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現場力について考える第7回

2015年03月19日 | ブログ
私の小集団活動

 現場力の強い企業は、自然にそうなったわけではなく、それなりの要因があった筈である。特に経営者が意識したわけでもないのに気が付いてみれば、現場力が高いと評価されるようなこともあろうけれど、その場合も基を糺せば、このような経営方針が現場力の向上につながったというようなことは思い当たる筈である。

 わが国で1950年代後半から始まったとされる高度経済成長の特に後半において、現場力の向上に大きな貢献をしたものに、TQC(総合的品質管理)の一環として多くの企業が取り組んだ小集団活動(QCサークル活動)があったことは間違いがないと思う。改善提案活動もそうだ。

 私が勤めた石油化学の工場では、小集団活動は1980年代に入った頃から始まったように記憶する。結局10年間くらい、半年毎にテーマを決めて活動したから、20案件近くは取り組んだ計算になる。リーダー研修では講師から、「リーダー足る者、職場の問題点を7つくらいはすぐに上げることが出来なければいけない」と言われたことが印象深い。まずは問題発見能力が問われるのだ。活動では、仲間とともに現状把握に始まり、QC7つ道具なども使いながら、解決の方策を模索する。

 その後、管理職になって電子部品の生産部署に異動となったが、そこでは主婦が中心の50名程度のパートさんと仕事をすることになった。そこで、自身の経験から彼女たちに小集団活動をやって貰うことにした。パートさんの小集団活動は、恐らくあまり例がなかったのではないかと思う。上司の理解、協力があったことで実現したことでもある。

 オリジナルな活動計画書兼報告書のフォーマットを作成し、ここにグループ名、メンバーに始まり、活動計画、テーマ選定とその理由、現状把握から改善案、その実施、効果の確認までを記入してもらう。

 QC7つ道具では、特性要因図に絞って使って貰うようにした。残業は週一回一人1時間を認め、諸々の意見等は、自宅で考えて来て貰うようにした。発表会には本社からも関係者に来てもらって、彼女たちの堂々の発表を見て貰ったものだ。

 結局1年間2度の活動で、われわれが携わった事業自体がアウトソーシングされることになったため、すべての活動は終りを告げたけれど、その間彼女たちの働きによる生産性は約1.7倍に高まっていた。

 診断士となって、企業訪問などの機会ある度に、小集団的な活動を勧めるのだけれど、じゃあやってみようかという経営者はいない。改善提案制度は取り入れているところは結構ある。もっとも数人規模の企業では、活動を難しいと考えることは分かる。しかし、大企業でやっているような、いたような活動をそのままやることはない。独自のやり方を工夫し、従業員の自らが考える力を伸ばす方策に活用して貰いたいものである。それが今後の現場力の維持向上に確実に貢献すると考えている。



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