かぶれの世界(新)

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高卒の働く母親が大統領を決める!?

2012-09-09 15:49:09 | 国際・政治

内向きの大統領選

2012年の米大統領選は従来に比べ世界の注目が少ないように私には感じる。私なりにその理由を考え、先行きを占ってみたい。最大の理由は明らかに争点が極めて内向きで、大統領選の結果がどちらに転んでも世界に与える影響が従来ほど大きくないと見られているからだと思う。

2008年は9.11後から続いたアフガン・イラク戦争をどう収束させるか、リーマンショック後の経済をどう立て直すか、という世界を揺るがせた二つの政治課題をかけた戦いが世界の注目を受けた。又、初めて黒人大統領か或いは女性大統領が米国で誕生するかも興味を引いた。

今回、繰り返し議論されたのはリーマンショック後中々回復が進まない雇用情勢、12月に期限切れになるブッシュ減税を巡る経済の建て直しといった国内問題だった。オバマはリーマンショックで傷ついた中流階級層の復活を唱えるが、実現すべき具体的政策は説得力に欠ける。

前回のマケインと違いロムニーはファンド経営で巨額の富を築いたイメージから抜け出せてない。レーガン時代の強いアメリカを目指すというが、それよりオバマが同性婚を認めるという政治的にリスクのある意思表示のほうが注目を浴びた。まあ、勝手にやってくれという感じだ。

端的に言うとどっちが経済を立て直せるかだ。対立軸は伝統的な「大きい政府vs小さい政府」の戦いであり、社会保障とブッシュ減税後の税制のあり方であろう。オバマの国民皆保険に対する賛否と、中流階級重視の富裕税か全階層の減税で経済活性化に重点を置くかだ。ニュース等で報じられるアメリカ国民は内向きになっていることの反映だろう。

若者からラティノママが大統領を決める?

前回オバマ大統領を生んだ原動力は無党派の若者達だった。支持を変えたのではない、彼らは初めて投票所に行きオバマと書いたのだ。投票の出口調査ではその傾向が鮮明だった。投票率の増加分がそのままオバマと書いた彼等の票だった。風が吹いた。

ニューズウィーク日本語版(8/28)に面白い記事を見つけた。過去の大統領選で44の州は投票前から民主党もしくは共和党が勝ちと決まりの、いわば鉄板の州だという。つまりスウィングステートと呼ばれる残りの6州(バージニア・フロリダ・オハイオ・アイオワ・ニューメキシコ・コロラド)によって大統領選の帰趨が決まった。

更に絞っていくとこの6州の浮動票のごく一部(選挙民の4%で約90万人)が大統領を決めた。前回オバマを大統領にした若者の投票率は今回低下する可能性が高い。彼らはオバマブームの前回と比べるとそれ程熱くないと、風は吹かないと私は感じる。

そこでニューズウィークは浮動票の典型として「自分で生計を立て、子供を育てている為に大に進む余裕がない中南米系の若い女性」だと予測した。クリントン時代のサッカーママみたいだ。だが、どういう政策が彼女達に効果的に訴えるだろうか、依然として手探り状態にあるように感じる。

民主・共和党ともに党大会で正式に大統領候補を決定した。予備選は終わり、いよいよ本選だ。共和党大会直後に上向いたロムニーの支持率は、直ぐ後の民主党大会の結果あっさりひっくり返りオバマが優勢となった。どうせ、その程度の支持率だ。

私には、どうやら今回の大統領選は個人の魅力が決め手になりそうな気がする。積極的にオバマを支持する気にはならないが、ロムニーは信用できないみたいなノリだ。論理的じゃないがニュースの流れを見て底流でそういう雰囲気を感じる。共和党が有利になる可能性は浮動票が割れる場合で、保守化が進む共和党「鉄板」の大きさが決め手になるだろう。■

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日韓関係最悪事態の構図

2012-09-07 12:07:45 | 国際・政治

民主党代表選に細野氏が出馬しないと決めたそうだ。私は賢明な決断だと思う。細野氏を推している連中は選挙の顔を求めているのであって、何か特別な政策を実現しようという訳ではなさそうだ。そんな志の低い連中に担がれても彼のキャリアが汚れるだけだ。自分を大事にしたほうが良い。自公や維新の会の動きを見ていると似たりよったり、いつか必ず真のチャンスが来る。

今回のテーマは急速に冷え込んだといわれる日韓関係だ。両国の政局がらみの要因は脇において何故これ程悪化したのか考えてみたい。私が現役時代に仕事で何度か韓国に行ったことがある。日米韓で韓国人幹部やスタッフと付き合った。記憶では彼らの多くは真面目に働き、特に幹部は海外留の経験のある人達が多く優れた国際感覚を有していた。アレッと思う事はあっても、嫌な思いをした事は一度もない。

彼等のにこやかな表情の下に日本が侵略した歴史に対する反感はあったかもしれない。多分あったのだろう。韓国は上下関係や長幼の序に厳しい文化があるというが、日本自体も世界の中で特異な文化を有しており、それが交流する上で大きな障害になることはなかった。寧ろ、世界の中で日韓両国は非常に良く似た文化と実感した。だが、テレビ画面に出てくる韓国の人達との間に大きなギャップがある。

テレビの画面から見えてくる韓国の人達の顔は憎しみすら感じる。そういう顔ばかりが出てくる。一触即発みたいな雰囲気だが、一方日本を訪れる韓国人観光客は変化なく、逆に韓国を訪れる日本人観光客も減っていないらしい。韓国の反日教育が問題だというが、若い韓国人観光客も多いようだ。私には、意図はないとしても結果的にテレビは紛争を煽っているように感じる。

その理由は只一つ過激な反日運動をしている人達だけをテレビは報じているからだ。憎悪が憎悪を呼んでいる。加えて私の推測では、両国の未熟なネチズン達がリアルタイムで憎しみを増幅しているように感じる。しかし、ネチズンは補助的な役割、まだ映像の力が強いと思う。選挙などの微妙な時期と重なると、これら一連の報道は政治を誤まらせる可能性が高い。

それじゃどうすべきか、私は決してお人好しではない、寧ろ陰険そのものだ。私も領土問題で妥協する必要はないと思うが、トータルで考えて国益を損なってまで争う必要はない。挑発的な発言や行為は何の役にも立たない。だが、交渉で有利な結果を得るなら報復も使う、しかし「江戸の敵は長崎」方式で争点とは別の所で(尤もらしい理由で)静かにグサッとやる。官僚は熟知しているはず。レアアースの輸出規制みたいなミエミエの稚拙なやり方は世界まで敵に回す。

蛇足ながら、原発ゼロに国民の意見が傾きつつあるのも、テレビが影響した同じ構図と私は感じる。全ての材料を見せて損得勘定し冷静に決める雰囲気を感じない。時折大阪市の顧問が出演して一方的に決め付ける。彼の主張は初めから明らかで新聞ですら出さない、出演させたテレビ局の責任だ。結果として原発は嫌だが、電気料金の値上げも嫌だ、電気に頼る企業が海外に出て行くのは政治の問題、では困る。以前投稿した「覚悟のない原発反対」が依然として大勢だ。■

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田舎暮らし雑感12夏(4)

2012-09-05 17:58:33 | 日記・エッセイ・コラム

母と普通の会話に感激

長男夫婦・義弟と揃って介護施設の母を見舞ってから2週間たった。一昨日、再度母の様子見に行った。母はこのところ回復した体調を維持しており、元気だった頃の会話が出来た。曾孫との対面は嬉しかったようだ。施設の介護担当の方が撮ってくれた記念写真をネットで送ってくれた。

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家族は夫々東京と大阪に戻っていったと伝え、長男が3年後には又来ると母に伝えた。普段は黙って私の話を聞くだけなのに、曾孫だけは毎年来て欲しいと珍しく感情を表し自分の希望を言った。写真でも珍しく母が穏やかに微笑んでいた。母が大事にしていた庭木にやる薬の散布を聞くと(実は知っている)、除虫剤名や頻度を即答したのに驚き嬉しかった。

介護担当は母のプラス面の変化に気付いているようだが、看護婦さんに聞くと医療の面からは大きな変化はなく様子見が続いているという。甲状腺は悪化してないが、良くもなっていない状態だそうだ。母の顔の肉が落ちているのは甲状腺異常の疑いで、体重を注意深く見守るという。

田舎の激烈な競争

その後友人と昼食を頂き気分転換し、実家に戻る途中何時もの安売りスーパーで1週間分の食料を仕入れた。最近は殆ど自炊するので随分と食費が節約できるようになったと自負していたのだが、買い物を終え実家に戻り郵便物をチェックしてがっかりした。

母が会員になっている農協系のスーパーからキャンペーンの特別価格通知だった。終ったばかりの買い物のレシートで価格をチェックすると、物によって2-3割安いではないか。安売りスーパーは年中特売価格が売り(ウォルマートのエブリデー・ロープライスと同じ)で、後から買わなきゃ良かったと後悔しないと自信があったのだが、今回かなり悔しい。

仁義なき競争

車社会の田舎ではスーパーの駐車場の車の台数を見ればどちらが繁盛しているかわかる。双方が競争して根付けしているのだと思う。実は3つあったが、一つはパチンコ屋になった。競争はスーパーだけではない。

安売りスーパーの隣に髭剃り込み散髪1575円の理容店が、今年初めから半値のキャンペーンを始めまだやっていた。500m先の理容店が同じ値段で開店した為で、どちらかが撤退するまでやる積りのようだ。昔からのお店は大変だろう、多分競争にならないだろう。

田舎だといって馬鹿に出来ない。最近ガソリン価格上昇のニュースが流れているが、伝えられた全国平均より実家の近辺のガソリンスタンドの方が1020円安い。かつては田舎に来ると、東京、松山、実家(大洲市)の順で値段が上がった。今はまるで逆だ、競争は激しい。低燃費車の普及による需要減と、港から陸送する場合のロジスティック・コストの反映かもと思う。

異変「沈黙の夏」

レイチェル・カーソンが1962年に「沈黙の春」を出版して50年になる。ここ10年毎年実家で年の半分を過ごすようになって、子供の頃見かけた昆虫が激減し今も減り続けていると実感している。お盆明け頃によく見か赤とんぼの大群が、用水池の辺りに申し訳程度に飛んでいるのを見かけた。シオカラは一度だけ、真っ赤なトンボやオニヤンマは全く見ない。チョウチョやバッタなども。

田植えが終った頃からカエルの大合唱が谷間に鳴り響いたものだが、今は全く見かけない。実は名前は知らないが今も虫の鳴き声は騒々しい。ある種の昆虫は依然として命を繋ぎ蔓延っているのだろう。しかし、目に見える昆虫の生態系は明らかに劇的な変化が起こっているはずだ。■

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はしゃぐな、マスコミ

2012-09-03 12:08:53 | ニュース

次の首相を事実上決めることになると自民党総裁選が俄かに注目を浴びている。有力候補が支持や連携を求め動き回る様が報じられている。私の目には腐った肉にたかるハエみたいにマスコミがはしゃぎ始めた。こういう時必ず顔を見せるお決まりの評論家が出てくる。政策のセの字も出てこない。彼等の顔をテレビで良く見かけるようになると、悪い予感がする。視聴者が馬鹿にされ劣化していくと。

今回の政局が果たして自民党から次の首相を出して良いのか問いかけ始めるべきだ。自ら三党合意して推進した国の形を決めるともいえる重要法案を否定する首相問責決議案に賛成するという目茶苦茶な決定をした。日本の政治風土を傷付けた彼らの罪は思い。だが、誰も反省しているようには見えない。マスコミ、特にテレビはただ数合わせに動き回る連中を報じるのみ、そんなことで良いのか。

次の首相を決めるその時こそ、マスコミは有力候補及び所属の党が何をしてきたかプラスもマイナスも精査してしっかり報じるべきだ。誰が国のリーダーとして最も優れているか具体的なデータで全ての経歴をまな板の上にのせ、煮たり焼いたりすべきだ。米国大統領選はこれを1年以上にわたってやる。せめて1ヶ月くらいやらなければ、又もや後からぼろが出て短命首相を繰り返す。

国会議員の選挙や総裁・代表選前にマスコミは報道の中立を保つという名目で、候補者の個人情報を報じないように感じる。だが政治経歴に関る情報だけでなく、首相候補となれば人格・資質も報じるべきだ。それが個人攻撃でないかどうかは伝えるマスコミと受ける側の見識である。正直なところ現在のテレビ報道に見識は感じないが、意思を持つことが重要だと信じる。

私は特に候補者のプラスの情報も積極的に報じるべきと私は思う。プラス・マイナス総合してどうかだ、ベストがなければベターな選択をする道を作らねばならない。その点では大阪維新の会のアプローチは極めて正しい。だが、擦り寄ってくる連中を見ていると哀しいばかりのクズだ。政治の風はいずれにしても吹くと思う、しかし出来るだけ具体的なデータに基づく風であって欲しい。

もう一つ、一挙に政局を流動化させた問責決議で、ただ一人反骨精神を見せた丸山議員が蚊帳の外にいるようだ。一方で選挙に有利と見れば大阪維新の会に擦り寄る議員連中、元投げ出し首相も含め、が注目を浴びて全国に報じられる。これが現実の姿だ、筋を通しても無駄だと一生懸命国民を教育して劣化させている、それが君達マスコミがやっていることだ。■

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周回遅れの読書録12夏

2012-09-02 17:43:46 | 本と雑誌

3ヶ月前に何を読んだか記憶が定かではない。酷暑の8月から田舎暮らしを再開し、お盆を前後して家族や親戚の来客が相次いだ。初めて田舎に来た孫の印象が鮮烈で、加えて年々薄れて行く記憶力のお陰で6月に読んだ本の記憶など吹き飛んでしまった。

記憶力が劣化してきたのは事実なのだが、いつもの言い訳に聞えるかもしれない。本論に入る。最初に「ネット評判社会」(山岸・吉開)の一読をお勧めする。移行期にあるネット社会の個人主義的秩序が、日本の伝統的社会が内包していた倫理観を崩壊させていると鋭く指摘している。旧来のメディアがマイナス面に重点を置いた報道をするのに対し、ネット評判社会ではポジティブ評価が重要との実験結果は、私には極めて示唆的で興味深い指摘である。

「危機は循環する」(白川浩道)は長期に亘る金融緩和が繰り返し発生する金融危機の原因であると、データを積み上げて論じ結論に至るアプローチが好ましい。論理に飛躍がない。少数派の意見でも、物を言うにはこの位根拠をしっかりさせなきゃいけないと思わせてくれる。

「本当の話」(曽野綾子)は最近私がファンになった著者が20年前に書いたもので、世間の常識とか大御所をバッサバッサと切り捨てるエッセー集。「自己責任」とか、「小さい政府・セルフヘルプ」といった言葉が耳に心地よく聞える方には、20年たった今も爽快感を持って読めるでしょう。

「組織ジャーナリズムの敗北」(川崎・柴田)は慰安婦報道を巡るNHK・朝日論争を描いたもの。直接は関係無いが今話題の安倍元首相が登場するくだりは、次期首相を巡る政局がどう動いていくか、政治の右傾化が気になる人には背景を探るうえで参考になるかもしれないと思う。

2.5)ネット評判社会 山岸俊男・吉開範章 2009 NTT出版 二つの社会「集団主義的秩序」と「個人主義的秩序」に分け、日本の伝統的社会が前者で、来るべきネット社会が後者である説く。現代日本の倫理観の崩壊はこの秩序の移行期の為という。ネット評判社会ではポジティブ評価が重要と確認された実験結果、「メタ評価」の重要性、日本の特徴的な「情報うのみ使用」傾向等々興味深い指摘がある。

2.0+)ハーバードの「世界を動かす授業」 Rヴィートー 2010 徳間書店 ハーバード経営大学院で狭義の経営を超えて国家の役割・戦略・各国の分析・国民の役割・メディアの責任等について教えているとの紹介は、我国との大きな差に驚きを与えてくれる。その中で欧州連合を試みと捉え分析しているが、今日表面化している問題をそれ程的確に予測していたか疑問が残る。

2.0-)ユーロ Dマーシュ 2011 一灯社 分厚くやや難解なので最近の欧州危機に直接関係する部分のみ読んだ上での書評。第一次世界大戦から始めてEMU(経済通貨同盟)成立と現在までの経緯をBウッドワード風に描いたもの。ドイツに足枷を嵌める狙いが却ってドイツ経済成長を後押しした皮肉を描いている。ユーロの構造的な問題を描ききれていないと私は感じた。

2.5)危機は循環する 白川浩道 2011 NTT出版 必要以上に長い金融緩和が金融市場を肥大させ危機を繰り返すと指摘、日本再生は外需依存を止め労働市場改革と貯蓄課税を元に個人消費を刺激すべきと説く。小数派の主張だが、世代間不公平の解決を志向し、感覚的定性的アプローチを排し数値分析に拘る姿勢は、私には好ましいと感じる。

1.5+)危機と金 増田悦佐 東洋経済新報 危機に際して金が最も安全な資産で、国も個人も金の保有を増やすべきだと勧める。一方で、我国を含め先進国の金保有は少なく、金市場も極めて小さい。中身が薄くこのテーマで一冊の本を書くには紙数が多過ぎたと感じる。

2.5+)ほんとうの話 曽野綾子 1992 新潮文庫 このところ私の'ヒーロー'の著者がバッサリ切り刻んだ時評、20年以上前に書かれたのに同時代感覚がある。納得できなければ世間の大勢とか大御所に敢えて逆らい、若干皮肉っぽい嫌味加減(失礼!)が私には心地よい。20年以上経って尚新鮮に感じるのは世の中進歩していないのか、著者が前のめり過ぎるのか。

2.0+)女女格差 橘木俊詔 2008 東洋経済 格差社会を鋭く分析した著者が、女性間の格差について論じたもので、普段我々が多分こうだろうと思っていることを具体的なデータで論理的に説明している。やっつけ仕事とまでは言わないが、著者にしてはやや平板で結論ありきで後から理屈がついてくる的な論理展開も感じた。欧米の研究との比較があると深みが出てくるのでは。

2.0+)組織ジャーナリズムの敗北 川崎泰資・柴田鉄治 2008 岩波書店 政治家(安倍・中川氏)の圧力で慰安婦問題を扱った番組をNHKが改編したと報じた朝日新聞との論争と、何故朝日新聞が敗北したか元NHK・朝日出身の二人が描いたもの。当時の論争の舞台裏が窺え興味深い。私には二人が戦後民主主義の信奉者と感じ、過剰な少数意見尊重に違和感がある。

1.0+)私が愛した官僚 横田由美子 2007 講談社 政治家や起業家を目指した若手官僚の側面を描いたというのが謳い文句のようだが、中身は表面的で浅いというより何も無い。自意識過剰の著者が不必要に出て来る。しかし少なくとも題名は良く考えられている。

*.*)蝉しぐれ 藤沢周平 1991 文春文庫 海坂藩普請組の下級武士が派閥闘争に巻き込まれ切腹した父の後を継ぎ剣を磨き、側妾になった幼馴染を助け派閥闘争にけりをつける時代小説。筋が見えてくるのは、テレビドラマかラジオの朗読を聞いたかだと思うが、それでも読んで楽しい。

*.*)第三の時効 横山秀夫 2006 集英社文庫 県警本部の捜査第1課長と配下の3人の班長が主役で、夫々の葛藤と対立しながら同時進行で事件を解決していく(モジュラー型警察小説というらしい)硬質の短編集。

*.*)陰の季節 横山秀夫 2001 文春文庫 

藤沢周平の「時代小説」物は大分読んだ、もう未読の小説を見つけるのが難しくなった。歴史上の人物を藤沢周平が解釈して描く「歴史小説」は私の好みではない。横山秀夫の刑事物が次の候補だ。海坂藩の中下級武士とN県警本部の捜査課の刑事、実は剣の使い手とやり手の刑事が主人公、両者には時代は違っても共通する架空の舞台がある。それが私が嵌まる理由のような気がする。■

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