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現場力について考える第2回

2015年03月04日 | ブログ
現場

 「現場」の定義を見てみると、『事件や事故が実際に起こった場所。現にそれが起こっている場所であり、実際に作業が行われている場所である。企業などでは管理部門に対する実務部門をいう』とある。現場には人為的に加工されていない生の情報が存在するゆえに重要であり、現場主義とか三現主義(現場・現物・現状)などが生まれた。

 「現場」と聞くと企業活動においては、ものづくりの現場をイメージするが、もっと分かり易いのが工事現場、事故現場、医療現場など、企業には製造現場の他、研究・開発、営業、販売、試験、物流の現場、行政機関には教育、福祉など多くの現場がある。いわゆるオペレーションの総称であり、現場力とはオペレーションによるパフォーマンスの力量である。

 これらの力量差は、当然に組織の成果を左右する。ただし、その方向性を決めるのはトップの方針であり、ビジョンであり、それを達成するための戦略である。方向性や戦略を誤るといくら現場がしっかりしていても組織としての成果は出ない。

 現場をもう少し広く捉えると、企業の場合には本社から見れば工場は現場であり、複数の店舗を経営するスーパーマーケットや百貨店、居酒屋チェーンなど本部と各店舗の関係では店舗のオペレーションは現場となる。

 本社や本部が、中央集権的に指示命令系統を一本化して、効率的な調達や広告宣伝を行うことは合理的であるが、本部の意向が強いと現場を生かすことにはならない。「経営と現場は近い方がいい」と言われる。特に店舗運営などは、品揃えから陳列、価格なども立地によって異なるケースも考えられ、店それぞれに委ねた方が成果を得られる場合もあろう。また店舗運営にあっては、スーパーマーケットなど、鮮魚、精肉、青果、加工食品などに現場は分かれている。それぞれの売場責任者が知恵とアイディアを出して、それぞれがそれぞれの売場づくりをすることで、成功しているお店もあると聞く。

 しかし、その為にはその現場を生かせる店長が必要であり、店ごとに優秀なスタッフが必要である。まさに「企業は人なり」といわれる所以である。

 以前、テレビで紹介されたのを見たのだけれど、新幹線客室内の「折り返し清掃」など、その手際良さには、外国からの視察などでは、要人からも驚嘆されるらしい。その現場が新幹線の緻密なダイヤを支えている。また、東京スカイツリーの建設の現場工事担当者は、単に与えられた設計図通りに作ればいいとは考えていなかったように思う。恐らく飛鳥の時代に法隆寺の五重塔を作った職人達もそうであったろうけれど、後世にも誇れるものをというスピリッツがあり、あった筈だ。それはわれわれ日本人のDNAに組み込まれた遺伝子なのかもしれない。しかし、そのDNAは何もしないで継承してゆくものではなかろう。良い現場を維持するためには、組織のリーダーの責任は重大である。
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