“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

■科学技術ニュース■筑波大学など、有機太陽電池材料のナノ構造を解明

2014-04-18 10:00:49 |    化学

 筑波大学、物質・材料研究機構、高エネルギー加速器研究機構、広島大学、産業技術総合研究所の研究グループは、軟X線顕微鏡を用いて、有機太陽電池のナノ構造を調べ、それぞれの分子領域内で分子が混合していることを発見した。この発見により、有機太陽電池のエネルギー変換機構が明らかになり、高効率な有機太陽電池の設計指針が得られると期待される。

 バルクヘテロジャンクション型有機太陽電池は、エネルギー変換効率が高いという特徴がある。これまで、高分子材料とフラーレンの単一分子ドメインとの間に綺麗な界面があることが、電池としての効率を高める上で重要であると考えられていた。

 しかし、変換効率を最適化した試料のドメイン構造を、軟X線顕微鏡という新しい手法を使って詳しく調べた結果、それぞれのドメインで分子が混ざっていることが分かった。

 つまり、界面はむしろ「汚い」ほうが電池としての性能が優れる、ということが初めて分かり、これまでの常識を覆す結果が得られた。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「本当は間違っている心理学の話」(リリエンフェルドほか著/化学同人)

2014-04-17 13:41:25 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

書名:本当は間違っている心理学の話~50の俗説の正体を暴く~

著者:スコット・O・リリエンフェルド/スティーヴン・ジェイ・リン/ジョン・ルシオ/バリー・L・バイアースタイン

監訳:八田 武志/戸田山 和久/唐沢 穣 監訳

発行:化学同人
 
 巷にあふれる心理をめぐる数々の「神話」。人は脳の10%しか使っていない、サブリミナル効果、睡眠学習、ポジティブ思考でガンを克服する、アダルトチルドレン、自閉症の流行など、蠱惑的でときに危険な神話を50項目取り上げ、それらはなぜ神話でしかないのか根拠を示して解説する。

 

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■科学技術ニュース■パナソニック、100度以下の低温熱で発電可能な熱発電チューブを開発

2014-04-17 13:40:58 |    エネルギー

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトにおいて、パナソニックは、低温水の余剰排熱を活用して発電する熱発電チューブを開発、200時間を超える検証試験で、96℃の温水排熱から最大246W(換算値820W/m3)の発電性能を確認した。

 この値は、設置面積換算で太陽光発電の約4倍に匹敵する発電性能。

 今回の成果により、発電用熱源として活用が困難であった100℃以下の低温の未利用熱による発電が検証され、将来的には幅広い分野での未利用熱の活用が期待される。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「地球全史スーパー年表」(日本地質学会監修/岩波書店)

2014-04-15 11:18:04 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:地球全史スーパー年表 

監修:日本地質学会(清川昌一、伊藤 孝、池原 実、尾上哲治)
 
発行:岩波書店

 地球46億年の全歴史が、一枚の特大ポスターに! 地質時代と人類史・歴史時代を一つの時間軸でつなぐ斬新な切り口で、地球と人類に「いつ、何が起きたか」が一望できる、全地球人の必携書。地球科学の最新研究を取り込み、地質年代の区分と主要な出来事、環境データなどを収録した美しい年表に、要点をまとめた解説書付き。 

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■科学技術ニュース■がん研など、微量な血液検査で短時間に大腸がんを発見

2014-04-15 11:17:43 |    生物・医学

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発」プロジェクトに取り組んでいる国立がん研究センター研究所と塩野義製薬などの研究グループは、従来の約40分の1の血液量で半日以内に大腸がんの診断が可能な検査手法を開発、実用化に向けた研究開発を開始した。

 同手法は、血液中に存在する微少な小胞であるエクソソームを利用するもので、従来手法では検出できなかった早期大腸がんも診断することが可能となる。

 同研究グループは、がん細胞に特異的なタンパク質や小さな核酸(マイクロRNA)を含むエクソソームを利用して、従来法では1日かかるエクソソームの検出をおよそ1.5~3時間に短縮し、検出に必要な血液(血清)の量もわずか5マイクロリットルと簡便にすることが出来る方法を開発したもの。

 今回の方法は、大腸がんのほか早期発見の難しいすい臓がんや、さらにはがん以外の疾患に対する新たな診断法として期待できる。また、検査方法も、採血だけでなく尿や唾液などへの応用も可能。

 NEDOは、引き続き同研究開発を支援し、臨床現場で使用できる小型質量分析計との組み合わせによる実用化を目指すことにしている。

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/TBS「夢の扉+」/BS朝日「BBC地球伝説」/他

2014-04-14 10:35:02 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>

 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00
                           再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分

4月20日(日) 心の中が丸見えに!? 脳内イメージ研究最前線(アンコール放送)

 人の心の中をのぞき見ることができる!? そんな超能力のような技術が最新の脳科学によって現実のものになろうとしている。鍵となるのが、脳の活動を血流の変化で画像化するfMRI技術。世界に先駆ける日本の脳内イメージ研究の最前線に迫る。

ゲスト:神谷 之康 (ATR脳情報研究所・神経情報学研究室 室長)

司会:南沢奈央、竹内薫、中村 慶子/語り:江藤泰彦

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                  BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~

4月20日(日) 日本発“おいしい冷凍”を世界へ!

 あるレストランで出されるフレンチ・コース料理、実は出来たての一皿をそのまま冷凍したもの。その秘密は、食べ物の細胞を壊さない、まったく新しい冷凍技術。この技術で被災地に新たな食の産業を生み出したい。

ドリームメーカー:菱豊フリーズシステムズ 二宮一就
  
ナレーター:中井貴一
 
テレビ朝日 奇跡の地球物語~近未来創造サイエンス~ 毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

4月20日(日) 日本列島~春の絶景~

 日本列島を駆け抜けていく「春」。今、この時期にしか見られない絶景がある。立山黒部アルペンルートに現れた雪の壁。
この壁はいかにして作られるのか?これから満開の季節を迎える長野県・高遠。そこには桜を守る「桜守」の戦いがあった。

BSフジ ガリレオX 毎週日曜日 午前11:30~12:00 (隔週新作)

4月13日(日) 50年目の電卓(再放送)

 1964年、シャープが世界で初めて電卓を開発してから今年で50年。半世紀前まで車と同じ価格であった電卓も、今や誰にでも手に入る日常品となった。これはエンジニア達の苦労と新しい発想によるところが大きい。液晶、半導体、太陽電池などの発展。彼等の苦労や新しい発想を原動力に日本はすさまじい勢いで技術革新を遂げ産業大国となった。その昭和の時代に輝いたエンジニア達に取材し日本産業の50年に迫る。

BS朝日   BBC地球伝説 毎週火曜日 午後7時~8時54分

4月15日(火)  

①ウォーキング WITH ダイナソー 驚異の恐竜王国 デジタル・リマスター版 3 終末への道

  南極の氷の森に適応したラエリナサウラ、そして恐竜王国の最後の200万年を支配したティラノサウルス。彼らに、最後のときが迫る。1億年以上にわたって地球を支配してきた恐竜の時代は、ついに終わりを迎える。

②世界のランドマーク その裏側に迫る!パリのシンボル・エッフェル塔

  世界で最も人気の高い観光名所の1つ「エッフェル塔」。建設から120年以上がたった今、史上初の大改修工事が行われることとなった。しかし改修工事が進むなかで、技術的な問題をはじめ、さまざまな難題が襲ってくる。

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                              再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分

4月17日(木) 宇宙に届け こうのとり

 ISS・国際宇宙ステーションへの物資輸送で大活躍している日本の宇宙船HTV「こうのとり」。スペースシャトルが担っていた大型実験装置を輸送する任務を引き継いでいる。その成功にアメリカは「マジックだ」と驚くほどだった。

NHKテレビ Eテレ 地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~7時44分
                         再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分

4月 19日(土) ペンギとソンミの物語 コウテイペンギンの子育て

 コウテイペンギンのヒナ、ペンギとソンミは真冬の南極でそれぞれの家族に見守られ成長していく。あるときソンミに危機が訪れる。ソンミを助けようとペンギ親子は…。(2013年韓国)

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◆科学技術書<新刊情報>◆「宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト」(村上敏夫著/講談社)

2014-04-11 10:54:35 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト~どこから来るのか、なぜ起こるのか~

著者: 村上敏夫
 
発行:講談社(ブルーバックス)

 ガンマ線バーストは、電磁波の一種であるガンマ線が大量に放出される「宇宙最大の爆発」のこと。数千億の星を集めた銀河よりもずっと明るく輝く想像を超えた大規模な爆発。最近では恐竜の大絶滅の原因ではないかという説もある。宇宙最大のエネルギーを放出するガンマ線バーストから宇宙の一番星は見つかるのか。宇宙の起源を解き明かす鍵を握る謎の現象に迫る。

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■科学技術ニュース■理研と大阪大学、「電子軌道配列の鏡像異性」を提唱し実証に成功

2014-04-11 10:54:17 |    物理

 理化学研究所(理研)と大阪大学は、らせん状に配列した電気四極子(電子雲の歪み)を起源とする鏡像構造(キラリティ=右手と左手の関係を持つ構造)という概念を提唱し、実証した。

 元素の周りの電子雲の広がり方を量子力学的に表したものが「電子軌道」。電子軌道は必ずしも球形ではなく歪みのある形状をもつこともある。この電子軌道(電子雲)の球形からのずれ(歪み)の一種を電気四極子と呼ぶ。

 3d遷移金属化合物や4f希土類金属化合物などの物質中で、電気四極子がどのような形状で、どのように配列しているかが、超伝導現象や巨大磁気抵抗現象のような電気的・磁気的さらには光学的な性質に重要なことが知られている。

 従って、電気四極子の状態を調べれば、その物質の電気的・磁気的・光学的性質の手がかりを得ることができる。

 これまで、放射光共鳴X線回折という測定手法によって電気四極子が測定され、物質中で電気四極子が全て同じ方向性に配列した強的秩序状態や互い違いになった反強的秩序状態などの電子状態が、ある種の3d遷移金属化合物や4f希土類金属化合物で起きていることが明らかにされてきた。

 今回、これまで見過ごされてきた「電気四極子配列の鏡像異性」という概念を提唱し、実証した。

 大型放射光施設SPring-8の放射光を用い、円偏共鳴軟X線回折という特殊なX線回折測定の手法により、電子雲歪み配列を可視化することに成功したもの。

 さらに電気四極子配列の鏡像異性構造の対をなす右巻きおよび左巻き構造が物質中で共存している顕微鏡像(ドメインイメージ)の観測にも成功した。

 今回提唱・実証したらせん状に配列した電気四極子を起源とする鏡像構造およびそのドメイン構造を、円偏光などの外的摂動によって自在に制御することが可能になれば、新規の長期保存型光学メモリー材料などの開発につながると期待される。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「変化する地球環境~異常気象を理解する~」(木村龍治著/左右社)

2014-04-10 11:21:55 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:変化する地球環境 異常気象を理解する

著者:木村龍治

発行:左右社

 なぜ雨が降り、風が吹くの? 豪雨や台風、豪雪はどうして起きるの? マクロな視野で地球全体の環境を捉え、気象の基本から異常気象まで正しく理解するための基本の1冊。

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◆科学技術ニュース◆NTTなど、量子コンピュータ実現に向け世界に先駆け新メカニズム解明

2014-04-10 11:21:35 |    情報工学

 NTTと国立情報学研究所、大阪大学は、超伝導磁束量子ビットとダイヤモンド量子メモリを組み合わせたハイブリッド系において、長い寿命を持つ隠れた量子状態(ダーク状態)が発現するメカニズムを世界で初めて明らかにした。

 同結果は、保持時間の長い量子メモリを構成する新しいアプローチとして応用できるため、大規模量子コンピュータに必要となるリソースの大幅な削減と、それに伴う開発コストの低減とにつながることが期待される。

 そのため、高速の量子情報処理の実現に向けたブレークスルーとなる可能性を有している。
 
 

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