必殺の腕緘(うでがらみ)
必殺といって、腕緘では前稿の「摺上」のように相手は死にはしない。確実に極るという意味で使っている。現在の柔道では、関節技は上腕肘関節のみ逆が取れる。また、立ち姿勢から腕挫脇固等を施す場合、一挙に体を捨てることは禁止されている。但し、実戦柔道にそのようなルールはない。たとえ指一本でも逆を取って敵の戦意を削ぐことは常識である。
柔道の関節技(「逆」とも言う)はプロレスなどにも多く応用されており、十字固めなど、柔道をやった事なくても知っている人も多かろうと思う。相手の上腕を極めた時の姿勢が、相手と十字の形になるところからの名称である。正式名は「腕挫十字固」。腕挫(うでひしぎ)は、十字固以外では、相手の肘関節の逆を取る場合の支点や極のポイントとなる部分でその名称が付いている。腕で決めれば「腕挫腕固」、膝でなら「腕挫膝固」、他「腕挫肩固」、「腕挫体固」、「腕挫腹固」、「腕挫脇固」など。中で、少し施術が難しいが、「三角固腕挫」もある。
いずれも立った姿勢からも寝ても繰り出せる。極の形では、腹固や脇固が出てくるし、固の形では、これは寝技における関節技として、腕緘、腕挫十字固、腕挫腕固、腕挫膝固、足緘が取り上げられている。
一般の柔道教本では、投げ技だけでも相当のページ数を割ざるを得ず、これに袈裟固や横四方固などという抑え込み技が相当数あり、絞め技も盛り込まなくてはならない。一般に関節技の解説は十分とは言えない。寝技の鬼と称されたという小田常胤九段(当時六段)が昭和4年に出された「柔道大観」くらいになると、下巻はまるまる固め技の解説だから、関節技も48章にのぼり、同じ技でもいろんな体形、機会によっての取り方の研究がなされている。しかし、ここでそこまでの専門的見地からの解説はできない。
しかし、逆(関節技)こそ当て身と並ぶ実戦柔道の真骨頂である。袈裟固などの抑え込み技は、逆や当て身への過渡的状態と捉えられる。
腕緘(うでがらみ)は、本稿でも度々ご登場いただいている木村政彦師範も得意技とされていたというが、実は数ある関節技の中でも、非常に実戦的な技だと考えている。すなわち極が曖昧にならず、それほど熟達しなくても極めることが出来るのである。曖昧とは、例えば腕挫の膝で極める、肩や腹を使う。それはあくまで流れの中で相手を的確に捉えれば可能であるが、タイミングとスピードがかなりピンポイントであり、少し外すと逃れられる。それを目指して極めにもゆき難いように思うのである。その点腕緘は狙ってゆけるし、極まれば相手は逃れる術(すべ)が難しいのである。
こちらが仰向けに倒れている時に、相手は上から捕縛しようと覆いかぶさってくる。不用意にこちらの体側に手を着く、または手をかざす。この手を捉えるのである。勿論横四方固など抑え込みながら取ることもできる。手首ではなく、手の甲を包み込むように握る。手首を捉えるより、逆を取るモーメントが大きくなり、より少ない力で制することができる。反対に関節技を食わないためには、不用意に手を伸ばして関節を相手に晒さないこと。当て身も引くを素早くすることが大切なのである。
普通の柔道では、小手捻りなど逆を取って投げる技は禁止されており、通常練習することがないが、逆を取って投げる技は合気道の専売特許ではない。押さば廻れの円運動による捌きも柔らの範疇である。ひとつ柔道に「実戦」という言葉を加えるだけで、研究を要する技の範囲は無限に広がるのである。
必殺といって、腕緘では前稿の「摺上」のように相手は死にはしない。確実に極るという意味で使っている。現在の柔道では、関節技は上腕肘関節のみ逆が取れる。また、立ち姿勢から腕挫脇固等を施す場合、一挙に体を捨てることは禁止されている。但し、実戦柔道にそのようなルールはない。たとえ指一本でも逆を取って敵の戦意を削ぐことは常識である。
柔道の関節技(「逆」とも言う)はプロレスなどにも多く応用されており、十字固めなど、柔道をやった事なくても知っている人も多かろうと思う。相手の上腕を極めた時の姿勢が、相手と十字の形になるところからの名称である。正式名は「腕挫十字固」。腕挫(うでひしぎ)は、十字固以外では、相手の肘関節の逆を取る場合の支点や極のポイントとなる部分でその名称が付いている。腕で決めれば「腕挫腕固」、膝でなら「腕挫膝固」、他「腕挫肩固」、「腕挫体固」、「腕挫腹固」、「腕挫脇固」など。中で、少し施術が難しいが、「三角固腕挫」もある。
いずれも立った姿勢からも寝ても繰り出せる。極の形では、腹固や脇固が出てくるし、固の形では、これは寝技における関節技として、腕緘、腕挫十字固、腕挫腕固、腕挫膝固、足緘が取り上げられている。
一般の柔道教本では、投げ技だけでも相当のページ数を割ざるを得ず、これに袈裟固や横四方固などという抑え込み技が相当数あり、絞め技も盛り込まなくてはならない。一般に関節技の解説は十分とは言えない。寝技の鬼と称されたという小田常胤九段(当時六段)が昭和4年に出された「柔道大観」くらいになると、下巻はまるまる固め技の解説だから、関節技も48章にのぼり、同じ技でもいろんな体形、機会によっての取り方の研究がなされている。しかし、ここでそこまでの専門的見地からの解説はできない。
しかし、逆(関節技)こそ当て身と並ぶ実戦柔道の真骨頂である。袈裟固などの抑え込み技は、逆や当て身への過渡的状態と捉えられる。
腕緘(うでがらみ)は、本稿でも度々ご登場いただいている木村政彦師範も得意技とされていたというが、実は数ある関節技の中でも、非常に実戦的な技だと考えている。すなわち極が曖昧にならず、それほど熟達しなくても極めることが出来るのである。曖昧とは、例えば腕挫の膝で極める、肩や腹を使う。それはあくまで流れの中で相手を的確に捉えれば可能であるが、タイミングとスピードがかなりピンポイントであり、少し外すと逃れられる。それを目指して極めにもゆき難いように思うのである。その点腕緘は狙ってゆけるし、極まれば相手は逃れる術(すべ)が難しいのである。
こちらが仰向けに倒れている時に、相手は上から捕縛しようと覆いかぶさってくる。不用意にこちらの体側に手を着く、または手をかざす。この手を捉えるのである。勿論横四方固など抑え込みながら取ることもできる。手首ではなく、手の甲を包み込むように握る。手首を捉えるより、逆を取るモーメントが大きくなり、より少ない力で制することができる。反対に関節技を食わないためには、不用意に手を伸ばして関節を相手に晒さないこと。当て身も引くを素早くすることが大切なのである。
普通の柔道では、小手捻りなど逆を取って投げる技は禁止されており、通常練習することがないが、逆を取って投げる技は合気道の専売特許ではない。押さば廻れの円運動による捌きも柔らの範疇である。ひとつ柔道に「実戦」という言葉を加えるだけで、研究を要する技の範囲は無限に広がるのである。