権力闘争と経済
政治の世界では「常在戦場」で、油断も隙もあったものではない。世界が平和の祭典をやっている間にもロシアは軍をウクライナ国境に向けて示威行動を続けている。そんな中、自民党は小さなコップの中の争いを続けているように見える。
山口県の選挙区争いで、安倍元首相と林外務大臣の対立を見据え、高市政務調査会長は林外相のロシア対応に批判の矛先を向ける。参議院選後の政局に、菅前総理や河野太郎元外務大臣の中に高市氏も割って入ろうと必死なのだろうと診る。
野田氏や小池氏は二階元幹事長頼みと見えたが、高市氏は安倍氏頼みというところか。権力者にすり寄るのは、男女を問わずあることだが、ことさら女性議員の様はみっともなく映る。もっともっと自身で力を付けて派閥くらい持てるようになって総理総裁を目指して貰いたい。
大体高市氏は安倍氏と政治信条などのすり合わせが出来ているのだろうか。当て馬に利用されるに終わる懸念が高い。安倍氏は習近平を国賓で招くとした媚中派だ。岸田政権下になって、中共の台湾への軍事進攻が懸念されるや、安倍氏は中共に警告し、岸田氏との違いを際立たせるため、いかにも右翼のような言動をやって見せたが、その文言の最期には、中共のTPPへの参加を歓迎する呼び掛けを行っている。
岸田政権では、TPPへの中共の参加は諸条件を満たすためのハードルが高いとみているようだが、安倍氏の発想では、自身の派閥の勢力で、抜け道を作るのは容易だよと言っているにようにさえ聞こえる。わが国とって非常に危険な思惑だ。
ただでさえ、中国人の北海道などの原野の買い上げに何の制約も加えず安倍・菅政権は8年余りを無為無策に過ごした。中国人の北海道への投資もアベノミクスの一環と考えているのではないか。ロシアや韓国もそうだが、中共とどのような約束をしようと、向こうの都合で簡単に反故にされる恐れが強い。領海問題などの国際裁判結果を無視する中共の姿がそれを明瞭に示している。
それにしても、ここにきて岸田政権への支持率に一部黄信号が点り、支持と不支持が同程度となってきたところさえある(毎日新聞調べ)。これを見たネットの野次馬は、投資家のほとんどは岸田政権にNOだとし、それを持って経済音痴の政権と罵倒している。
何のことはない安倍政権を支えたプチブルジャア層の支持が消えたに過ぎない。現在この国の問題は安い賃金で働かざるを得ない、主に一人で子供を育てるパート・アルバイトの女性が増えていること。年金が心配な老後への備えだなどと言い訳しても、株式投資ができるようなゆとりのある層が、株価が下がったから政権の経済政策が間違っているみたいなことをネット上で言わない方がいい。「経済」を知っているのか疑わしいことがバレバレだ。
米国の分断ほどまで行っていないわが国はまだ救われているが、近年の強欲資本主義は、大企業などの社長の給料はどんどん上げて、株式配当も増やして、富裕層をさらに豊かにしてきた。株式時価総額による企業評価もあってもいいが、現在はSDGsの時代。従業員が楽しく働ける企業が良い企業なのだ。