く~にゃん雑記帳

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〈奈良国立博物館⋅夏企画㊤〉 特別陳列「泉屋博古館の名宝」展

2024年08月01日 | 美術

【住友春翠のコレクションを中心に中国青銅器など80点余】

 奈良国立博物館(奈良市登大路町=下の写真)で特別陳列「泉屋博古館の名宝」展が始まった。泉屋(せんおく)博古館は住友家伝来の美術品の保管⋅研究⋅公開を行う施設として1960年、京都市左京区鹿ケ谷に開設された。現在はリニューアル工事中で、再オープンは来年4月の予定。

 この展覧会には「住友春翠の愛でた祈りの造形」という副題が付く。春翠は住友家第15代住友吉左衞門友純(1864~1926)の雅号。泉屋博古館の収蔵品は青銅器や書画、西洋絵画、陶磁器、茶道具、能面など約3500点に及ぶ。春翠の収集品はそのコレクションの中核を成す。

 

 展示は第1章の「中国青銅器―春翠の情熱」と第2章の「仏教美術―春翠の審美眼」で構成する。青銅器には紀元前14~11世紀の殷の時代やその後の西周の時代のものが多く含まれる。

 古代青銅器に多く見られる文様が怪獣を正面から見た姿を表したもので「饕餮文(とうてつもん)」と呼ばれる。殷代の酒を入れる容器『饕餮文方罍(ほうらい)』はつぶらな愛らしい目の造形が印象的。『犠首方尊』も同じく殷代の作。方尊の「尊」の文字は両手で酒甕を捧げ持つ様子を表すという。

 青銅器では『虎鎛(こはく)』というバチで叩く西周(紀元前11~10世紀)時代の打楽器や西周~東周時代の鐘、前漢(紀元前2世紀)~唐(8世紀)の銅鏡6面なども展示中。銅鏡のうち『画文帯同向式神獣鏡』(後漢3世紀)は重要文化財に指定されている。

 仏教美術の展示品では『線刻仏諸尊鏡像(瑞花鴛鴦八稜鏡)』(平安時代)が国宝。流れるような繊細な線刻で、中央の如来坐像を6体の諸尊が囲む。販促ちらしを飾るのは朝鮮⋅高麗時代の優美な仏画で重文の『水月観音像』。落款から徐九方の筆で制作年も1323年と判明している。

 

 『毘沙門天立像』(鎌倉時代)は京都⋅青蓮院旧蔵と伝わり、作者は快慶の弟子筋という説も。像内に62枚の画像が納められていた。上の仏像は重文の『阿弥陀如来坐像』(平安時代)。春翠の長男、住友寛一(1896~1956)が入手し、その後、泉屋博古館から奈良国立博物館に寄託された。会期は9月1日まで。


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