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自民党総裁選2018 その7

2018年09月19日 | ブログ
保守層の分裂

 安倍政権の誕生には強固な保守層の支持があった。安倍さんも呼応して民主党からの政権奪還に保守層の力強い支援を期待した節がある。9条改正をはじめとする憲法改正。靖国参拝。尖閣に公務員の常駐。竹島の日式典を政府行事に格上げする。原子力発電の継続などなど。一般向けにも北方四島の返還や拉致問題の解決などを掲げた。

 中身はよく分からないが、確かに集団的自衛権をはじめとする安保法制を成立させた。靖国へも一度行った。しかしオバマの米国からも中韓を刺激するなとクレームがくると、これ幸いに以後行っていない。小泉さんの中韓に叩かれても、財界から中国で仕事がし難くなるから止めてくれと懇願されても靖国参拝を続けた姿勢から遠い。トランプさんなら靖国参拝に文句は言わないと思うのだけれど。

 実行したのは部分的で、対米追従に必要な政策のみ。勇ましい部分は全くと言って良いほど何もしていない。そればかりか2015年の「戦後70年談話」で戦後50年の村山談話を踏襲し、同年末には1965年の日韓基本条約において解決済みとされる従軍慰安婦問題にあらためて外務大臣による日韓合意(日本からあらためて10億円を拠出する)を成立させた。

 このことで、まず右派論壇の重鎮、京都大学の中西輝政先生が怒った。その後著名な雑誌に「さらば安倍」宣言を寄稿したのだ。私は確か文藝春秋でこの論文記事を読んだが、その時点ではまだ、安倍首相を批判する意志を持たなかった。リベラルは嫌いだが、先の戦争についての見解に自身で明確な論理を持たない。ただ、日韓合意はどうせ反故にされるだろうと思っていた。岸田外務大臣では韓国になど対等に向き合えない。その後、その通りになっている。

 安倍さんが次に真の保守層を裏切ったのが、加憲とする憲法改正案である。公明党案に乗っただけ。思想も信念もない。自衛隊は災害救護隊の位置づけになる。自衛隊員のほとんどは、こんな改正ならしない方が益しと考えているのではないか。しかし、この時点でも櫻井よしこ氏などは、安倍さんを「何という策略家」というように褒め称えていた。右派の論客と言ってやっぱり女は女で、口先男にコロリと騙されるところが、やっぱり駄目だと思ったものだった。しかし最近櫻井氏は、「現政権の原子力政策は菅政権と同じになった」と批判しているようだ。確かにそこかしこに増加する太陽光パネルは新たな景観と自然破壊の兆候を示し始めている。

 さらに中国の一帯一路に条件付きとはいえ協力するとしたことだ。ここらあたり親中派の二階幹事長の顔を立てたところが透けるが、そうしないと自分の3選が危うくなる。

 それでもなお、保守層の中に安倍支援の知識人もおられるようだが、安倍政権になって株か何かで儲けさせて貰っているか、いろいろ新たな金脈が生まれたのであろう。しかし、個人の過分な金儲けは保守の本分ではない。もっとも彼らもすでに積極支持ではなく、「裏切りの石破」に代表されるように対立候補叩きか、他に人材が居ないという消極的安倍支持のように感じる。

 モリカケの国会空転による災害対策の遅れが、何人の国民の命を奪ったかと批判する人も居ることで、外交の成果は見えず、一体安倍支持の保守勢力とは何なのか。

 いち早く「さらば安倍」と叫んだ中西先生が正解だったように思う。




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