かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

籔睨み2008大統領選(4)

2008-02-17 21:56:22 | 国際・政治

追い風に乗ったオバマ

スーパー・チューズデーのあと大方の予想通り情勢はオバマ候補に一気に傾き、連続して7州の予備選に勝利し獲得代議員数でも逆転してしまった。ヒラリーは事態の好転を図って選挙責任者を交代させるところまで追い込まれた。最早オバマの勢いは止まらないのだろうか、予備選の勝利は時間の問題のようにも見える。

そうなると私の天邪鬼的な性格がムクムクと沸いてきた。大統領選を勝ち抜くのはそんなに簡単ではない。大統領を選ぶプロセスは気が遠くなるほど長い、その間に情勢が変る何かが起こらないとも限らない。起こるとしたら何か、例によってオバマ候補のリスク「大胆占い」をしてみる。

共和党は既に仮想対立候補をヒラリーからオバマに代えて、彼のあらゆる経歴や発言を洗い出し始めたという。メディアも今まで既存体制に立ち向かうダビデに見立てていたが、オバマが地球上の最強軍の司令官としてベストの選択なのかという視点で見始めた。

オバマを待つ三つの挑戦

オバマは個々の政策は具体的に示さず「変革」を連呼してきたが、それで大統領選を乗り切れるほど甘くはないだろう。元々オバマとヒラリーの政策には大した差が無いといわれてきた。オバマの行く手には三つの落とし穴が待っている。それは具体的政策・イデオロギー・人種差別だ。

窮地に追い込まれたヒラリーは個々の政策の議論の場に引き出し国民に選択を委ねる作戦を取るものと予想される。オバマが「変革」の中身を具体的な政策で打ち出さないと、いつかは大統領としての適格性に疑いをもたれ、有権者に失望される恐れがある。

ヒラリーのリベラルな政治姿勢が保守層の嫌悪感を招き、有権者の保守化が進む米国では予備選で勝てても本選では勝てないだろうと言われて来た。しかし、代わってオバマが主役になり焦点が当てられると、実は彼が本質的にヒラリーよりも更にリベラルであると見られる可能性がある。リベラルのレッテルが貼られイメージが出来上がると、本選では厳しいハンディになる。

最後に余り楽しい言い草ではないが、一部とは言えかなりの米国人の心の奥底に残っている「人種バネ」がキャスティング・ボートとして水面下で働く可能性があると私は思う。それは直接的ではなく非常に巧妙な形で出て来て、多くの人は差別だとすら思わないだろう。今、彼が暗殺される可能性すら公然の話題になっている。何という国だと思うかもしれないが、それが一方の現実だ。

最後に誰が決めるのか

リスクは他にもある。予備選では候補者が決まらず民主党全国大会まで持ち越し、投票権を持っているスーパー・デレゲート(代議員)の投票で決まる可能性が大きい。昨日のNYタイムスによると800人弱のうち約300人がまだ態度を決めてないという。彼らは民主党のエスタブリッシュメントであり、未だ決めかねているというのが実情のようだ。

それ以外のファクターとして、思わぬスキャンダルが露見するとか、9.11のような安全保障に関る事件、イラク戦争の急展開、経済危機など風向きを変える事態が残り10ヶ月で起こらないともいえない。その間に候補者は丸裸にされて適格性が徹底的に検証される。一晩で現首相が選ばれたプロセスに比べると何とも羨ましい。

今年初めの「大胆占い」で私はヒラリーが勝つものの予備選が泥沼化し傷つくと見たが、これほどの激戦になるとは予想しなかった。今迄の所両候補は節度を持ってネガティブ・キャンペーンを抑えているが、今後の展開は綺麗ごとでは済まなくなるだろう。

共和党候補が着々と本選の準備を進める中で、民主党候補が決まらずコップの中で殴り合いをする事態は決して助けにならない。勿論、現状ではオバマが最有力の大統領候補であることに違いはないが、その座は見た目より危ういというのが私のガッツ・フィーリングだ。■

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 偏見を恥じる、その後 | トップ | 東芝HD DVD撤退を読み解く »

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事