中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

未然防止を考える その7

2016年12月19日 | ブログ
不祥事

 残念ながら、企業の不祥事がなくならない。ブラックと呼ばれる企業もそうだが、脱税、粉飾など決算書の改ざん、横領、製品品質データのねつ造等々故意に行われるものから、異物混入など予期せぬ製品の不具合もある。また労働災害が頻発する場合や工場の火災・爆発、工事現場の足場の崩壊や道路の陥没事故など、一般市民を巻き込む場合は不祥事と言える。

 それら不祥事をなくすために、金融庁が示した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方」に端を発して、「内部統制」が一時期大々的にアピールされていたが、その後に企業不祥事が激減したという話は聞かない。

 また、不祥事が露見した後の経営者の態度が問題な事例も相変わらず散見されるようだ。政治家にもあるけれど、開き直りや秘書や部下の所為にするなどもってのほかで、不適格者の烙印を押されてしまう。不祥事など起きないことがベストにしても、その対応によってはトップが却って評価されることもある、

 内部統制などの仕組みを作っても、外向けの内容に終始し、それを守るという企業風土が醸成されていなければ実効は上がらない。

 それでは、どうすれば良いのか。今や誰でも知っている理論を活用することに尽きる。その理論とはすなわち「割れ窓理論」(Broken Windows Theory)。この理論を活用したニューヨーク市の荒廃した地下鉄の改善はじめ、凶悪犯罪まで激減させた話はあまりにも有名である。

 すなわち、凶悪犯罪の取締まりを優先するあまり、軽微と思われる犯罪や不法な行為を見逃していると、却って凶悪な犯罪も増加するものである。住む人が居なくなり放置された家、ごみ屋敷。個人の所有権ばかりを尊重して、周辺住民の健康で文化的な生活を脅かしていないか。煙草のポイ捨ても、落書きもドライバーによる道路の中央分離帯へのゴミの投棄も、一人二人の不法行為が積み重なって景観を損ねる。街は段々と荒廃してゆく。

 企業においては、日常管理を徹底する必要がある。出退勤時間や会議の開始時間は守られているか。報連相は適切に実施され、指示命令系統は乱れていないか。パラハラは論外だが、現場の意向を汲むあまり、必要以上の権限委譲がされていないか。整理・整頓・清掃・清潔は維持されているか。ルール遵守への指導が成されているか。

 中国人観光客の中には、日本ではいろいろ気を使うことが多くてくたびれるとのコメントを残した人も居るようだが、良い生活習慣が根付き、風土となった国も企業も、そこで過ごす人々は快適であってもくたびれることはない。

 そして、上から下まで日常規範が守られる優れた企業では、企業の存続を揺るがすような大きな不祥事など起こりようがないのである。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする