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先日,少年院の成人式に来賓として出席した。

百数十人の在院生が姿勢を正して着席する体育館。
モーツアルトの軽やかなメヌエットが流れる中,みんなの拍手に迎えられ,新成人23人が,間隔をあけて一人づつ,両手をしっかり振って入場し,壇の前2列に着席する。
新成人の名前が一人づつ読み上げられと,それぞれが「はい!」と大きな返事をして立ち上がり,後ろの在院生,保護者,来賓に一礼する。
学園長の式辞。地元教育長そして在院生代表の祝辞と励ましの言葉。
記念品の贈呈。

新成人を代表して一人が壇上に上がり,誓いの言葉を述べる。
「この学園に入院しても,本気で謝罪したことはまだありません。うわべだけの謝罪だけなら,いつでもできると思います。ですが,今まで数え切れないくらい謝罪をし,何度もチャンスを頂きましたが,私は,その事に甘えてしまい,同じ事を何度も繰り返してきました。」「成人になったからには,心から謝罪ができるようにしっかりと生活をし,被害者の方々にも,心からの謝罪をし,認めて貰えるように準備をしていきます。」

続いて,23人の一人一人が,短いながらも,前向きの決意を力強く述べる。謝罪と感謝を忘れない人間に成長したい,そんな想いが伝わってくる。
その23人が綴った作文集には,何度も何度も押し寄せる不安や絶望との闘いがかいま見える。更生に向けて必死の毎日なのである。少年院の教官達は,そうした少年たちを支え励まし,考え抜く力を育てようとしている。

ボランティアの女性グループによるお祝いのコーラス披露。
そして,参列者全員で,「栄光の架橋」の合唱。

最後は,また,新成人が一人づつ,拍手の中を退場する。
学園長がその一人一人と笑顔の握手。少年らは照れながらも嬉しそう。
いつもは豪放磊落な学園長の目が次第にうるみ,赤くなって行くのが,遠目にも分かる。

きりっとした緊張感の中に,温かさも十分感じられた成人式だった。
新成人に幸あれ。(蕪勢)

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