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新しい年に想う第4回

2013年01月10日 | Weblog
国防軍

 安倍政権の公約として憲法改正による国防軍の創設というのがあって、選挙の際に話題となった。他党からは格好の標的となった。名称は自衛隊のままでいいのではないかとは、国民の保守層の中にもあったと思う。

 結果として、脱、反、卒、のついた原発反対もそうだけれど、選挙結果に大きな影響を与えたとは思えなかった。60年安保の際に当時の岸首相が、国民の「声なき声」として、国会に押し寄せたデモ隊の「声ある声」に対して、後楽園球場も満員であることをあげたそうだけれど、憲法改正問題にしても、国民の多くは換えた方がいいと思っていると思う。ごく一部の未だ幼稚な左翼系の政治家などが大きな声で「護憲、護憲」と喚いているに過ぎない。

 ところで「国防軍」であるが、国家権力が保有する武力として、警察と軍隊があり、「国体を維持するのが軍隊であり、政体を守るのは警察である」とは三島由紀夫の1970年11月25日の市ヶ谷自衛隊への檄文として知られるけれど、ここら辺りの定義について一般国民がどれほど理解しているか。学校でも教えないし、軍隊と言うと先の大戦、といってすでに70年も昔のことだけれど、そのトラウマで、まずまともに考えようとしない習い性が出来上がっているものだから、知らないで済ましているのではないか。

 軍隊とは単に戦闘部隊だけでなく、橋でも作れる工兵に軍医を配する医療部隊、諜報、兵站まで、組織として自己完結したものなのである。これに対して警察は、勿論警察病院などもあれば公安警察も有しており、軍隊に近いがその徹底度が異なるし、国内の治安維持を主目的とするそれに対して、軍隊は国防、そのための他国やテロ組織との交戦能力を保有するものである。

 何が言いたいかと言えば、自衛隊という名称は、軍の中の一部組織のような中途半端性を持つため、国土防衛を任務とする自己完結性を持った組織であることを、名実共に明確にしたいというのが、自由民主党の考えなのであろうということ。憲法第9条の「交戦権はこれを認めない」では、文面通り解釈するなら、他国からの侵略に武力で持って抵抗することも出来ないことになる。ここらあたり、同盟国との集団的自衛権も含め、憲法を改正して現実的な表現に変える必要がある。

 日露戦争の際には日英同盟が大きな力となった。世界の中でどこと国とも仲良くすることは勿論であるが、自由と民主主義という大きな理念の下に、共通の利害を持った国家間の同盟関係は国家の安全保障にとって非常に重要である。現在日米同盟がそれにあたり、中国の軍拡に対応するためには、さらにオーストラリア、インドはじめ東南アジアの国々、北のロシアとの同盟も視野に入れる必要があろう。

 まず、憲法改正が必要であるが、占領軍の手に成る憲法を脱し、独立国としてその長い歴史伝統文化に根ざした、独自の憲法を創案し制定することはあまりにも当然のことに思える。また、国防は、軍隊の質・量だけでなく、オリンピック招致と同様、国民全体の意識がなければならない。我が国は少子化が進むが、人口8000万人くらいで成り立つ国づくりを志向すれば良いと思う。その中で軍隊も兵員数を誇るのではなく、他国に先んじる科学技術の粋を活かし、ハイテク軍備で国防を考えればよかろう。

 国防軍でも自衛隊でも名称は兎も角、この国を守るために一歩も引かぬ覚悟と軍事力を備えることは重要である。



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