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お楽しみはこれからだ PART7

「お楽しみはこれからだ PART7」(和田誠 国書刊行会 2022)

シリーズ最終巻。
この巻は、だれそれが亡くなったという話が多い。
5巻の後半あたりから、それが増えてくるのだけれど、PART7にいたっては、ほとんど追悼特集といった趣きがある。

映画人の訃報というと、たいてい監督か俳優しかとり上げられない。
もちろん和田さんも監督や俳優をとり上げるけれど、美術デザイナーや作曲家のことにもふれるところが和田さんらしく思える。
これはPART6だが、ジュール・スタインが亡くなった回はこう。

《作曲家ジュール・スタインが亡くなったと新聞に出ていたので驚いた。ぼくは故人だと思っていたのだ。というのもアメリカの映画人名辞典に81年没として記してあったから。007のように二度死んだのか。》

また、7巻で印象に残ったのは「ターミネーター」について。
気の利いた作品が好きな和田さんらしいコメントだ。

《映画「ターミネーター2」はテクノロジーの上では画期的な作品となり、「T2」の略称でも通るほどだが、脚本やアイデア(つまりハードでなくソフト)の上では第1作「ターミネーター」の方がぼくは好きです。》

「だましの文化史」(ゴードン・スタイン編著 日外アソシエーツ 2000)という本を読んでいたら、本書でとりあげられている「卵と私」の宣言を担当したジム・モランについての逸話が書いてあった。
別の本のことだけれど、ついでに紹介しておこう。

《映画「卵と私」の宣伝のため、彼は19日間も人前でずっとダチョウの卵の上に座り続け、卵を孵化させたのだった。彼はこの生まれたばかりの「息子」を、動物園にやった。》

この話、本当だろうか。

話を戻して、007のタイトルデザインについて。
和田さんはこうコメントしている。

《タイトルのデザインは第1作目からずっとモーリス・ビンダーが担当している。これもシリーズの名物の一つになっているのだけれど、残念ながらソウル・バスの仕事に比べると饒舌すぎて味わいが薄い、とぼくは思う。好みにもよるけれど。》

饒舌より簡潔を好むというのは、和田さんのイラストをみれば、ひと目でわかる。

PART7が出版されたのは、1997年。
007は「ゼロゼロナナ」ではなく、もうとっくに「ダブルオーセブン」と呼ばれていたころだろう。
ところが、箱の後ろの、とりあげた映画のタイトルが50音順に書かれたリストには、相変わらず007は「せ」のところにある。

なとまあ、頑固なひとなのか。

【お楽しみはこれからだ映画リスト】
7巻

愛人 ラ・マン
アイリスへの手紙
青空に踊る
青髭八人目の妻
赤い河
アトランティック・シティ
乱暴者(あばれもの)
或る殺人
或る夜の出来事
いつも上天気
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
ウィズ
海の牙
ウルフ
栄光への脱出
エド・ウッド
追いつめられて…
黄金
王になろうとした男
大いなる西部
おかしな関係 絶対絶命
おかしな二人
鬼火
俺は善人だ
カイロの紫のバラ
火山のもとで
カジノ
がちょうのおやじ
悲しみよこんにちは
剃刀の刃
髪結いの亭主
カンカン
キャノンボール
キング・オブ・キングス
くたばれ!ヤンキース
クリープショー
クリムゾン・タイド
黒船
恋人よ帰れ!わが胸に
心の旅路
サンドイッチの年
死刑台のエレベーター
四重奏
仕立屋の恋
質屋
シティ・スリッカーズ
シティ・スリッカーズ2 黄金伝説を追え
芝生は緑
シベールの日曜日
十字砲火
勝利の朝/女優志願
紳士協定
深夜の告白
枢機卿
スタァ誕生
スターダスト・メモリー
スターマン
凡ては夜に始まる
スリー・リバース
007/サンダーボール作戦
007/ドクター・ノオ
007/ユア・アイズ・オンリー
007/私を愛したスパイ
底抜け艦隊
ターミネーター
タイ・カップ
大地は怒る
他人のそら似
卵と私
ダリ天才日記
地下鉄のザジ
チャーリー
追憶
手錠のままの脱獄
12モンキーズ
ドラキュラ
ドン・ファンの冒険
ナイト・オン・ザ・プラネット
嘆きのテレーズ
パービーチ・ストーリー
夫(ハズ)は偽物
80日間世界一周
初恋
バファロー大隊
張り込み
張り込みプラス
パリの旅愁
春の珍事
犯罪都市
バンドレロ
ピアノ・レッスン
非情
フォー・ルームス
フランケンシュタイン
ブロードウェイと銃弾
ブロードウェイのダニー・ローズ
冒険者たち
放浪の王子
僕は戦争花嫁
誇りと情熱
幌馬車
マッケンナの黄金
ミスター・ベースボール
ミセス・パーカー
未来世紀ブラジル
魅惑の巴里
ミンクの手ざわり
めぐり逢い
めぐり逢えたら
郵便配達は二度ベルを鳴らす
U・ボート
夢を生きた男 ザ・ベーブ
夜の大捜査線
ライアンの娘
ラスト・ショー
ラブリー・オールドメン
ルビイ
レオン
レッド・オクトーバーを追え!
ローラ殺人事件


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