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●科学技術ニュース●積水化学、エム・エム ブリッジと恒栄電設、浮体式ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験を開始

2024-04-17 09:50:27 |    電気・電子工学
 積水化学工業、エム・エム ブリッジ、恒栄電設の3社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池をプール上に設置するための共同実証実験を、東京都北区において、4月3日から開始した。

 浮体式ペロブスカイト太陽電池の実証実験は、国内初の事例となる。

 2050年の脱炭素社会実現に向けてエネルギーの脱炭素化が求められるなか、フィルム型ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟という特長により、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しかった場所への設置が可能となり、再生可能エネルギーの導入量を拡大できる有力な選択肢として期待されている。

 積水化学は、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築した。さらに、同製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、さらなる耐久性や発電効率の向上、1m幅の製造技術の確立に向けて開発を加速させている。

 エム・エム ブリッジは、沿岸構造物における防食技術を応用したサンゴ礁再生プロジェクトや波力発電技術の開発など、独自の環境保全活動及びクリーンエネルギー開発に取り組んできた。前身の三菱重工業から継承した浮体の構造設計や係留方法などのノウハウを活かすことで、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を水上及び洋上に導入できると考え、浮体式ペロブスカイト太陽電池の設置に向けた共同実証実験に取り組むことになった。

 恒栄電設は、測定データ要素や負荷制御のカスタマイズ性を有する恒栄電設開発品の計測制御システムを導入することで、水上環境や浮体構成ならではの要素データの測定等、浮体式ペロブスカイト太陽電池の設置実験に有用なデータ取得が可能と考え、同共同実証実験に取り組むことになった。

 従来の水上設置の浮体式太陽光発電システムでは、太陽電池および架台の重量を支持する浮体構成や施工性等に課題があった。これに対し、ペロブスカイト太陽電池の軽量性を活かした浮体構成や施工性の検証を目的とし、4月3日より1年間の予定で、東京都北区の閉校となった学校プールに浮体式ペロブスカイト太陽電池を設置し、浮体構成、施工性、発電性能の実証を開始した。

 3社は、同実証により、水上アセットへの再エネ導入手法を確立し、さまざまな水上を活用した脱炭素化社会への貢献を目指す。<積水化学工業>
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