日本裁判官ネットワークブログ
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  私たち人間の体や生命に関する科学の進歩が加速化している。
山中伸弥京大教授が、皮膚細胞からiPS細胞を初期化することに成功した。
これから生命として生長しうる他体の受精卵からES細胞を作出するのとは異なり、人倫上の問題がクリアできるし、拒絶反応を生じないし、増殖力も高く、万能細胞としての実用化が期待できるという。
画期的な研究成果であるが、この成果の実用化に向けて各国の研究プロジェクトが熾烈な競争状態に入っているらしい。
万能細胞実用化に係る知的財産権としてどこかが確保してしまうと、コンピューターシステムにおいてせっかく日本で開発されたトロンがその価値を十分に開花できなかった二の前を踏むことになりかねない。
京大を中心にiPS細胞の研究開発が組織化され、国も支援するようであるが、是非ともがんばっていただきたいと思う。
もし万能細胞が実用化すると、多くの医学的な問題が解決すると期待されるが、脳だけは、取り替えてしまうと自己同一性がなくなってしまうから、生まれてから死ぬまで替えることはできないことになるのだろうか。

その脳についても、脳科学の発達がめざましく、これまでわからなかった多くのことが解明されているようだ。
証言や供述の信憑性についても、脳画像で見定めることができるようになってくるのだろうか。

また、ベンダー博士の研究所がマイコプラズマ・ゲニタリウムという細菌のゲノムの完全合成に成功した。
微生物の設計図を人為的に描いて人工生命作りをすることができる道が開かれたことになる。
これは利用価値は大きいが、悪用されると大変なことになる。
科学の進歩をはかる環境を整える一方で、その実用化の方法について真摯に考える機関を立ち上げその機能を充実させて行くことが求められていると思う。
(あすなろ)

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