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閑話つれづれパートⅢ其の13

2015年08月07日 | ブログ
ナポレオンの村

 以前NHKで「限界集落株式会社」というドラマがあったけれど、趣旨は同じだと思う。現在わが国の大きな問題点のひとつに、地方が消滅する恐れがあることが挙げられる。特に山間の集落や離島では、現実化しているところもあるようだ。

 集落全体を株式会社のような会社組織として、農業などから得られる収益を全体で分配する。農業のやり方を効率化し、また農作物の付加価値を高める方策により、個々の農家がそれぞれに取り組むよりはるかに全体としての収益も増加すると考えられる。

 「ナポレオンの村」は6チャンネル(TBS)の日曜劇場で、「天皇陛下の料理番」、「とんび」また少し前になるが、「仁」などと非常に好評を博した番組が続いている。都庁から限界集落を抱える市役所に赴任した一公務員が、奇抜な発想で住民を巻きこみ奮闘するドラマだ。

 私などが診断士になった2008年頃は、国の施策である農商工連携が注目されており、地元商工会議所などで、農商工連携セミナーをやらせてもらったりしたが、プレゼン資料の中に、塩見直紀氏の著作による「半農半Xという生き方実践編」(株)ソニー・マガジンズ2006年刊から

 『「ないものねだり」の20世紀は終り、地域にすでに存在、または潜在する「宝」=「地域の資源、遺産、経験、記憶など」に光をあて、「あるもの探し」によって地域を見つめ直す時代。』や

 「農業の基本価値」と題する株式会社 創森社から2008年10月に出された大内力先生の著作から、「山を守る人がいるから自然を楽しめる」という以下の一文を紹介したりした。

 『日本の山村の奥の集落はほとんどゴーストタウンになっている。 また一般に、山村の住民の多くは高齢化しており、 最近では人口の絶対的減少が起こっている。

 このように山村に人間がいなくなったことが山を荒らす原因になっている。社会環境の保全というのは、何よりまず人間がそれぞれの地元に住んで、地元の自然をきちんと守っていけるような社会的条件を 維持していかなければならない。社会環境と自然環境とは表裏一体のものだ。そればかりか、山村や農村には伝統的なさまざまな文化的価値がある。民俗・風習から民話や民芸にいたるまで、伝統的文化は 農山村において継承され、維持されるものだ。しかし、それは山村や農村に住んでいる人だけでなく、都会に住んでいる人たちも、休みのときには農山村に行って自然に接触すると同時に、そこに残っている伝統的な文化にも接触することができる。そういうことがなければ、ひとつの国の厚みのある文化的環境は維持できないであろう。』

 国の方針・施策は重要である。それは地方にお金をばら撒くことではない。逆である。山林や農地に対する税制改革が必要なのだ。農地や山林を物理的に管理できなくなった所有者は、手放さざるを得ない状況(遊休農地や遊休山林の固定資産税を増額)にして、少しずつプレーヤー交代を促さなくてはならない。税金を払えない土地は一旦国が没収して企業化するか、農業や林業希望の人々を募り分譲すればいい。都会でフリーターをやり続けるより、農業や林業をやった方がいいという若者は居る筈だ。

 限界集落とか、過疎の村とかいうけれど、実は一杯お宝が眠っているであろう。自分達で掘り出すか、撤退して他人に後継を委ねるかの選択が住民自身からも必要である。単なる惰性による世襲の弊害は政治家だけではないのである。



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