かるさんのgooブログ <北国たより>

身近な話題を画像といっしょに・・・

明るくなりそうな話題――「知床」のこと

2003-10-23 20:01:00 | インポート
10月17日にもう一つの大きなニュースがありました。
このところ暗い話しばかりの北海道にとって、久しぶりに明るい(・・くなりそうな)話題です。

ご存知「知床半島」の自然をユネスコの「自然遺産」に登録してもらうべく、環境庁として04年早々に推薦書を提出するとのことです。
順調に行けば05年6月の委員会できまるのだそうです。

私自身、深夜の当該TV番組を興味深く観る程度で、「世界遺産」のことはよく知りませんでした。「白神山地」と「屋久島」が登録されていること・・・程度の知識しか持ち合わせていません。以下は「北海道新聞」からの書き抜きでのおさらいです。

===「世界遺産」とは===
ユネスコが1972年に採択した『世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約』に基づき制度化されたもので、「遺産」は三つに別けられます。

●自然遺産――
自然を対象にして。(世界で149件登録されており、日本では「白神山地」と「屋久島」のみ)      
●文化遺産――
遺跡などを対象に。(日本では「姫路城」「広島原爆ドーム」など9件ある)
●複合遺産――
文化と自然両面で価値が高いもの。

■自然遺産への登録基準(条件)■
① 生命や地球の歴史での証拠となる地形や地質を有する地
② 生物進化の見本となる生態系が現存する地
③ 優れた自然美を持つ景観がある地
④ 絶滅危惧種など、重要生物の生息地であること

登録されるには、上記の基準を一つ以上《③を含む場合は二つ以上》を満たすこと、さらに類似の自然遺産と比較して独自性があり、法的措置などで「保護が担保」されていることが必要。

で今回、環境庁が数ある候補地から「知床」を選んだ主な理由としては

――オオワシ、シマフクロウなどの希少種が生息する地
――世界最南端の流氷接岸地
――北方、南方系の動植物が交錯する地

などの多様性が評価を高めたとのことです。


さて、上記のように「知床の地」が世界遺産に正式に登録されるのはまだ先の話しです。
先回「朱鷺の死」で書きましたように、少しでも自然が保護され、そのままの姿で次世代に継承されることは喜ばしい限りです。
わが国最後の秘境(手付かず・・という意味で)「知床の地」が、この制度の適用によってさらに保護が強化されることを願いたいものです。

とは言うものの、現実はそう簡単には行かないようです。
ご存知のように、北海道が寄って立つ産業の三大柱は「農業、漁業、観光産業」です。

知床の海は漁業資源が豊富なことで知られています。「かに、ホッケ、すけそう、鮭、昆布」などなど、ご承知の通りです。
この、豊富な漁業資源を狙う”ギャング”達(人間達はそう呼びます)、たとえば「トド」などは、現在ある程度は駆除の対象になっているようです。
しかし、自然遺産に登録されれば、それらの”ギャング”達は駆除から保護の対象になるでしょう。漁業関係者はこの辺の「被害の増大」を今から恐れています。

「観光産業」はもっと話しが複雑になります。
「知床」を訪れた方々は多いことでしょう。
この地方は、北海道の観光地のNo.1的存在です。
いま現在でも観光客の増加に比例して、自然が少しずつ破壊されております。《カムイワッカの滝や知床五湖への規制がそれです》
自然遺産に登録されれば、当然それを売りにして観光客の増加を目論見ます→→自然破壊につながります→→規制が強化されます→→観光客の見所が無くなり、足が遠のきます。
といったように「観光産業」にとって自然遺産への登録が喜ばしいのかどうか? 一部ではすでに疑問符を投げかけるむきもあるようです。

ことほどさように「自然保護と人間生活」の共生は困難さを伴います。
ですが、最後のニッポニア・ニッポンとなった「朱鷺のキン」の死を無駄にすることなく、行政も住民も知恵を出し合って進む以外にありません。

知床の自然が「世界遺産」に登録されることを誇りに、これをしっかりと後世の人たちに残す義務感を、一人一人が思いの底に持たねばなりません。


以下は余談です。
知床半島のある地方は、小選挙区制での「北海道七区」とされております。
ご存知「疑惑の問屋」と言われた人の選挙地盤です。
近く公示される衆議院議員選挙には「病気治療」を優先させ、文字通り泣く泣く出馬を断念しました。
公共工事を優先させる「実力者?」のとりあえずの失脚と時を同じくして、「自然保護」という大きな網が被せらようとしている今回の事態です。
もしかしたら・・・環境庁辺りも、彼の人の影響力が薄くなったのを見計らって、待ってましたとばかりに推薦手続きを進めたのでは?・・
などと思うのは「下司の勘ぐり」と言うものでしょうか。

すがすがしい「大自然」の話しと、どろどろした「政治の世界」の話しを、同時進行で進めることの違和感を強く感じながらの、今日の「雑記」です。






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