く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 〝花の美術館〟出迎えてくれたアジサイとカタツムリ

2012年07月02日 | 美術

【特別企画展「朝鮮の美術―祈りと自然」】

 春は梅や椿に桜、木蓮。夏は笹百合に桔梗、木槿(むくげ)。秋は紫式部や紅葉。そして冬には山茶花や蝋梅――。奈良市学園南の「大和文華館」は春夏秋冬、色とりどりの花が出迎えてくれる。6月30日から特別企画展「朝鮮の美術―祈りと自然」(~8月12日)が始まったが、1日は「あじさいの無料招待デー」ということもあって多くの入場者でにぎわった。

   

 大和文華館は近畿日本鉄道が創立50周年を記念し、1960年(昭和35年)に菅原池(通称蛙股池)を望む高台に開館した。この池は日本書紀にも登場し、日本最初のダムともいわれる。所蔵品は日本、中国、朝鮮の美術品を中心に2000点以上。その中には「一字蓮台法華経」や「婦女遊楽図屏風」(通称「松浦屏風」)など国宝4点や重要文化財31点が含まれる。春の名品展では国宝4点が一挙に公開され話題を呼んだばかり。

 今回の特別展には高麗時代や李氏朝鮮時代の陶磁器や水墨画、仏教工芸品など71点が出展された。ほとんどが同館所蔵のものだが、奈良国立博物館から銀製舎利容器、大阪市立東洋陶磁美術館から水鳥が描かれた高麗青磁の陶板なども出品されている。会場を入ってまず目を引いたのが重文の「青磁九龍浄瓶(じょうへい)」(12世紀、写真左)。浄瓶は仏具の一つといわれる水入れ。蓋などに口を開いた9匹の龍が繊細に刻まれ、胴部の龍身も躍動的に描かれて、当時の製陶技術の高さを示していた。

    

 「鉄砂青花葡萄文大壷」(17世紀、写真右)は高さ37cm、胴径30.2cm。壷の上部をブドウの葉がぐるっと巡っているが、まるで水墨画を見るようだった。「青花(せいか)」は青い花ではなく、青の顔料(西方のペルシャから入ってきたコバルト?)らしい。かなりの貴重品だったようで、よく見ると葡萄の葉脈が青色の細い筋で描かれていた。

 掛け軸の絹本著色「群鹿図」(16世紀)には20匹余の鹿が描かれているが、その鹿のほとんどが白か黒い色。北宋時代編纂の「太平御覧」(977年)によると、鹿は長寿で500年生きると白鹿に、1000年生きると玄鹿(黒鹿)になり、玄鹿の肉を食すれば2000年の命を保つことができるといわれたそうだ。そこからこの図には長寿延命の願いが込められているという。このほかでは珍しい高麗白磁の「白磁梅瓶(めいびん)」や縦笛の「鉄製銀象嵌笛」、貝の光の反射が美しい「螺鈿唐草文箱」なども印象に残った。

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