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リーダー第6回

2010年04月16日 | Weblog
リーダーシップ論

 幕末から明治維新にかけて、わが国を引っ張った国家レベルのしかも大変革の時代のリーダー像をみてきた。しかし、一般に企業組織等のリーダーシップを論じる場合には、組織論、人的資源活用の観点から研究者の各種有力な理論がある。それらは、レビン*7)の「リーダーシップ類型論」であり、リッカートの「システム4理論」であり、ブレーク&ムートンの「マネジリアルグリッド論」であり、三隅*8)の「PM理論」そしてフィドラーの「リーダーシップの状況適応論」およびハーシー&ブランチャートの「SL理論(状況適応論)」である。

 レビンとリッカートの理論は、リーダーシップ行動理論と呼ばれ、リーダーシップがとるべき行動を類型化し、それぞれに推奨するリーダーシップをあげている。これに対して三隅やブレーク&ムートンの理論は、リーダーシップ2次元論と呼ばれ、リーダーシップを2次元マトリックスで表わし、いずれも右上が理想のリーダーシップ像であると捉えている。しかしその後、状況によっては優れるリーダーシップは異なるとして、フィドラーやハーシー&ブランチャートのリーダーシップ状況適応論が生まれた。また、リーダーの個人的資質に注目した、ハウスらによるカリスマ的リーダーシップ論やバーンズらの変革的リーダーシップ論がある。

 これらの理論はそれぞれに一理あり、ゆえに理論として語られるわけでもあろうけれど、リーダーシップが一口に語りきれない複雑なものであることを示してもいる。

 リーダーシップの定義は、バーナードによるものが有力であるらしい。それは「信念を創り出すことによって協働する個人的意思決定を鼓舞するような個人の力」とものの本にある。すなわち、企業にあっては経営目標の達成のために、人々に影響力を及ぼすことである。言い換えれば、リーダーシップとは組織目標達成のために人材資源を最も効率的に活用する術であり、それは外部環境など、状況によって変化することは当たり前であろう。

 変化の激しい時代には、より機能的なリーダーが求められる。機能的であれるということは、先覚性があり、決断力があって、行動力がなくてはならない。高度な専門性を要する組織にあっては、当然に専門知識も要求されるけれど、理屈通りいく現実はないため、何より胆力が必要である。残念ながら、胆力を育む教育体系は未だ無いために、平和の長く続いたこの国に、優れたリーダーが育っていないのではなかろうか。




*7)クルト・レヴィン(Kurt Lewin, 1890 - 1947)(独)は、ユダヤ系心理学者で社会心理学の父と呼ばれる。リーダーシップスタイル(専制型、民主型、放任型)とその影響の研究が有名。
*8)三隅 二不二(みすみ じゅうじ/じふじ、1924- 2002)は、日本の心理学者。専攻は社会心理学。文学博士。元九州大学教授、大阪大学名誉教授、筑紫女学園大学・短期大学元学長。財団法人集団力学研究所初代所長。リーダーシップをパフォーマンスとメンテナンスの2つの機能の複合として捉えるPM理論で世界的に知られる。
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