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ては石原都知事の尖閣列島購入宣言から始まった。27日の国連総会で日中両国は尖閣列島国有化を巡り激しくやりあった。日本は国際法による対応を訴える一方、中国は歴史問題を取り上げ議論はかみ合わなかった。国交回復40周年を飾る皮肉で不幸な事態になった。関係修復までにはかなりの時間がかかると予想されている。
今までの報道で今回の対立に至る経過が明らかになってきた。私なりの理解を要約すると東京都の尖閣購入で日中関係の悪化を恐れた政府が中国当局の感触を確認して国有化を決意した。だが、不幸にも中国は政権移行を控え尖閣は権力闘争の材料となり、胡主席は退くに退けなくなり強硬な姿勢をとらざるを得なくなった。日本政府も領土問題では妥協する余地がなかった。
私は「天邪鬼・日中領土紛争」で経済的な報復合戦になれば、日本の方が失うものが大きい、日本にその覚悟はないだろう。とすれば理不尽な仕打ちがあってもじっと我慢して嵐が過ぎ去るのを待つのが経済的にはベストだろうと予想した。しかし、今回の騒動を見聞きして中国の失ったものも決して少なくないと思うようになった。
中国と世界の華僑の発信力が力を増していると得意げに語る評論家の解説を今朝聞いた。だが、中国の強引なやり方と世界にいる中国系の連中が威圧的なデモを繰り返す姿を見て眉をひそめた人も多いのだ。西欧民主主義的価値観からみれば中国のやり方は異常だ。それを表立って言えない雰囲気が世界にあるのは事実だが、私から見れば中国は面子を保つ為に信頼を失った。それは形を変えて自分に帰ってくる。
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国に進出した日本企業は暴動による破壊より、寧ろ今後の日本商品ボイコット運動の方が経済的に厳しいだろう。だが、進出に当り中国リスクは考慮したはず、いわば自己責任の世界だ。中国は「この程度の国」という私ほど悲観的ではなかったのかもしれない。しかし、そうなのだ。欧米にはもっと用心深い企業も多い。カントリーリスクを見直し次の事態に備えるのが自己責任だ。
トータルとして中国との付き合い方はもう少し違う舵取りが必要だと思う。日本企業はバスに乗り遅れないみたいな勢いで中国に進出していった。だが、もっと相互依存関係を強めるべきだ。そもそも外国で一方的に利益を得るといった関係は不健全で、いつか何かの原因でバランスが崩壊し憎しみを生む。長続きしない。だが、既に政府も企業もその修正に向かっていると感じる。
最後にボタンに掛け違いの顛末について恒例のマスコミ批判をしたい。石原都知事が得意顔で尖閣購入を宣言した時マスコミは囃し立てた。更にマスコミはかませ犬(副知事)を登場させ、言いたい放題言わせ国民を煽った。マスコミは原発再稼動でもかませ犬(大阪市顧問)を使って煽ったのと良く似た風景だ。いずれにしろ、これが関係悪化を恐れた政府が権力移行期にある中国の出方を読み違えさせた。マスコミは今回の日中関係悪化に大きな役割を果たした。反省して欲しい。■