経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

財源は子供の減少で出てくる

2023年01月25日 | 社会保障
 11月の人口動態速報の出生は、前年同月比-6.7%と減少幅を拡げる形となり、2022年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26人のレベルに至った。1.25人まであとわずかであり、12月の結果次第では、記録更新となる可能性もある。極めて深刻な状況であり、早く少子化対策を打たなければならない。

(図)


………
 「次元の異なる少子化対策」を首相が表明したことで、財源論が喧しくなってきたが、足下までの少子化によって、0~18歳の年少人口が年々減っていくのは確実であり、その分、教育や児童手当の予算が少なく済むため、これが財源になる。こうしたことは、あまり知られていないようだ。

 例えば、小学生から高校生までの人口は、この3年程は、年々13~14万人減る。1人当たりの教育予算は概ね100万円だから、3年で約4000億円の財源が出てくる。同様に、6年では約1兆円になる。これを、小中学生の給食費の無償化とか、高校生の教科書代など授業料以外の学校教育費の無償化とかに充てれば良い。

 また、0歳から中学生までの人口は、年々、25万人くらい減ると見込まれ、児童手当の1人当たりの15年通しの平均給付額は年13.2万円だから、年々、約330億円の財源が生まれる勘定だ。高校生に児童手当を拡大する場合、330万人に月1万円で年3900億円なので、半分を扶養控除の廃止で賄うと、約6年分で間に合う。

………
 問題は、財源より、多くの識者が、少子化の緩和には、若者の収入や働き方の改善が不可欠としながら、要となる勤労者皆保険の実現に意識が向かないことだ。困難に見えて、1.1兆円の保険料の軽減で実現できるのだから、正しい道を見つけてほしい。軽減してでもやる方針は、役所からは出てこないから、これこそ政治の役割だ。

 施策をまとめる過程で、当事者の声を聞くらしいが、聞くべきは、子育ての負担に悩む人ではなく、非正規で結婚が望めない人だ。おそらく、呼ばれないだろうし、たとえ、呼ばれても、辛さを訴えるだけになりそうだ。勤労者皆保険によって非正規の桎梏が破られることは、本人でも分からない。


(今日までの日経)
 社説・楽観を振りまく財政試算なら意味はない。首相、少子化対策3本柱 施政方針演説。賃上げ、前倒し表明相次ぐ。断てるか「停滞の30年」賃上げ持続は官民両輪で。技能実習、改革の視点。

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