かぶれの世界(新)

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米国住宅バブル崩壊が暴走しない訳

2007-01-04 23:42:45 | 社会・経済

日本経済と米国消費

今年の日本経済は「輸出の伸びと国内消費の回復」にかかっていると誰もが予測している。輸出はつまるところ米国の景気に左右され、米国の景気はGDP7割を占める消費の行方で決まる。消費動向の重要な指標が年末商戦である。

全米小売協会(National Retail Federationの仮約)によると2006年末商戦は昨年より1%下回るものの5%前後に落ち着く見込みだそうである。住宅バブル崩壊が心配された程影響しなかったと見られている。その理由として株価上昇の資産効果と石油価格の下落が指摘されている。

米国消費と住宅市場

石油価格の下落は理解できるとして、何故住宅価格が消費に影響するか。それは住宅価格が上昇する前提で将来の値上がり部分とローンの差分を前借し消費に回して米国消費の活況が続き、最終的に世界経済を牽引してきたからだ。

この国の人達は我我には信じられないお金の使い方をする。終いには貯蓄と借金の差額が逆転してしまった。一方、日本の家計は将来に不安を持ち一人当たり世界一の金融資産を定期預金やタンス預金として仕舞い込んできた。勿論、これは善悪の問題ではない。感謝することはあっても文句を言う筋合いはない。

日本と米国のバブルの違い

ここまで能書きを述べたのは、米国の住宅市場のいささかエキセントリックな方法で世界経済に与える影響と、それが故にその動向に目が離せない非常に重要な指標であることを説明する為である。

住宅バブル崩壊といえば日本の資産バブル崩壊とその後の失われた10年を思い起こすが、米国の状況を見ると実に上手くマネージしている。日本の場合、金融機関は節操なくゼネコンや不動産業界に投資し、桁違いの不動産を買い集め不良資産と不良債権が残った。全ては強欲の論理に基づいた損失で、巨額の税金を使って救済するしか手がなかった。

米国の場合、住宅価格上昇により需要が減退した時決定的に日本と異なったのは不動産及び建設業界の棚卸が適正レベルに管理されていたからである。供給側は売れ行きが減ったのは問題だが、それで業界全体が過剰債務に悩み不良債権化しなかった。更に住宅バブルで一国経済が失速するような馬鹿なことになってないということだ。

住宅バブルが波及しない訳

住宅市場の減速が他の業界に波及してない理由は二つある。一つは住宅市場の主力は中古住宅であり、日本と異なりきちんとした手入れをした中古住宅は新築よりよほど値打ちがあるからだ。中古住宅は買い替え市場であり価格が回復するまで待てる市場だ。

二つ目は新築住宅市場でITが仕事のやり方を変えたからだ。住宅建築会社はコンピューターで完成住宅の画像を確認し受注して初めて建築に取り掛かる。従って売れるものしか作らないトヨタ生産システムと同じコンセプトで、棚卸といっても紐付きで必ず売れる仕掛品というべきものなのだ。

主要住宅建築会社7社の在庫は7ヶ月になったが必ずしも危機的な水準ではないという。というのは需要減で分子が小さいため月数が多いように見えるが、需要が増えると急速に縮小する適切な範囲と見られている(モルガン・スタンレー社)。 建築会社の株価は下がったが経営危機に陥った訳ではないのだ。

住宅不況は続くが軽傷

このところ住宅ローン申請件数は再び増加し始め、販売減少ペースが減速しつつあり、供給の調整も進んでいるらしい。しかし、モルガン・スタンレー社は足元の需要とキャンセル情報、過去のデータを突合せ、実需は公式統計値よりも軟化しており前期比3割減と見ている。

市場のコンセンサスは住宅市場の減速は今しばらく続く可能性が高い、しかし米国経済へのインパクトはそれ程酷くない。年末商戦でも確認された。従って話は飛躍するが2007年の日本経済も悪くはなさそうだということで取りあえず終りたい。■

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目指せ、筋肉老人

2007-01-02 18:25:03 | 健康・病気

年は団塊の世代が退職を始める最初の年となる。彼等の巨額退職金を期待したビジネスや彼等の知恵や技術の伝承から将来の年金・医療費まで、団塊世代は生まれたときから死ぬまで相変わらず注目される。

何しろ日本で最も人口が多くそれだけで発信力がある上に、お金を沢山持ってて政治力がある世代なのだ。退職後も注目の的になる団塊世代のオーバープレゼンスを心配する声(日本経済新聞)があるのも当然だろう。

真面目な話、年金や医療費などでこの世代のオーバープレゼンスによる若い世代への問題先送りは何としても避けなければいけない。この世代の発信力がポピュリズムに流れると人口が多いだけに投票に反映し、その政治への影響力は極めて大きい。

プラスの方向に向かう為には彼等自身が余程努力せねばならないだろう。団塊世代は生まれた時から死ぬまである意味競争する運命にある。その中でも最も残酷で(勝つ見込みのない)最後のサバイバルゲームは衰える肉体との戦いであろう。

高齢者の医療費は75歳以上になると急上昇し、平均医療費の67倍になるというから今後更に高齢化が続くと医療費はパンクするのは火を見るまでもない。昨年4月に診療報酬を改定したのは至極当然の成り行きだった。

メディアがいつもの通り制度変更に困惑する一部の老齢者にのみ焦点をあて全体像を伝えなかった。こういう姿勢が問題を共有せず先送りする雰囲気を醸成する。医療費を如何に抑制するかは高齢化が進む先進国共通の課題である。マクロの視点も忘れないで欲しい。

齢化社会で医療費抑制の基本は予防医療が常識だ。しかし、それが具体的にどうあるべきかについてはそれほど明確になっていなかった。昨年12月にNYタイムスに掲載された記事(PERSONAL HEALTH 2006/12/19)は示唆に富む内容でありここに要点を紹介する。

題名「“ベビーブーマー症”にならない為には一二に運動、三四がなくて五に運動」が文字通り結論を示している。従来「毎日30分歩行で耐久力・心肺の健康・体重を適切に保つ為に十分」とした程度の運動ではなく、もっと激しい運動をして筋力をつけろと米国公衆衛生局(CDC)の発表と専門家の声を報じている。

それによると米国65歳以上の最大の致死傷害原因は「転倒」になったそうだ。老化とともに徐々に低下する筋力・骨の強度・俊敏性が転倒の危険性を高め、これを一般化して「ベビーブーマー症」というそうだ。名前はさておき老人が転んで骨折し動けなくなり急激に衰弱したという話は身の回りでもよく聞く。

転倒は姿勢・筋力・平衡力・柔軟性・耐久力の5要素をしっかり鍛えることにより防げるという。これら5要素は若い時から既に劣化が始まっているらしい。早いにこしたことはない、若い時から意識して身体を鍛え適切な栄養を取れと続いている。

転倒しにくい身体つくりとして毎日1520分のストレッチ、週3回のウォーキング・ジョギングと水泳・サイクリングを交互に行い、腿と体幹の筋力の強化に努め、サプルメント服用しビタミンD摂取を増やせという。毎日30分歩行とは大違いだ。

調査でもそれまで活発に運動していた中老年世代の人達は怪我を機会に全く運動しなくなりその後健康が悪化するケースが多いと言う。怪我をしてもその部分を避けてやれるところだけでも運動を続けることが重要とも報告している。

無理をしないで年相応に適度な運動をせよという通説には耳を貸さず、いつも目一杯の心肺能力と筋力のトレーニングを目指していた私にはまさに我が意を得たりの記事だった。しかも理屈にあっている気がする。私は老人ではないが最先端の老人予備軍だ。今後老齢化社会のトレンドを作る団塊世代の皆さん、「目指せ、筋肉老人」。■

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2007年大胆占い

2007-01-01 13:08:22 | 社会・経済

2007年度の世界経済減速は避けられない見通しとなった。米国の消費がスローダウン、欧州も牽引車のドイツに減速感が出てきた。輸出に頼るアジア諸国とエネルギー需要減で資源国経済への影響が避けられそうもない。しかしここに来て米国経済の軟着陸が見えてきたのが救いだ。

経済回復基調が続いてきた日本経済も影響を受ける。国内消費拡大でカバーできるかが成長継続の鍵となる。その中で安倍内閣が摩擦を乗り越えて改革路線を進め内需を拡大できるか、モーメンタムをキープできるか重要な役割を演じることになる。予算前提の2.2%経済成長は楽観的に過ぎ足を引っ張られるというのが私の予測だ。

1.       改革相次ぐ妥協で支持率低下、参院選前に安倍首相開き直る 官僚・族議員の攻勢でチーム安倍が機能せず求心力を失い、改革法案が次々と骨抜きになり支持率が40%前半まで低下、安倍首相開き直り党内守旧派と対決色を強め参院選が決戦場となる。

2.       消費伸び悩みで日本経済低成長、GDP成長率1.8% 米国経済減速し輸出・設備投資が鈍化、雇用改善するも賃金上昇頭打ちで消費に力強さが戻らず実質成長率2%を切る。

3.       米国経済軟着陸、GDP成長率2.8%に留まる 原油価格上昇頭打ち、住宅価格下止まり、株価上昇で埋め合わせ消費減速は避けられないが、1Qに金利下げを視野に入れ軟着陸に成功、成長率3%に迫る。イラク戦争の行方が3%+-どちらになるか影を落とす。

4.       中国経済過熱抑制策が始めて機能し成長率10%を切る 故主席改革が地方に行渡り、預金準備率・金利引き上げ等による固定資産投資の減少、輸出抑制施策の効果が出始める。米国景気の動向次第で振れ幅が大きく変化する見込み。

5.       欧州、BRICs経済の好調続くが年後半頭打ち感出る 好調だったEUも各国の事情は異なるが全体として減速の兆しがでるが、米国と比べ相対的に強さが残る。インド経済は堅調だが、エネルギー価格頭打ちでロシア・ブラジルの急成長は落ち着く。  

6.       日経平均18,000円突破、為替ユーロ>円>ドル安 オイルマネーなどが欧州経由の投資増で日経平均18000円を突破するも、足元の国内消費が弱く伸び悩む。日本の巨大な個人資産の動きに要注目。世界経済減速の中、欧州の多様性が相対的強さでユーロ高が進む(\160/euro, \110/$)。

7.       サッカー:アジアカップ連覇ならず、オシム成果が出始める オシムの考えるサッカーが浸透し、アジアカップの連覇は逃すが、欧州の強豪とのテストマッチで好成績を残し続投の声が高まる。

8.       日本人MLB活躍続く、松坂一発病に悩むも活躍、日本プロ野球低迷 日本人メジャー・リーガーの誰か一人は毎日活躍する。松坂はホームランを打たれ悩むもののチームの勝利に貢献する。一方日本プロ野球はファン離れが進み構造改革が避けられない状況になる。

今まで強気予想だったが、一転して2007年度は大胆とは言えず弱気になった。何故なら人はそれ程利口じゃないし忘れる、今年は弾みで間違いが起こり景気循環論的に谷間に向かう順番だと、私はそういう気がする。

2007年は米国が内側に向かい、困難を抱えながらも経済的にはユーロが第2基軸通貨としての位置を固め、政治的には米国は欧州との連携を求め、相対的に欧州が中国インドの台頭とあいまって多極化する政治経済の世界で久しぶりに存在感を示す年となるであろう。■

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