日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

「メランコリー」だった

2005-12-10 06:54:43 | パリ右岸
グランパレで開催中の展覧会、「メランコリー」を見に行く。
入り口からひどい行列。お金と時間に余裕のありそうな、高い
毛皮を着た50-60代のおばさんが多く並んでいる。こういう
ちょっと教養のある層を惹きつける展覧会なのかなあ。

展覧会はただただ感嘆。「メランコリー」というのが西洋の
美術の中で大きなテーマになってきたことが手に取るように
分かる。社会の変化とともに、罪悪とされていた「メランコリー」
がルネッサンスと同時に創作の源泉と見なされるようになり、
近代の「神の死」の後はロマンティスムの中で捉えられる。
そして19~20世紀からはフロイトの心理学理論の登場で
科学・心理学的側面に光が当てられれる。
数々の絵画を鑑賞しているうちに、あっという間に二時間
過ぎてしまう。いやあ、素晴らしい展覧会だ。

極めつけは添付した絵画。19世紀初頭の作品。「海辺の修道士」
というタイトルだそうです。絶望的だよなあ。

Caspar David Friedrich
Le moine devant la mer
1808-1810
Huile sur toile, 110 x 171,5 cm
Staatliche Museen zu Berlin, Nationalgalerie, Berlin
© Jörg P. Anders