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マネジメント第2回

2011年10月04日 | Weblog
「マネジメント」とは

 ドラッカーの『マネジメント』*3)によれば、「マネジメント」という言葉は「経営」、「経営者」、「経営者の仕事」または広義の「管理」という意味に広く使われているように思う。テイラー*4)の科学的管理法は「サイエンティフィック・マネジメント」であり、TQC(全社的品質管理)がTQM(トータル・クオリティー・マネジメント)に呼称されるようになったごとく、マネジメントは元々「管理」とも訳される。「調整」や「調整能力」という意味も含んでいるように思われる。いずれにしても、マネジメントは、単に「経営」とか「管理」と訳す場合にも、それだけでは捉えられないニュアンスを含んでいる幅広く、奥深い経営用語といえる。

 ドラッカーはその著書『マネジメント』*3)の序文に「組織が機能するには、マネジメントが成果をあげなければならない」とし、マネジメントは企業だけのものではなく、行政機関や病院、大学などの組織におけるマネジメントの欠如が大きな問題となっていると指摘している。

 以前から実業界から政治家に転身する人はいたが、主にそれは財力からの影響力を行使する趣があった。最近の首長などの政治家を目指す企業経営者は、行政機関の「経営改善」を訴える。国も県も市町村も、そのほとんどが財政難に苦しめられている現実から、行政に「経営感覚」の必要性を説き、それは企業経営者の得意分野と言うわけである。まさに行政機関にも「マネジメント」が重要と言う認識は行き渡ってきた。

 それにしても、わが国では遅々として進まぬ公務員制度改革があるが、ドラッカーも「・・・しかるに、あらゆる国において、官僚主義への不満が高まっている。貢献と成果のためではなく、そこにいる者のためにマネジメントしているとの不満さえある」と述べている。確かにわが国の高級官僚には、天下り先の創出能力が問われるらしい。関連企業への天下りも、繰り返し問題となり糾弾されながらなくならない。その意味でも政権交代は全く意味がなく、却って改革派官僚をパージしただけだったようだ。

 マネジメントは、経営者や管理者に求められる機能からリーダーシップと対比されることがある。そこでは、「変革を推し進める機能」をリーダーシップと定義し、「効率的・確実的に組織を運営する機能」をマネジメントと定義している。

 さらにマネジメントは、トップマネジメント、ミドルマネジメントおよびロワーマネジメントという管理階層別に呼称がある。トップマネジメントは経営者を指し、取締役以上の職位によるマネジメントである。ミドルマネジメントは中間管理層、部課長によるマネジメントであり、ロワーマネジメントは係長、職長クラスのマネジメントである。組織にあってはいずれの階層にあっても、管理職であるかどうかにさえ限らず、その職場を働き易く組織目標に対して成果が上がるような環境を整え、その結果を検証し責任を持つという経営感覚が重要なのである。







*3) マネジメント【エッセンシャル版】-基本と原則-上田惇生編訳、ダイヤモンド社2001年12月初版
*4) Frederick Winslow Taylor(1856- 1915)アメリカ合衆国の技術者(技師、エンジニア)で、経営学者。科学的管理法の発案者で、「科学的管理法の父」と称される。

本稿は、ドラッカー著、マネジメント【エッセンシャル版】-基本と原則-上田惇生編訳、ダイヤモンド社2001年12月初版の他、TAC中小企業診断士受験講座テキスト「企業経営理論」2006年版を一部参考にしています。
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