経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・税収は国・地方で3.4兆円の上ブレ

2024年07月14日 | 経済(主なもの)
 2023年度の地方の税収は45.7兆円で、予算にあたる地方財政計画額を0.8兆円上回った。国の税収は当初予算より2.6兆円多かったことが判明しており、合わせて3.4兆円の上ブレである。他方、協会けんぽは0.5兆円の黒字だし、GPIFの利子・配当収入は前年度比+0.4兆円だ。税収の上ブレにより、2025年度の財政再建目標は、クリアはもちろん、1.8兆円ほどの過剰達成になりそうだ。家計が疲弊し、結婚も諦めてるのに、吸い上げ一方で良いのかね。

………
 2023年度の税収をベースにして、名目成長率や企業業績見通しを基に、2024,25年度の税収の増加率を+3.9%,+3.8%と置くと、国は77.8兆円、地方は49.7兆円になる。今年1月の中長期の経済財政試算では、GDP比で0.2%足りなかっただけだったので、税収が上ぶれすれば、目標を超えることになる。もっとも、今月末に公表される7月の試算では、いつもどおり税収を低いまま出してくるので、そんな説明にはならないが。

 日本経済は、なんだかんだで、名目成長率が伸びる普通の経済に変化し、当然、税収や保険料もいや増すことになる。かつてのように、必要以上の税収や保険料をどう還元していくかが経済政策上の課題になる。還元先としては、生活の苦しさから低所得者の結婚が困難になり、異様な少子化の加速によって、人口崩壊と年金底割れの危機にあるのだから、これが喫緊だ。

 来年の最大の政治の山場は年金改正になりそうで、足下の少子化では代替率50%の底割れが目に見えているのに、ぬるい改正で済むのかが争点だ。野党に、ここを衝かれると、相当なダメージになる。正解は、補助金で低所得者の保険料を軽減し、一気に適用拡大を完成させ、底割れを未然に防ぐことだ。過剰達成の税収でできる範囲だし、50%割れとなれば、どのみち財政を入れざるをなくなる。病状が悪化してから入れるのは愚かだろう。

 補助金と言っても、事業者に保険料を取らないでもらうだけなので、少なくなった保険料の分を年金特会に入れれば済み、低所得者への給付のような執行上の面倒さはない。当然ながら、名目賃金が上昇していけば、軽減の対象者が減り、財政負担も逓減していく。底割れする年金にズルズルと財政が引っ張りこまれるより、財政運営上の筋が良いし、少子化が緩和すれば、財政にも貢献することまで期待できる。

(図)


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 適用拡大は、正規・非正規の壁を取っ払うものだから、労働市場の分断を解消し、供給を合理的にする。リスキリングで誤魔化すよりも、遥かに威力がある。経済政策は、年金だけ、財政だけ、労働だけ、少子化だけ、あるいは、金融や為替といった手段だけを見ていてはダメで、全体状況を把握し、統合的に取り組まなければならない。場当たり的に糊塗するばかりだから、若い人が現状打破の歯切れの良いデマゴーグに誘われることになるのである。


(今日までの日経)
 老いる世界、人口減早まる 2080年代にピーク103億人。地方税収昨年度45.7兆円、3年連続で最高。バイト時給2%高 6月1181円、過熱感は一服。


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