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誰が中国を止めるか

2014-01-27 18:27:36 | 国際・政治

中国の習近平指導部は最近になって言論統制を強めている。中国憲法の範囲内で市民権利向上の運動を展開した許氏に北京地裁が4年の実刑を下したと昨日伝えられた。今日も著名な市民運動家が逮捕されるというニュースがリアルタイムで流れた。更に日本で活躍する中国籍の朱教授が昨夏から中国公安に半年間も拘束され数日前に釈放されたと報じられた。先に言論の自由と大騒ぎした日本メディアも簡単に伝えるだけで不思議にだんまりを決め込んでいる。

中国は共産党政権維持の為だったらやりたい放題、日本だけでなく民主主義を建前とする欧米先進国の非難も犬の遠吠えみたいで全く効果なしだ。相手が中国だと世界中がだんまりで首をすくめてやり過ごす。それを中国も見透かしているようだ。昨年暮れに「誰も中国を止められない」と題して、中国のやりたい放題状況の記事を投稿した。

やりたい放題を見逃す理由は簡単で、中国の仕返しで経済関係を止められるのが怖いから、金の為には皆妥協すると書いた。近隣のASEAN諸国も日米欧の経営者も口をつぐむか、何しろ関係改善してくれ、さもないとビジネスが大きな影響を受けるという。実際、年間2000万台以上の巨大市場に入れなかったら、日本車は世界トップにならなかった。ドイツやアメリカの車メーカーはもっと大変なことになる。中国は世界最大市場を切り札に使っている。報道も仕返しが怖い。

中国の南シナ海や東シナ海への強引な進出は、北朝鮮の問題を含め東アジアの緊張を高めている。私は「誰も中国を止められない」と書いたがそれは短期的な視野に立つものだ。中長期的なテーマとして「誰が中国を止めるか」は全地球的テーマだと思う。経営者は3か月ごとの結果が問われ、政治家は2-3年内に選挙がある。一方、中国の共産党政権は通常10年、最悪の場合でも5年権力の座が保障されている。これが先進国の建前と本音の違いを生んでいる。

一方で中長期の視野を問われる商売がある。大学やシンクタンクの研究者達だ。お正月の特集で世界的に著名な学者の見方をテレビや新聞で見聞きした。彼等はほぼ全員同じ意見だった。異なる研究分野の学者が異なる理由で、中国がこのまま成長を続け米国が過去60年間果たしてきた世界のリーダーになることはないという。それは20-30年後の世界の姿で、この予測が現実になるか私が見届ける幸運に浴する可能性はまずない。

中国の未来が明るくないのは、一人子政策で急速に進む人口構造の歪、先進国を追随して機能した国営企業ベースの国家資本主義が早晩行き詰る、共産独裁が生む天文学的な汚職の広がり等々指摘されている。それらは今日既にある問題で現体制で改革される見込みが全くないものだ。35年の人口問題は既に手遅れで解がない(Eトッド博士)、租税回避地に流出した習近平や温家宝一族の資産は1-4兆ドルにもなる(エコノミスト)という。

その芽は既に表れている。米証券委員会(SEC)は米上場企業の中国での監査業務を不正会計を理由に半年禁止する判断をしたと囲み記事(日本経済新聞1/24)で伝えられた。このような小さな事件が改革にどう働くか注目しているが、正直悲観的だ。短期的な人権や経済の問題が積み重なり、それが中国の改革に向かわせる力になってほしい。だが、中国は自信を持ちすぎた。

かといって、先進国の民主主義システムが中国に考え直すよう強いる力はない。逆説的言うと安倍首相は孤独な戦いを強いられている。残念だが世界の共感を得ているようには思えない。「誰が中国を止めるか」、米国でも欧州でもない、Gゼロの世界では何もまとまらない。それは中国自身だと思う。つまり上記の学者先生の中長期的な視点に基づく予想が当たり中国がこけて、そこで中国は止まるということだ。先は長い。■

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