大阪都構想
政令指定都市である大阪市を廃止して、4つの特別区に分割することの是非を問う住民投票はいよいよ本日行われるという。遠く離れた大阪でのことだけれど、前回の橋下さんがやっていた頃は、いいのではないかと思っていた。惜敗し、橋下さんも政界引退ということになったように記憶する。
府と市の二重行政の解消という分かりやすい目的で、説得力はあったように感じていた。しかし、その後の橋下氏の安倍応援コメントや、菅政権になっても政権側に立った発言を繰り返し聞いているうちに、その人間性が信用できなくなり、大阪都構想も眉唾ものと思うようになっていた。
どうも専門家筋では、もともと評判の悪い施策であったらしい。専門家すなわち橋下氏の嫌いな「学者」達の意見ではある。橋下氏は日頃、学者が政治家を批判すると、その現場体験の無さを指摘してやり玉にあげる。「偉そうに」というのが常套句である。弁護士は学者より偉いと思っているらしい。
どちらも真っ当な人は偉いが、リベラルとかに被れたり、私利私欲でやっている連中は似たようなもの。橋下氏は弁護士で府知事や市長の経験者だから偉いのか。どうも世の中、政治家ほど評判が悪い人たちの多い職業も少ないから、政治家をやっていたことは、実はあまり自慢にはならない。
橋下氏は桜を見る会で、安倍当時の首相に批判が集まると、「桜を見る会は止めにしろ」と提案して火消しに回った。万引きした子供に「もうその店に行ったら駄目ですよ」と言ったに過ぎない。菅新首相も「桜を見る会」はやらないという。不正を「会」そのものの責任にすり替えたのだ。
菅首相の日本学術会議委員への人事権行使にも、橋下氏は、学術会議の問題点を強調する側にまわり、本件に関して静岡県知事が菅首相の知性や教養に難癖を付けると、ここぞとばかり反論した。どちらもどっちだけれど、一般的に権力側を擁護する人物には、庶民感情からは違和感を覚える。うまい汁を吸っているのではないかとか、出世の糸口にしようとしているのではないかと下司の勘ぐりを入れたくなる。
そんな発案者の素性が明らかになると、大阪都構想も眉唾ではないかと思えるようになり、一ミリも住民投票に関係しない私も反対意見に変わった。
それにしても学術会議の推薦者の一部任命拒否は、いくら内閣総理大臣であってもきちんとその理由を説明する必要がある。学術会議の在り方の問題は別問題であり、その改革は改革として別途行う案件である。どうも菅首相は長く安倍政権に学び、権力の使い方を間違って捉えているようだ。その知性や教養のレベルを疑われても仕方がない所業である。