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日本が危ない 第10回

2017年04月28日 | ブログ
民主主義の欺瞞

 民主主義、すなわち最大多数の最大幸福。そして多数決ということになれば、通常一票でも多い意見が採用される。

 米国の大統領選挙制度のように、国民全体の得票率では凌駕しても、州の独立性が重んじられて、州ごとに一票でも多い候補がその州に割り振られた代議員を総取りする方式(総取りでない州もあるらしい)だと、今回のトランプ大統領のように必ずしも国家全体の意思に添わないケースもなくはないが、州ごとの多数決ルールは担保されているのだ。選挙制度の問題である。どちらがいいかは分からない。

 英国のEU離脱か否かを決める国民投票結果も、後から離脱派の主張に嘘があったと問題になったようだけれど、一国の政権交代を掛けた総選挙などでも、いまや必要以上に肥大化したマスコミの情報操作で、結果は大きく影響を受ける。一般国民には政治家の言葉やマスコミ情報の真偽を確かめ判断する術を持たないのが現実ではないか。結果として多数決が全体の幸福に繋がらないケースが多くなる懸念がある。それも含めての国民主権ではある。

 東京都の知事が代わって前任知事の決定事項がみごとに撤回されたのは、1995年の都知事選において、当時の鈴木知事肝入りの世界都市博覧会の中止を訴えた青島幸男氏が当選し、準備の進んでいた都市博を公約通り中止させた事件が印象深い。

 都市博はバブル崩壊後の景気浮揚策として期待した人々も多かったのではなかろうか。一つの成長戦略として有効であった可能性はある。

 沖縄の普天間基地辺野古移設もようやく知事の認可を受けて進めようとした矢先、新たな基地建設反対を訴えた新知事の当選で、その建設は大幅に遅延している。これには布石があって、2009年の当時の民主党への政権交代で、首相に就任した鳩山由紀夫氏が、「最低でも県外」とやった空手形が県民に叶わぬ期待を抱かせてしまった。論理ではなく、具体策も代替案もない感情のみの辺野古反対論である。

 先頃には、沖縄(琉球)独立の気運を抑えるため、辺野古の米軍基地建設は諦めた方が良いとの有識者の意見さえあった。中国は兎に角、沖縄の日本の米軍基地が目障りでしようがない。沖縄独立より何より米軍基地の縮小、撤退が望みであり基地の反対運動にも加担している恐れもある。米軍基地がなくなれば、人民解放軍の日本の領土領海への侵攻が容易になるだけの話。

 そして今また新たに、東京都の豊洲新市場への移転が、知事の交代で滞っている。新知事の都民ファーストを選挙民に認識させるため、巨費を浪費しながら移設の決断を先延ばししている。オリンピック競技の会場選定だって、地元に淡い期待を抱かせただけで、何も変わらなかったではないか。会場建設費を縮小させるためのアピールであったとは言えるが、いずれにしても、すでに決定していたことをもう一度労力を掛けて検討し直すのは、相当の疑義ある案件に絞るべきだ。

 予定されていた築地跡地へのオリンピックのための道路建設などすでに間に合わないようだし、情報公開の都民ファーストは結構だけれど、それは前任者の決定事項を進めた上で、新たな都行政について、クリーンに透明に行うシステムを構築してゆけばいいのだ。オリンピックは間近かに迫り、首都直下型地震もいつ発生するかも知れず、東京都には懸案事項が一杯ある筈ではないのか。知事が新党を作るなどやっている場合でもなかろうと思う。

 マスコミ向けの宣伝が上手いことと都民、国民の真の幸福を達成する能力には明らかに差異がある。それが今や民主主義の欺瞞となっているのだ。


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