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統計(学)のすすめ3

2010年06月07日 | Weblog
データに親しむ

 私が勤務した会社では、管理職になる前の職能ランクに昇格すると、同期昇格者は学歴に関わらず一緒に、週1ペースで一定期間TQC教育を受けた。20数年前の話である。講師は社外の専門家。まずは講師からの講義があり、その後5名程度毎のグループに分かれて、それぞれが課題を決めてTQCストーリーに沿って解決し、プレゼンテーションまでを行うというものであった。

 その初日の社外講師からの講義は、まず筆記テストで始まった。内容をすべて覚えているわけではないが、ほとんど分からなかったという屈辱的な体験をした。私だけではない。ほとんどが同様であったように思う。それまで、小集団活動を行いQC7つ道具の講義などは受けていたし、小集団活動のリーダー研修も受けていた。しかし、それらは社内講師による実践的または精神論的なものが中心で、いわゆる統計的品質管理の理論を学ぶところからは離れていたことが原因である。社外講師からの皮肉が聞こえて来そうな気が今もする。

 テストの内容は、まず記述されている計量データを、計数値と計量値に分けろというものであった。まず意味がよくわからない。何の講義もせずにのっけからテストである。計数値は離散量ともいい、計量値は連続量ともいうが、せめて後者の表現であればまだ分かり易かったかもしれない。次の問題が「標準偏差を求める公式を記述せよ」というものであった。これも裏覚えで、明確に答えられなかった。兎に角全体として問題数は多くなかった。従ってこれだけ答えられないと、ほとんどバツの状態となってしまう。

 しかし、この体験が私に統計の勉強を始める動機づけになった。しばらくして、私は、(財)実務教育研究所の文部省(当時)認定社会通信教育『現代統計実務講座』を受講し、毎回の課題に苦心惨憺しながら解答を返信し続け、努力を認めていただき研究所長賞をいただいた。丁度コンピュータ(エクセルなど)を使って行う講座の前の時期で、計算は大変だったけれどその分、計算過程がよく理解できたように思う。かといって難しい理論など未だに分かってはいないのだけれど、データに親しむという習慣はできた。データを取るということ、そのデータの意味を考え課題解決に生かすというスキルが、ある程度身に着いたことは間違いないであろう。

 難しい理論をマスターすることは勿論大切であるし、それをさらに深化させてゆく必要もあろう。まさに学問のすすめであるけれど、実務者には学者の理論をうまく活用することが求められる。肩肘張らず、まずはデータに親しむことができればいいように思う。
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