪う案です。それはよいとは私は思いません。各店舗のリノベーションと周囲の土地の有効活用とそれをつなぐなお一層のバリアフリーで解決できると考えます。
それはさておき、第1回から第4回まで、17才は、特区総理を、問題なくやり切っています。
第5回最終回も、その17才が特区総理をやり切ることを心より願っています。
心にうそをつく大人にはならないことを願っています。
『17才の帝国』5回中の第3回と折り返し地点となりました。
議会廃止、再開発の抜本的見直し、今回は、職員定数の50%削減。大改革を断行する17才、特区総理大臣。
裏の展開として、内閣総理大臣側には、献金疑惑を契機に、当時第一秘書は家族三人の転落事故死と第二秘書は政治から去った。
サンセット・ジャパンになった理由がよく分かる展開である。
一方、特区総理大臣の17才は、削減される職員の一人ひとりの声を、全員に面談を持った。
とても、大切なことだと思います。なにごとも、一長一短があり、AIに対しては、どうしても欠けてしまう部分を人間性で補うことが必要となり、そのことをきちんと17才はやり通した。大人でもなかなかできないことを。
あと残すところ、2回。
願わくば、17才が、どうか、特区総理大臣をやり通してほしい。
そして、17才に政治ができることを証明するドラマであってほしい。
あっ、朝日新聞が、毎日放送(MBS)記者を取材している。
たいへん、健全なことだと思います。
これからも、メディアがお互い、大丈夫かとチェックし合っていただきたいです。
取材された毎日放送ディレクター斉加尚代さんは、メディアの役割を論じています。
「メディアは、強い言葉を発せられない人の言葉のスペースを確保する役割がある。」
たとえ、「『経済からは自由になれない』と言われ」たとしても、戦っていただきたい。
「良心に基づく『個』の視点」を、ぜひとも持ち続けてほしい。
教育でも一番大事なことは、「良心に基づく『個』の視点」を養うことだと考えています。
たまたま、昨日5/18のブログで引用しました。
「先生!みんなちがって みんないいって言いますが どこまで一緒で どこから ちがっていいのですか(佐々木貴子)」
この問いに、しっかりと自分の回答を持てる子ども達がどうか育ちますように。
********朝日新聞2022.5.19*********
**********毎日新聞2022.5.21**************
「兵士たちよ、けだものになるな。君たちは機械でも家畜でもない。人間なんだ。」その声が、たとえ、最前線の若者に届いたとしても、動けない場合がある。
全体主義の体制になってしまっていたら。
ハンナ・アレントを読んでいるところだけど、彼女も、全体主義の怖ろしさを記述されています。
「全体主義が真に新しく怖ろしいのは、それが自由を否定するからでも、自由は人類にとって善いものでも必要なものでもないと主張するからでもなく、人間の自由は歴史的発展ーすなわち人間が自由に活動し交流する場合に限って、遅延させることのできる過程(プロセス)ーのために犠牲に供されねばならない、という考え方のせいなのである。」(『政治の約束』152頁)
*******『政治の約束』152頁*******
******『天声人語』2022.5.19******
**********************************
たまたま、ハンナ・アレントの引用があったため、共有。
朝日新聞2022.5.19
NHK土曜日の連続ドラマ『17才の帝国』の第一話を見ました。
AIに頼りながら17才の青年が特区の総理大臣を務めるお話。
その地域で住む人が、AIで監視され、個人情報が抜き取られているところが、ジョージ・オーウェル『一九八四年』とかぶって見えました。
AIが果たして、政治をできるのか。
AIの結論はわかるが、その判断過程がブラックボックスなのが、第一話から描かれていました。
「AIは、偶然に頼ることができない」、「AIは、死を知らない」であるがゆえに(素人的な根拠ですが)、人の判断をサポートできても、人の判断に取って代わることはできないと私は思っていますが、果たして、この話の中ではどうなるのだろうか。
また、『一九八四年』のような監視社会から、秘密警察が登場し、全体主義が生まれ出るのか、その展開も気になります。
第一話から、議会廃止は、あっぱれでした。(その判断、誤っている、予算編成権は首長側とAIに言いたいが、ドラマに怒ってもしょうがない。)
2022.5.14(土)22:00は、第二話。
************NHK****************
https://www.nhk.jp/p/ts/VNXRGXV8Q3/
舞台は202X年。日本は深い閉塞感に包まれ、世界からは斜陽国の烙印を押されている。出口のない状況を打破するため、総理・鷲田はあるプロジェクトを立ち上げた。「Utopi-AI」、通称UA(ウーア)構想。全国からリーダーをAIで選抜し、退廃した都市の統治を担わせる実験プロジェクトである。若者が政治を担えない理由は、「経験」の少なさだと言われてきた。AIは、一人の人間が到底「経験」し得ない、膨大な量のデータを持っている。つまり、AIによっていくらでも「経験」は補えるのだ。それを証明するかの如く、AIが首相に選んだのは、若く未熟ながらも理想の社会を求める、17才の少年・真木亜蘭(まきあらん)。他のメンバーも全員20才前後の若者だった。真木は、仲間とともにAIを駆使し改革を進め、衰退しかけていた地方都市を、実験都市ウーアとして生まれ変わらせていく―。
土曜ドラマ『17才の帝国』
【放送予定】 2022年5月7日スタート 総合 毎週土曜 よる10時<全5回>
【作】 吉田玲子 【音楽】 坂東祐大、Tomggg、前久保諒、網守将平 【制作統括】 訓覇圭 【プロデューサー】 佐野亜裕美 【演出】 西村武五郎 桑野智宏
民主主義とは、何か。
本日2022.5.12の『天声人語』が、詩人金芝河(キムジハ)さんの一節を引用し、教えて下さっています。
「沈黙に反対する思想であり…自由な言葉を尊いものと見なす体制のことである」
民主主義で、最も重要なことは、言葉だと思います。
言葉が、なくされたとき、まったく逆の体制、例えば全体主義になっていくことでしょう。
ジョージ・オーウェル『一九八四年』でも、言葉がうまく操られた体制が描かれていました。
******2022.5.12*******
弁護士大城先生が、広報されています。
裁判員制度、せっかくの制度であり、うまく生かしていきたいものです。
指名されても、動じることなく参加し、正しい判断を司法に届けて参りましょう。
*********大城先生SNSより***************
『社会学的想像力』(著者 C・ライト・ミルズ、原著1959年。訳者 伊奈正人・中村好孝 ちくま学芸文庫 2017年第1刷、2021年第4刷)を読了した今、この本に出会えてよかったと思っています。
きっと、社会学を学ばれた皆様にとっては、当然のバイブルのような存在の本なのだと思います。(聞いていませんが。)
著者 C・ライト・ミルズ氏は、本著の最後のほうで、社会学(社会科学)の価値を定義されておられます。また、社会学者(社会科学者)の役割も、論じきられておられました。
それらを受け、私たちは、どう行動すべきか。私なりの受け止めた形で書きます。
1、社会学(社会科学)の3つの価値、きちんと3つの大切な価値を定義されていました(299-301頁)。
①真理という価値、事実という価値
②人間の事象における理性の役割という価値
③人間の自由という価値
2、社会学者(社会科学者)の役割についても、論じきっておられました。最後のページの一ページ前に。期待通りの役割を担われていることに感動!
「私は社会科学が「世界を救う」だろうとは信じていない。とはいえ、「世界を救おうとすること」ーこの言い方で私がここで意味しているのは、戦争を避け、人間の自由と理性という理想にしたがって人間の事象を再編成することであるーが間違っているとはまったく思わない。」(323頁)
3、それらを受け、私たちは、どう行動すべきか。
① “真の”社会学者(社会科学者)の提言を受け止め、それを、各自の持ち場で、実行に移していくこと。
②受け止める力を育むために、「社会学的想像力」を、日々の生活や学びの中で身に着ける。
「社会学的想像力」すなわち、「一人一人の人生(個人史)と歴史とが結びついていることを発見し、その結びつきを社会構造の中で理解する力。」(訳者、中村好孝 解説 本著396頁)
日々の生活において、問題点を私たちは、経験をしている。その経験は、自分のことだけど、他の誰かも同じように困っている。その困りごとを、社会の中で、共有して、解決に結びつけていくことではないかなと、私なりに考えます。
③C・ライト・ミルズ氏は、「陽気なロボット」にだけは、なってはならないと私たちに警告を発してくれています。
「陽気なロボット」の部分(286-291頁)は、特に重要だと思われるので、以下に、その全体を引用しておきます。
④ジョージ・オーウェル『一九八四年』(1949年)を何度も引用されており、同時に読まれるのもよいかもしれません。
●中村氏解説
●「陽気なロボット」の章全体
以上
この1年の間で、社会学の可能性を感じる機会が、3回ほどあったため、手にした本。
『社会学的想像力』 著者 C・ライト・ミルズ、原著1959年。訳者 伊奈正人・中村好孝 ちくま学芸文庫 2017年第1刷、2021年第4刷
結構難解な本でした。
社会学でも、「価値ということが問題になるんだ」と思った箇所。
著者は、社会科学における価値判断がどうあるべきかまでは、引用箇所では述べていませんが、いずれにしろ、慎重に取り扱うべきものであることは、伝わってきます。
「第5章 官僚制のエートス」の箇所では、
ポール・ラザースフェルドを引用しながら、社会学者になろうとする学生に、注意すべきことを述べられています。
私が、社会学の可能性を感じることとは、抑制的な(社会学がなんでも解決できるというものではないというような)方向性で書かれています。
現在、読んでいる途中で、気になった点をあげてみました。