経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

厚生年金は景気を助けるのか

2014年01月31日 | 社会保障
 先週金曜に政府予算案が提出され、「予算の説明」がオープンになったので、ようやく、年金特別会計の様子が分かるようになった。その大半を占める厚生年金勘定を見ると、前年度比で約5000億円の「拡張財政」になっている。特例水準の解消で、給付が去年10月と今年4月に合わせて2%カットされることを考えると、少し意外な内容だ。

 まず、歳入を見てみると、保険料収入、一般会計(税)受入、基礎年金受入の三計は、35.0兆円で3.0%増である。経済成長に加え、保険料は、毎年約2%ずつ引き上げられているし、被保険者数も、事業月報で見ると足元で1.1%増(10月)なので、概ね妥当なところだろう。他方、歳出は、給付費と基礎年金繰入の二計で40.9兆円であり、3.8%増である。足元の受給者増が2.8%(10月)であり、特例水準のカットがあることを踏まえると、高めに思われる。物価スライドが未定なので、4月のカットが反映されていないのかもしれない。

 この三計と二計の増分差が約5000億円であり、年金財政の収支で言えば「赤字」の拡大だから、経済にとっては需要を拡大する「拡張財政」ということになる。2013年度の厚年勘定は約7500億円の「緊縮財政」であったから、様変わりという感じではある。ただし、厚年勘定の予算と決算の乖離は大きく、2012年度では1.5兆円くらいあったから、「予算」は「予定」に過ぎないと、とらえておいた方が良いだろう。

 まあ、いつものことではあるが、前年度の決算見込みを公表し、それとの比較で次年度の予算を説明してくれたらと思う。厚年勘定の歳入歳出規模は、2014年度、初めて40兆円を突破する。これだけの規模となると、その動向のマクロ経済への影響も無視できない。大きさに見合った説明が求められると考えるが、いかがだろう。
 
※今回は、収支を分けて知ってもらうために上記の試算をしたが、収支の実態は、差を補う積立金の取り崩しの大きさで見る方法があり、この場合は約2000億円の拡張である。

(今日の日経)
 ソフトバンク電力小売り。一票の格差は合区で縮小。米緩和縮小に揺れる新興国、正常化の痛みは耐性を問う、日本株も売越し・梶原誠。日経平均の振れ幅大きく。東京圏へ人口集中加速。黒田緩和に教訓・03年日銀議事録。米3.2%成長、住宅には調整色。中国はロボ大国へ。経済教室・最低賃金・奥平寛子。

※新興国の責任なのかね。それは強者の論理という気もする。南欧の危機は、ドイツを助けた金融緩和によるバブルの発生が根源だ。結局はドイツへ跳ね返ってきた。新興国が減速すれば、先進国の輸出にも響く。米国は内需があるように見えるが、住宅減を補えるほど消費は強いのか。これに輸出減となると痛い。成長が陰ると株などが崩れかねない。日本株が売越しで揺れるのも、同じく金融相場ということ。内需拡大で収益が伴えば、うまくつなげるが、消費増税が待つ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1/30の日経 | トップ | 消費と輸出の不振で迎える消... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会保障」カテゴリの最新記事