く~にゃん雑記帳

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<日本ペンクラブ京都例会> 梅原猛氏・下重暁子さんの特別対談「このごろ思うこと」

2013年10月06日 | メモ

【近著やスーパー歌舞伎、憲法九条、環境・原発問題まで幅広く】

 京都市の平安女学院を会場に5日開かれた日本ペンクラブ(浅田次郎会長)の京都例会で、哲学者で元会長の梅原猛氏と作家・評論家で現副会長の下重暁子さんが「このごろ思うこと」をテーマに対談を行った。梅原氏は88歳の米寿だが、今春には「人類哲学序説」を著すなど執筆意欲はますます盛ん。「年とともにやりたいことが多くなって困っている。業(ごう)だな、一生書き続けることは」と話していた。(写真は㊧=対談後、懇親会場で花束を受け取るお2人、㊨=有栖館庭園での懇親会の1こま)

 

 対談は下重さんが質問し、梅原氏が答える形で進んだ。「人類哲学序説」は人類の未来に大切な思想として〝草木国土悉皆成仏〟を挙げる。「『本説』は90歳を過ぎてから書きたい。その前に親鸞(浄土真宗開祖)について今までとは全く違った解釈で書こうと思っている」。親鸞の妻としては恵信尼が知られるが、最初に法然の勧めで結婚したのは九条兼実の娘・玉日という。「(結婚によって)女性差別を否定したもので、鎌倉時代の仏教界にとっては革命ともいえるものだった」。

 下重さんは梅原氏の「湖の伝説―画家・三橋節子の愛と死」(1982年)が好きで今も大切に持っているという。「三橋の画集を見て涙が出た。これこそ芸術家の魂を持った人ではないかと思って、この本を書いた」と梅原氏。対談はアイヌ民族や3歳年上の瀬戸内寂聴さんのことなど次々に話題が広がった。アイヌ民族については「日本の基層文化の伝達者。日本の古い文化を保存してくれた」と評価する。

 寂聴さんについては「最近書くものには色気がある。すごい。尊敬している」。梅原氏が影響を受けた作家には川端康成と坂口安吾を挙げた。「17歳の時、康成が同じ17歳の時に書いた小説を読んで驚いた。康成の小説を読んだことが私の人生を変えた。ただ私には文学の才能がないので哲学の道に進んだ」。

 梅原氏といえばスーパー歌舞伎や狂言の作者としても知られる。「ヤマトタケル」(1986年初演)は三代目市川猿之助の度重なる依頼に応えて書き下ろした。それを読んで感激した猿之助から「先生はシェークスピアかワーグナー(の生まれ変わり)です」と電話があったそうだ。梅原氏は今でも「本当に俺が書いたのかなあと思う」そうだ。「素人の野球選手がプロ野球でホームランを打ったようなもの」とも。

 梅原氏は「九条の会」の呼び掛け人の1人でもある。「最近戦争を肯定するような空気が流れている。戦争は絶対にしてはいけない。憲法改正に熱が入らないように、ペンクラブにも頑張ってほしい」。また世界的な環境破壊や原発問題にも言及し「人類文明が生きていけるのか不安でならない。原子力は大変危険なもの。日本は反原爆・反原発でいくべきだと思う」と話した。対談後は会場を同大学有栖館(有栖川宮旧邸)の庭園に移して懇親会が開かれた。

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