中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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今の世の中を見てみれば その14

2020年10月10日 | ブログ
悪手

 日本学術会議が推薦した新会員の候補者6人が任命されなかった問題が波紋を広げている。何のことはない、単なる菅首相個人による総理大臣の権限拡大解釈による大悪手に過ぎない。コロナ禍に敢えて学会等を敵に回す余計なことだ。

 確かに日本学術会議という組織にも問題があるかも知れないし、総理大臣は象徴天皇と異なり、任命権がある案件に関しては責任もあるわけで、もっとも任命した大臣の不祥事は口だけの責任論で終わりだが、外した方がいいだろうと考えて任命除外する権利も総理大臣になくはないのだろう。しかし、長きに亘る慣例を破ってその権限を行使するなら、当の会員はじめ国民にもその経緯や理由を説明して、理解を求めるべきである。

 民主主義とは、政治家が選挙で選ばれれば、後はその任期中に法律に抵触しない限り何をやっても良いというわけではなく、為政者は結果責任だけでなく、何かを変える場合は、国民にその経緯と理由を説明する義務を伴うものだ。前提として政府と国民の情報共有が機能していて民主主義は成り立つものだ。あまりに情報が権力側に偏在すると、選挙と言っても国民には判断ができなくなる。だから首長選挙、国政選挙においても国民の投票率は下がり続けている。

 勿論、外交や安全保障に関しての機密事項はあり、何でもしゃべれ、都度説明と言うわけにはゆかないことも承知している。しかし、今回のことは外交問題でも安全保障に関することでもない。

 安倍政権では、やったことが都合悪くなると蓋をする、世間はそのうち忘れてくれるとの悪習が根付いて、自由民主党は民主主義の基本を忘れてしまった。というより、知らないまま安倍さんは総理大臣になっていたのではないか。菅政権はそれを踏襲するということで成立した内閣である。権力者の権力は可能な限り好きなように使いたいお方であるようだ。

 安倍政権では、官僚の人事権を握り、総務省所管の放送電波の許認可をちらつかせ、テレビ局を一部篭絡した。そして忖度政治が蔓延した。誰も家族があり生活がある。“長いものには巻かれろ”で事なかれ主義が蔓延する。政権の独裁化を助長させた。

 その政権を踏襲しますと登場した番頭の政権が、本当の民主主義を理解しているとは思えない。いかに政権擁護の弁護士番犬が吠えても、今回そのことがはっきりとした出来事であったというべきであろう。悪手は悪手である。

 しかし、碁や将棋のプロの対局ではないので「待った」は許される。説明できないなら過ちを認め、全員を任命し、学術会議の問題点は、別に関係者で改善を議論すればいいのではないか。




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