KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ引田鼻灯台~讃岐三崎灯台』 塩入~琴南

2023年02月16日 | 香川の里山

今回の線で繋ぐのテーマは、東の引田から西の荘内半島の二つの灯台を、里山を歩いて

繋いでみようと考えて始めたが、当然阿讃縦走路のようにほぼ稜線を歩く訳には

いかず、下道の舗装路を歩いたり林道を歩いたりするケースが出てくる。

それでも出来るだけ山の中を歩きたくてルートを色々と考えるのだが、前回歩いた

尾瀬山から琴南までと、東の三木町の高仙山から塩江の八丁山までの間のルートが

なかなか思いつかなかった。特に尾瀬山からは南に阿讃縦走路に向かって破線は

あるが、東に塩入に向かっては道らしき破線は載っていない。また塩入から東に

向かっては、林道琴南財田線がまんのう町中通まで続いているが(途中未工事

部分有)、距離もかなり長くなり、そもそも山道を歩かないのでは意味がない。

あとは地形図に載っている送電線の近くに保線路が在ればそれに頼るしかないかな~と、

そう思って色々と調べてみると、YAMAPの鉄塔一筆書さんや綾川の山さんが

尾瀬山・塩入・琴南周辺をけっこう歩かれていて、やはり保線路を使って歩かれて

いたので、参考にさせて頂いた。

尾瀬山の南の762.5mの多治の三角点から東に派生する尾根の南側には四国中央東幹線の

送電線が塩入の上空を通って柞野へと続いている。その柞野からはひと山越えれば、

平川沿いに歩くと国道438号線へと出ることができる。お二人が歩いたルートに

少しアレンジを加えれば尾瀬山から琴南の公民館までが繋がる。いままで頭の中で

モヤモヤと雲がかかっていたこの区間だったが、一気に雲が流れて晴れ間が出た。


そう思って迎えた今週だったが、水曜日は気温がかなり低い。山間部では最低気温は

マイナスになりそうだったので、車をデポする尾瀬神社の駐車場は標高も高いので、

途中の車道が凍結している可能性がある。それならまだ少しは標高の低い塩入に

車を置いて、琴南までを先に歩くことにした




先ずは琴南の公民館に集合して、そこから塩入まで移動。林道琴南財田線が東西に走る

交差点の更に奥の路肩が広がった場所に車を停めた。南にはこれから向かう鉄塔が

尾根に沿って続いている。




車を降りると思っていたよりは寒くはなかったが、それでも灰色の空からは

雪の華がチラチラと舞い降りていた。ハア~と思いっきり息を吐くと真っ白になる。

車を停めた場所から少し戻って、スレートの倉庫と立派な門構えの民家の南を、

県道から右に折れて少し下って行く。

そこから財田川の源流域の谷あいを歩き、集落の手前の石垣の前で二股になった

道を左に進んで行くと、砂防ダムへの道になった。













砂防ダムの脇に22番と21番の保線路の矢印杭があり、そこから保線路への取付きになる。

取付きからしばらくは九十九折れの道。風が吹いていないので体感温度はそれほどでもないが

息が切れて空気を大きく吸い込むと、喉元が冷えた空気で痛い。










今シーズン初めて見る道の脇のツララが、なお一層寒さを誘う。薄くスライスしたような

小さな雪がひらひらと舞っている。今日のような雪は何て言うのだろう。綿雪・泡雪?。

地面に舞い落ちた雪は直ぐに融けずに、地表を覆い始めた。











保線路から上にある21番鉄塔はパスしてそのまま進んで行くと、20番鉄塔広場に出た。








四国中央東幹線は伊方発電所からまんのう町の讃岐変電所まで、全長185kmにわたる

50万ボルトの基幹送電線。それだけに鉄塔も一回り大きな感じがする。広場からは

東に尾瀬山、西は大川山辺りだろうか、雪雲の中で霞んで見える。










塩入からは林道琴南財田線を歩くしかないかなと思っていたが、思いがけずこの保線路の

存在を知ることになったが、予想以上に快適な道だ。これも綾川の山さんのお陰だ。

19番、18番鉄塔と順調に進んで行く。













18番鉄塔のすぐ下には林道が地形図には載っている。ここから中寺の三角点までは

今までの緩やかな尾根道から打って変って急登が続いて行く。 











足元の地表は凍って足を踏み込むたびにガリガリと音がする。凍った地面に時々

足を滑らせる。こんな道を下るのは怖いな~と思いながら登って行く。













それでも18番鉄塔から15分ほどで三角点に着いた。三等三角点 中寺 753.57m

今日は山頂を踏むことのない区間だが、この三角点だけが唯一YAMAPでの

ポイントになっている。ただ奥様たちは柞野から既に歩いてゲットしているので

さして感動もなく・・・・・。














中寺は平安時代に栄えた山寺。その存在は地元の人々に伝承されれていたが、記された

書物が少なく、永らく幻の山寺となっていたが、調査の結果様々な遺物が出土し、平成

20年に国指定史跡となった場所。山中に点在する史跡は里から遠く離れた場所で、

不思議な空間を創り出している。

そんな中で三角点の先にある中寺展望台は、県内でも随一の展望所。天気が良ければ

讃岐平野のほぼ全域を見渡せる素晴らしい場所だ。

生憎今日の空模様では薄く霞がかかったようになっていて、遠くまでは見渡せない。

それでも影の形で見える里山を、三人で山座同定しながら景色を楽しむ。




正面に綾川の城山とサンライス・ヒルズのゴルフ場



右に城山と猫山



先週歩いた満濃池



大川山山頂付近には雪が積もっている。







前回ここに来た時は夏場だったので、景色を見ながら30分以上休憩をしたが、今日は

やはりじっとしていると寒い。行動食を口に入れ、ルリちゃんからのピスタチオの

チョコレートも頂きながら、あっちゃんからコーヒーをカップに入れてもらって温まる。

コーヒーを飲んだ後早々に展望台をあとにする。ここからは柞野までは下るだけ。











時間的にはまだ10時。柞野まで降り、更に東に尾根を越えて琴南の公民館まで

3時間強と考えると、少しお昼は過ぎるが今日も三嶋製麺所が視野に入って来た。

その話しをすると奥様たちの歩くスピードが急に上がって来た。











柞野の登山口には40分弱で着いた。先ほどまでの薄曇りの空から晴れ間が見え、

日が当たり始めると暑くなってきたので、ルリちゃんとあっちゃんは雨具を。

私はここで上着のソフトシェルを脱いだ。

道の脇にふきのとう。昨日天ぷらにして食べたばかりだというルリちゃんが、

採らずに写真だけ撮っていた。













柞野川が道の脇に沿って流れている辺りから、地形図では東の尾根に向かって

破線が載っている。その破線の位置から少しズレた手前で、保線路の番号矢印杭があった。







ここから先は事前に調べても歩いた人が見当たらなかったが、503mの標高点まで

破線が続き、そこから南の尾根にも破線が載っている。そしてその先には林道琴南財田線。

尾根に乗っかればなんとかなるだろうと予想して歩いて行く。










途中では作業道と保線路が交わり、間違えないようにと手書きの杭。







その杭に書かれた矢印方向に進むと12番鉄塔の広場に出た。ここまで続いていた

四国中央東幹線ともここでお別れ。







四等三角点 桜 から503mの標高点にかけての尾根の北側は、複雑に波うった

等高線になっている。そのひとつの支尾根に12番鉄塔から登って行く。

地形図では破線は続いているが、登山道と言った雰囲気の道ではなく、踏み跡もなく

時々痩せ尾根になった場所がある。







痩せ尾根で不安定な振りをしてみるが、ただの酔っ払いに見える




前を歩く奥様たちが立ち止まり、前方を見上げている、その目線の先に503mが見える。







ここから503mにかけてが今日一番の急登だった。











前を行く二人もさすがに一歩一歩踏み出して登って行っている。ストックを短くして

時々木の枝を掴みながらゆっくりと登って行く。相栗峠や阿讃縦走路の境目から

鵜ノ田尾峠への急登を思い出す。あっちゃんが『四国三大急登の石墨山より、この坂

の方が急登よね!』と言っている。少しだけ湿り気を帯びた地面はぬかるむことなく

比較的足元は滑らずに登って行けたので助かった。











なんとか登りきった場所に503mの標高点。ここから南に破線は続いている。

ただし道が明瞭だったのは最初のごくわずかな距離だった。







広尾根になった場所では道は不明瞭になり、灌木の間を縫うようにして右に左にと

身体を入れ替えながら歩いて行く。503mで尾根に乗れば、後は楽勝だろうと

思っていたのが間違いで、意外と時間がかかってしまった。











やっとのことで切通になると、きれいなアスファルト道にでた。林道琴南財田線だった。

右に行くと柞野の最上部へと林道は続いている。切通から左に下って行く。

下りになると少し肌寒くなってきたので上着を奥様たちが着込んでいる。

私もと思ってザックを降ろすと、フロントのポケットに挟んだ上着が見当たらない。

ガ~ン!さっきの503mからの途中で落としてしまったようだ。

時間は12時過ぎ。ここから公民館まではまだ4kmほどある。引き返して探すには時間がない。

仕方がないので取りあえず公民館まで下って、お昼を済ませて探すことに。

(結局お昼のあと、探しに戻るのは諦めた)








林道からは北に大麻山と琴平の街並み。大麻山の奥に天霧山の削られた山肌が見える。




林道をしばらく下って行くと道の左に別の道が見えた。奥様たちは気づかずに先を行っている。

予定していた平川への道は直進ではなくこの鋭角に折れた左の道のようなので、奥様たちを

呼び戻し、落ち葉の積もった道へと下りて行く。道はガードレールのある立派な道だが

使われていない林道のアスファルトは、土や石で埋まっている。













平川の支流から平川の左岸に渡り、川に沿って下って行くと大きな砂防ダムがあった。

山の中で見かける砂防ダムのほとんどは、上流からの土砂の流入でけっこう埋まっているが

この砂防ダムはそんな様子が全くなく健全だった。











国道までの道は途中、民家の跡の石垣が点在していた。







集落に差し掛かるが上流部の民家はすでに人の気配が全くない。








国道に出る手前に小さな小屋があった。MAPには山神社となっていて注連縄も新しく、

地元の人達はい今も参拝している様子だった。







国道に出ると奥様たちのスピードが益々上がって来た。『今日は3玉食べるわよ!』と

張り切るあっちゃん。それを聞いてあきれるルリちゃん。








下道のアスファルトを出来るだけ歩かずにと思って計画した今日のルート。四国中央東幹線の

保線路は思っていた以上に快適な道だった。またここ最近では一番の急登とプチ藪と、意外と

変化があり、アスファルト道も柞野の辺りと、林道琴南財田線、そして平川林道の最後の

方から公民館の間だけで済んで、アスファルト道では足が痛くなるルリちゃんにとっても

最低限で済んで良かった。次週は気温が上がれば尾瀬山から塩入を予定。この区間も

山頂を踏むことなくただただ線を繋げるための区間。

他の人から見ると何が楽しいかと思われるのだろうが、始めて見ると目標とテーマがあり、

それに沿って色々とルートを考えるのが先ずは楽しい。そして山中だけでなく里の中を

歩いていると、ちょっとした発見がありそれもまた楽しい。今回は周回した区間も殆どなく、

引田鼻灯台から讃岐三崎灯台までが、ほぼきれいな一本の線で繋ぐ事が出来そうだ。

これこそ線で繋ぐの醍醐味?予定ではあと6区間。春までに何とかその線を繋げたいと思う。


ここまでの西のトラック



ここから先の東のトラック



最新の画像もっと見る

コメントを投稿