く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<アガパンサス(紫君子蘭)> アフリカ南部原産の優美な「愛の花」

2012年07月03日 | 花の四季

【静岡・南伊豆の石積み段々畑を彩る】

 梅雨の盛りに、数十個の紫色の小花を放射状に広げるアガパンサス。原産地はアフリカ南部で、日本には明治時代中頃に入ってきた。直立した花茎や葉の形が南アフリカ原産のクンシランに似ているため「ムラサキクンシラン」の別名を持つ。ただしクンシランがヒガンバナ科なのに対し、このアガパンサスはユリ科と別系統に属す。

 名前はギリシャ語の「agape(アガペ=愛)」と「anthos(アンサス=花)」に由来。主にヨーロッパやニュージーランドなどで多くの栽培品種が生まれており、花の色は青や紫のほか白いものもある。花の形もラッパ状や切れ込みが深い星形、花筒が短い盃状など多彩。八重咲きもある。多年草だが常緑種のほか、冬になると葉が枯れる落葉種もある。

 日本国内で多く見られるのは常緑性の「アフリカヌス」という種類で、「アフリカンリリー」とも呼ばれる。丈夫であまり手が掛からないため、公園の花壇や植え込みなどでよく見かけるようになってきた。アガパンサスにはこのほか同じ常緑性で花の色や形がバラエティーに富む「プラエコクス」、落葉性の「イナペルツス」がある。最近は茎の色が黒いものや、オリヅルランのように葉の縁に白い斑(ふ)が入ったものなども出回り始めた。

 国内では静岡県南伊豆町がアガパンサスの切り花の出荷量で全国一を誇る。この時期、伊豆半島の最南端・石廊崎に近い入間地区の石積み段々畑(3.5ヘクタール、約500枚)はアガパンサスの花で一面覆われる。毎年6月中旬から主に東京市場向けに出荷されるという。入間の段々畑はその美しい景観から「静岡県棚田等十選」に選ばれている。根が太くしっかりしているため、地滑り防止の点でも役立っているそうだ。海外では米国カリフォルニア州のアーバイン市がアガパンサスを市花に認定している。

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