KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

花・花・花と雲海の白山遠征(前編)

2024年08月19日 | 四国外の山
5年前ネットで見た八方池から見る白馬三山の写真に目が釘付けになった。そこからず

っと一度は登ってみたいと思って夏が来るたびに遠征を計画をしていたが、直前にイン

フルエンザにかかったり、台風が接近したりと毎年計画倒れになっていた。

今年もお盆過ぎてうまくいけば八方池と唐松岳の日帰り登山をと考えたが、台風6号が

通り過ぎた後にすぐに台風7号が発生した。その日からは天気予報と睨めっこ。だが直

前まで降水確率は下がらず、仕方がないのでまだ少しは予報がマシな白山に予定を5日

前に変更した。

計画では15日の日が変わる前に家を出て朝に別当出合に着きそのまま登山開始して

御前峰に登頂後下山して、福井市内に移動して宿泊するというプラン。

18年前に山の会で出かけたときは日帰り登山ではなく室堂で1泊して、日の出を見て

御前峰とお鉢回りをして下山という余裕のある計画だった。

その時はバスでの移動だったがやはり車中ではほとんど眠れなかった。それでもその日

は室堂での宿泊だったので今回の計画よりは楽だった。今回はコースタイムでは8~9

時間となっているが、なんせ累積標高差が1500m以上になっているのが一番気にな

った。果たして今の膝の状態で往復できるだろうか?途中で傷み始めたらどうしょうか

と、色々考えたが、取り合えずは出かけてみることにして、奥様たちに計画を伝えた。

天気予報の降水確率は40%で普段でも出かけるかどうか判断に悩む予報だが、とにか

く白山は『日本百名山』で『花の山百名山』。曇り空でも花を楽しめたらいいかな?、

くらいの気持ちで奥様たちには『雨具の準備はしっかりと』とだけ伝えておいた。

11時に自宅をスタート、ナビの案内に従って高速道路を走る。名神高速道路までは夜

中でも意外と交通量が多く、スピードをだすトラックに神経を使い、米原JCTからの北

陸自動車道では逆に走っている車がほとんどなく、しかも運転するのは初めての道。外

灯もない暗い高速道路の運転はけっこう緊張した。




途中で少しフロントガラスを雨が濡らしたが、別当出合に着く頃に明らみかけた空は曇

り空になっていた。駐車場に着く手前では路肩に何台も車が停まっていて、『駐車場は満

車かな?』と焦ったが、駐車場の中まで入ると余裕で駐車することができた。

それでも着替えをしてスタートするころには次々と車がやってきた。







駐車場から登山の拠点となる別当出合登山センターまでは石段を登って行く。センター

ではまだ6時前だというのに結構な人で賑わっていた。トイレを済ませ装備を確認して

先ずは砂防新道へと向かう。











ここからは砂防新道と観光新道のコースに分かれるが、今日は登りは砂防新道、下りに観

光新道を下る予定だ。すぐに以前に登った時の記憶に残るつり橋を渡る。あっちゃんに『

酔わないようにね』と言うと『私車と違ってこういうのは平気なの』と言いながら、前を

歩くルリちゃんを怖がらそうと、わざと飛び跳ねて揺らしながら歩いて行く。













登り始めはエンジンがかかるまで体が重い、ましてや昨日の5時過ぎに起きてすでに2

4時間が経過して寝ていないので、なんだか頭がクラクラする。さらにはここのところ

スタートしてしばらくは膝が慣れるまで痛みを感じるので調子は良くなかった。







それでも奥様たちに遅れをとるまいと頑張って登って行く。樹林帯の中の石段や石畳の

道は雨が降った後なのか少し濡れていて、足を滑らせないように気を使いながら歩いて

行く。この間、環境省の道標が要所要所に立てられている。









イブキトラノオ




駐車場をスタートして約1時間、トイレのある中飯場に着いた。ここまでで室堂まで

の1/4、まだまだ先は長い。











中飯場で水分補給をした後、階段状になった大きな石を登って行く。この辺りから道の

脇に咲く花々が目に付くようになってくる。



ソバナ


キツリフネ




途中で右手に不動の滝が見えた。その滝の横にはまだ新しく砂防ダムを造っているの

か、工事用の大きな施設が見える。目線を南に移すと稜線の上は青空が広がってきて

いた。ただ稜線の奥に隠れて別山はまだ見えない。












キオン




中飯場から40分ほど登っただろうか。左手に眺望が広がり『別当覗』と書かれた案内板

が立っていた。目の前の稜線は観光新道の稜線の先の1666mの標高点から、天井壁に

向かって切れ落ちている稜線だろうか?そして眼下は別当谷になるが、木々が隠して覗く

ことはできない。次第に頭上も青空が広がり始めた。










別当覗辺りからは道の勾配も比較的緩やかになってくる。前を歩くショーツ姿の男性は

横浜から来て下のキャンプ場で前泊しての登山だそうだ。今朝着いてすぐに登って往復

する予定だと話をすると驚いていた。標高も随分上がってきたのだろう、視線を遮って

いた稜線の奥に別山が見え始めている。











樹林帯を抜けると周りの植生も変わってきた。そして周りの景色も高山の雰囲気がして

きた。雲の上を抜けた山頂は間違いなく青空だ!













スタート時点で奥様たちには『往復に時間がかかるので、花の前であまり長い時間立ち

止まらないように!』と話をしたが、とにかく次から次と色々な花が咲いているので、

その度写真を撮るので予想以上に時間がかかる。



ハクサンボウフウ


ハクサントリカブト



甚之助小屋には3時間近くかかって着いた。小屋の前のベンチでは大勢の人が休んでい

た。その中で目に付いたのがお母さんと男の子二人におじいちゃん。男の子の弟の方は

年長さんだという。里帰りをして山好きのおじいちゃんに連れられてきているそうだ。

この時点で標高は2000m弱。ここから上は四国の山にはない高さになる。『行ける所

まで行きます』と明るく話をする家族が微笑ましい。









フジアザミ






雲が流れて山頂が隠れそうな別山から視線を移すと雲海が広がっていた。






ヤマハハコ




暫くは石段が続いて行く。しかしよくこんな高い場所で石段を造ったなと思う。それは

登山の為なのかはたまた霊場参拝の為の石段なのか?

スタートから3時間30分で南竜山荘への分岐に着いた。すると年配の男女の3人組が

降りて来て、ザックを下ろして一息入れ始めた。入れ違うようにして登り始めようと歩

き始めると、その人たちが『ここからがキツイからね!』と教えてくれた。『がんばり

ます』と自身を励ますように声を出すと、『頑張ってね!』と応援してくれた。








分岐から少し登ると弥陀ケ原へと続く道が見える。






シモツケソウ




ここから弥陀ケ原直下の十二曲がりまではお花畑が続いて行く。先ほど休憩した甚之助

避難小屋の赤い屋根がはるか下に見える。






ハクサンフウロ





カライトソウ





道の両脇の斜面は赤・白・黄色の花・花・花で埋め尽くされている。











周りの景色は申し分なく、奥様たちからも『ほんと来て良かった』と喜びの声。『ハイ、

私のお陰です』と鼻を膨らませて自慢げな私。






シナノオトギリ









ここから十二曲がりに差し掛かる。黒ボコ岩までの最後の登り。南竜山荘の分岐で『こ

こからがキツイわよ』と教えてくれたが、これだけのお花畑の中の道。その厳しさは全

く感じることなく楽しく歩いて行ける。




















一口飲むと3年長生きするという『延命水』。冷たい水に手をかざし少しだけ口に含む。













前を歩く奥様たちの頭上に黒ボコ岩が見えた。振り返ると十二曲がりの九十九折れの下に

雲海が広がっている。まさに雲上のお花畑に続く道!














弥陀ケ原の先端部にある黒ボコ岩は、火砕流によって山頂から運ばれてきた火山弾。まわ

りにも同じくらいの大きさの岩がゴロゴロしている。これだけの大きさの岩塊が飛んで落

ちてくるなんて、火山の噴火の凄まじさを物語っている。そのボコ岩に登ってはしゃいで

いる奥様たち。










それでも物足りなかったのか、さらにはその横の岩塊の上でポーズをとるあっちゃん。









🔳🔳🔳 後編に続く 🔳🔳🔳

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