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入場無料の65歳になってから岡山後楽園に3回入園した。気分はとてもよい。後楽園の中を散歩するのは甚だ快適であるが,実はその周辺の散歩もなかなか魅力的なのである。後楽園の正門近くに自転車を駐めて,外側を歩いて一周するのもまた快い。旭川沿いに細い散歩道があり,恋人達の散歩道(ラバーズレーン)となっている。そしてその対岸に岡山城が聳えている。元は国宝だったそうであるが,昭和20年6月の岡山空襲の際に焼失し,昭和40年代に鉄筋コンクリートで再建されたものである。岡山城は烏城(うじょう)と呼ばれている。これは姫路城が白鷺城と呼ばれているのと対比され,壁面が黒色に塗られている。これにも理由があるのだろうが,今は私の調査が未了である。
 後楽園側の烏城の対岸の位置に,昭和天皇の「きしちかく 烏城そびえて 旭川 ながれはるかに 春たけむとす」という歌碑があり,その歌碑の場所から烏城を眺めると,まさしくこの歌のとおりで,旭川が遙かに蛇行する春深き情感を見事に詠まれており,感心してしまう。
 その近くに月見橋という橋があり,それを渡ると烏城の石垣の近くに出る。江戸時代には橋はなく殿様は船で旭川を渡っていたそうで,船着場の跡地もあるようなので,近く探索してみようと思う。
 月見橋を渡るコースを選択する場合には,距離も長くなるので,徒歩でなく自転車の方がよい。
 烏城に入らず烏城の門を通過して,石垣と川の間の細い道を500メートルほど進むと大通りに出るが,大通りを越えると更に川岸に散歩道が続いている。その右側の一角は県庁となっている。さらに500メートル川岸を進むと,夏目漱石の「生きて仰ぐ 空の高さよ 赤蜻蛉(あかとんぼ)」の句碑があり,その上に小さな猫の銅像が置かれている。私はこのコースのサイクリングでこの俳句を知ったのであり,そのときは感動し宝物を発見した気分で,早速メモしたものである。この句は明治43年に,胃潰瘍による「修善寺の大患」を経て,その療養中に生きていることの感慨を詠んだとされており,漱石の代表的な句の一つであるとされている。その句碑の側に小さな立て札があって,漱石と岡山との関わりが書かれている。漱石の兄嫁が岡山出の人で,明治25年に兄の死後漱石が兄嫁の実家に暫く逗留したとあるが,そのとき岡山市に大洪水が発生したということが書かれている。
 その近くの細い橋を渡り,旭川を逆方向に戻ると,道路の川側の斜面に樹齢約60年の桜並木が約1キロ続いており,桜の名所となっている。その並木の下側には細い舗装道路がある。後楽園を左手に眺めながら,この桜並木の下の小径を自転車で疾走するのも甚だ快適である。花見の頃はその小径の一段下の川原が花見客で大混雑する。
 私もこのコースのサイクリングが気に入っていて,以前はトレーニングコースとして毎日のように自転車に乗っていたこともあったが,時間と気持ちに余裕がなくなって,いつの間にかサイクリングをしなくなっていた。今は散歩など生活の工夫としてサイクリングを再開したいと思うようになっている。
 その気になって探すと,誰でも自宅の近くに案外快適な散歩道を見つけることができると思う。そして散歩を毎日の生活の中に組み込み,散歩が楽しみになることは健康の秘訣になるし,毎日1時間の散歩を続けることで10キロ痩せたという話はよく聞くところである。無理しても続かないから,無理のない範囲で,しかし継続するという一点に絞って散歩を頑張るというのも,人生の工夫となるような気がする。散歩を頑張る気になっている時は,案外気力が充実している時でもあるように感じる。(ムサシ)

 

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