く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<久保修 切り絵の世界展> 四季の美や生命の躍動を繊細に表現

2012年07月10日 | ひと模様

【テーマは〝紙のジャポニズム〟】

 ジェイアール京都伊勢丹の美術館「えき」で、「久保修 切り絵の世界展―紙のジャポニズム」(~16日まで)が開かれている。四季折々の日本の風景や季節感あふれた食材などの作品が約150点。和紙を切り抜き、布や砂などの素材も使って奥行きや立体感を表現する。その「ミクスト・メディア(複合技法)」など独自の技によって刻まれた作品は、ほのぼのとした温かさにあふれていた。

   

 久保修氏は1951年山口県生まれ。大学建築科在学中の1971年に切り絵を始めた。以来、切り絵一筋に40年余。この間、新聞で旅紀行を連載したり、雑誌の表紙絵を飾ったり。文化庁の文化交流使などとして欧米など海外にも積極的に紹介、今年4月には日米桜寄贈百周年記念事業として、NYのエンパイアステートビルに作品が展示された。国内の郵便切手や年賀はがきなどにも採用されている。

 久保氏は「紙のジャポニズム」をテーマに全国47都道府県再発見の旅を続け、四季の風物や旬の食材などを切り絵として描いてきた。「作品を通して日本の美しさや貴重さを再認識してもらったらうれしい」。会場は「日本を感じる旅」「食材を楽しむ」「京都散策」「異国の旅」の4つのテーマごとに展示されていた。日本家屋の前に大きな朝顔を配した「盛夏」(写真㊤)と、赤と黒2色の「まんじゅしゃげ」はいずれも大胆な構図が印象的。引き込まれそうな「鳴門の渦潮」や壁面が立体的な「うろこの家」にも目が止まった。

 

 食材では「出石の皿そば」(写真㊧)や「明石鯛」(写真㊨)「おせち」「紀州のクエ」「マスクメロン」などの作品が並び、来場者からは「おいしそうね!」といった声も。「寄せ鍋」は本当に湯気が出てホッカホカのようだった。「京都散策」コーナーでは大きな作品「枝垂桜」の迫力が圧倒的。金色をバックに黒くて太い幹と、白とピンクの花びらが描かれ、まるで日本画を見るようだった。このほかに「旅籠寺田屋」「貴船の川床」「糺の森」「伏見人形」など。

 「異国の旅」コーナーの「天山山脈とポプラ並木」は高さが2m余りある大作。手前の並木道からずっと奥にそびえる山並みまで奥行きが遠近法で見事に表現されていた。スペインの「古都トレドの街並み」も大きな作品で、街並みの描写が実に繊細。和紙を切り抜くのにどのくらい時間がかかったのだろうか? ついそう思わずにはいられなかった。見終わって、切り絵はまさに日本が誇る伝統文化の一つであるということを改めて確信した。

コメント (1)
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