フィリップ・コトラー
新しい年が明けた。同世代の人は一様に言うことなのだけれど、兎に角一年が早い。年末にはわが家の大掃除をやるのだけれど、ついこの間やった感覚がある。若い頃は日々新しい体験をするけれど、歳と共に新たな経験が少なくなることは否めない。そんなことで、1年があっという間に過ぎて行くのであろう。
さて、今年の最初のテーマは「マーケティング」。中小企業診断士は、このマーケティングを体系的に学ぶ唯一の国家資格試験と聞いたことがある。企業にとってマーケティングは拡販のための重要な課題であり、その戦略の巧拙が企業業績を分ける。従って経営コンサルタントとしての中小企業診断士の強みとも言える分野である。加えて昨年12月、日本経済新聞の「私の履歴書」の執筆者は、マーケティングの大家フィリップ・コトラー博士*1)だった。そこで、マーケティングをもう一度基礎から勉強し直してみようという意欲が湧いた。まずは、その「私の履歴書」からコトラー博士を訪ねたいと思う。
「私の履歴書」の冒頭にコトラー博士は、『「マーケティング」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。広告宣伝などの販売促進と思う人が多いが、それは氷山の一角にすぎない。一言でいうのは難しいが、業績向上と顧客の価値・満足を創造することで人々の生活の改善を目指す実践的な学問だ。』と記している。企業理念の多くが世のため人のためであることと同様、学問もすべて人々のより良い生活のためのものであろうが、マーケティングはそのことにより直接的であると言われているのだ。
マーケティングの定義としては、アメリカや日本のマーケティング協会のものも知られるが、コトラーの定義というのもある。「マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである」。ここでは「創造と交換」という言葉がキーワードとなる。
日経の「私の履歴書」を毎回すべて読んでいるわけではないが、執筆者は世の中に大きな貢献をしたことだけでなく、非常に好ましい伴侶を得て、そのことを幸せに誇りに思っていると綴られたものが多いように感じている。人生の成功の鍵の一つが人生のパートナー選び、すなわち結婚にあることを示している。
コトラー博士も例外ではない。マサチューセッツ工科大学院生*2)の頃に、ハーバード大学の女子部主催のパーティーに参加して、伴侶を得た経緯を綴っている。『一目ぼれで彼女に近づき、ダンスをしながら「君はクレオパトラみたいだね」と話すと「本人よ」と機転の利くすばらしい言葉で応えてくれた。・・・そのとき始まった恋愛は今につながるすばらしい結婚生活になった。・・・法律の学位を持つ彼女は私を人生の大方のリスクから守ってくれた。』
マーケティングといえば「4P」というくらい、「4P」はこの世界で知られている。コトラー博士も履歴書の初回でご自身提唱の「4P」に触れている。『私のことを少しでもご存じなら「4P」のキーワードを聴いたことがあると思う。マーケティングの重要な要素として60年代に提唱されたプロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、プロモーション(販売促進)だ。4Pについても記した拙著「マーケティング・マネジメント」は世界の大学・大学院の教科書となり、重版は14回にもなる。著作は52だ。』
*1) フィリップ・コトラー(Philip Kotler、1931年 - )は、アメリカ合衆国の経営学者(マーケティング論)。学位はPh.D.(マサチューセッツ工科大学)。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授。byウキペディア
*2)シカゴ大学で経済学修士号を取得後、マサチューセッツ工科大学で博士号
本稿は、日本経済新聞朝刊の2013年12月1日から1ヶ月間掲載された、「私の履歴書」フィリップ・コトラーを参考にし、『 』内は直接の引用です。
新しい年が明けた。同世代の人は一様に言うことなのだけれど、兎に角一年が早い。年末にはわが家の大掃除をやるのだけれど、ついこの間やった感覚がある。若い頃は日々新しい体験をするけれど、歳と共に新たな経験が少なくなることは否めない。そんなことで、1年があっという間に過ぎて行くのであろう。
さて、今年の最初のテーマは「マーケティング」。中小企業診断士は、このマーケティングを体系的に学ぶ唯一の国家資格試験と聞いたことがある。企業にとってマーケティングは拡販のための重要な課題であり、その戦略の巧拙が企業業績を分ける。従って経営コンサルタントとしての中小企業診断士の強みとも言える分野である。加えて昨年12月、日本経済新聞の「私の履歴書」の執筆者は、マーケティングの大家フィリップ・コトラー博士*1)だった。そこで、マーケティングをもう一度基礎から勉強し直してみようという意欲が湧いた。まずは、その「私の履歴書」からコトラー博士を訪ねたいと思う。
「私の履歴書」の冒頭にコトラー博士は、『「マーケティング」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。広告宣伝などの販売促進と思う人が多いが、それは氷山の一角にすぎない。一言でいうのは難しいが、業績向上と顧客の価値・満足を創造することで人々の生活の改善を目指す実践的な学問だ。』と記している。企業理念の多くが世のため人のためであることと同様、学問もすべて人々のより良い生活のためのものであろうが、マーケティングはそのことにより直接的であると言われているのだ。
マーケティングの定義としては、アメリカや日本のマーケティング協会のものも知られるが、コトラーの定義というのもある。「マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである」。ここでは「創造と交換」という言葉がキーワードとなる。
日経の「私の履歴書」を毎回すべて読んでいるわけではないが、執筆者は世の中に大きな貢献をしたことだけでなく、非常に好ましい伴侶を得て、そのことを幸せに誇りに思っていると綴られたものが多いように感じている。人生の成功の鍵の一つが人生のパートナー選び、すなわち結婚にあることを示している。
コトラー博士も例外ではない。マサチューセッツ工科大学院生*2)の頃に、ハーバード大学の女子部主催のパーティーに参加して、伴侶を得た経緯を綴っている。『一目ぼれで彼女に近づき、ダンスをしながら「君はクレオパトラみたいだね」と話すと「本人よ」と機転の利くすばらしい言葉で応えてくれた。・・・そのとき始まった恋愛は今につながるすばらしい結婚生活になった。・・・法律の学位を持つ彼女は私を人生の大方のリスクから守ってくれた。』
マーケティングといえば「4P」というくらい、「4P」はこの世界で知られている。コトラー博士も履歴書の初回でご自身提唱の「4P」に触れている。『私のことを少しでもご存じなら「4P」のキーワードを聴いたことがあると思う。マーケティングの重要な要素として60年代に提唱されたプロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、プロモーション(販売促進)だ。4Pについても記した拙著「マーケティング・マネジメント」は世界の大学・大学院の教科書となり、重版は14回にもなる。著作は52だ。』
*1) フィリップ・コトラー(Philip Kotler、1931年 - )は、アメリカ合衆国の経営学者(マーケティング論)。学位はPh.D.(マサチューセッツ工科大学)。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授。byウキペディア
*2)シカゴ大学で経済学修士号を取得後、マサチューセッツ工科大学で博士号
本稿は、日本経済新聞朝刊の2013年12月1日から1ヶ月間掲載された、「私の履歴書」フィリップ・コトラーを参考にし、『 』内は直接の引用です。