経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

「壁」問題の本質

2023年09月27日 | 社会保障
 「106、130万円の壁」が現れるのは、社会保険料は一律の賦課をしていて、専業主婦が年収106万円を超えたら、いきなり、賦課対象になるからだ。その本質は、低所得にも一律に賦課している無理さかげんがある。30%の賦課は図の青線で、100万円のところの縦棒が「壁」ということになる。

 所得税は、そんな無理をしないから、課税最低限を設けている。これを100万円とすると、そこを起点に徐々に税額が増しているのが分かるだろう。実は、課税最低限に税率を乗じた額、ここでは30万円を定額給付するのでも、税額はまったく同じで、課税最低限と定額給付は、同じものだということが分かる。例えば、10万円の定額給付の制度を設けると、年収100万円以下の者には、10%の消費税を課さないのと同じになる。

 「壁」にしないためには、賦課対象となる100万円を起点に、段階的に重くしていけば良い。収入増の1/2だけ重くすると緑線になる。収入増の全額を召し上げる場合は、坂は点線のように急になり、軽課の財源は少なくて済むものの、働く意欲を萎えさせてしまう。

 「壁」をなくすには、専業主婦の保険料を負けてやらなければならないが、公平を言うなら、低所得者全員を負けるというのが正しい方向だ。勤労者皆保険を実現するには、低所得者に対象を拡げる以上、避けては通れない課題である。財源は要るにせよ、他方で、勤労者皆保険は人口増と同じだから、年金財政を改善する効果もあるし、若い低所得者の負担軽減は、少子化の緩和にもつながる。

 税収増の還元なら、ここしかないだろう、岸田さん。選挙ためにもね。

(図)



(今日までの日経)
 経済対策、成長力に重点 首相が策定指示「税負担など軽減」。成長底上げ、企業減税が軸。国民・玉木代表「所得減税を」。「誰でも通園」足りぬ保育士。


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