日本裁判官ネットワークブログ
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 この1週間では、何かと話題になることの多い鳩山法務大臣が、法曹3千人問題で法務省内に検討組織を立ち上げたことが注目されました。法相は、衆院法務委員会で、「3000人では多すぎるとの観点などを考慮して総合的に検討すべき課題だ」として今月、省内に検討組織を立ち上げたことを明らかにしたとのことです(朝日)。この動きは、1/26のブログでも取り上げましたが、実際に組織が動き出したといってもよいでしょう。関連して、2/10のブログでは、日弁連会長選挙を取り上げましたが、法務省と日弁連が、この問題では歩調を合わせることになるのでしょうか。新聞の論調は、法曹人口を抑制することには大体批判的なようです。
 関連して、「新人弁護士の年収減少、出来高払いも…司法試験合格者増加で」(読売)との報道もありました。日本弁護士連合会(日弁連)が、弁護士の採用状況についての調査結果を発表したもので、「昨年就職した新人弁護士の年収は減少傾向にあり、固定給のない出来高払いの新人弁護士も7・85%に上るなど、司法試験合格者が増加する中、厳しい状況が裏付けられた。」「調査結果によると、新人弁護士の平均年収は、2006年は600万円台が59・62%と最も多く、次いで500万円台が14・56%となっていた。しかし昨年は600万円台が36・15%に減少する一方で、500万円台が27・1%に増えるなど、減少傾向がくっきり。今回初めて実態調査を行った「出来高払い」の弁護士も7・85%に上った。」(読売)とのことです。こうした状況が、法曹人口を抑制する動きの背景になっているのでしょう。でも、果たして、収入や就職の問題で、法曹人口を抑制することに説明がつくのでしょうか。他の国で、いったん増やした法曹人口を抑制する政策をとった国があるのでしょうか。
 他にも、 裁判員制度導入延期を 仙台弁護士会有志が決議案提出との報道(河北新報)もありました。仙台には、「裁判員制度に反対する在仙弁護士の会」があるようで、河北新報によると、同決議案の発議は、同会所属の弁護士42人によるもので、仙台弁護士会の全会員(284人)の約15%を占めるとのことです。仙台弁護士会は、東北地方の代表的弁護士会だけに、同弁護士会で決議されるのか注目されるところです。韓国では、国民参与制度が始まり、日本でも、実施が1年余に迫った段階ですが・・・。
 全体としては、最近、改革疲れが法曹界に広がってきたと言えるのではないかと思います。

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