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東芝HD DVD撤退を読み解く

2008-02-18 22:35:35 | デジタル・インターネット

このところ以前に書き込んだ予測が次々と外れて、いささか恥かしい思いをしている。その時点で論理的な帰結と思われる予想をした積りだったのだが、今から考えれば前提や論理が必ずしも正しくなかった。今回は東芝が突如HD DVDから撤退する観測が流れ、又もや予測が外れた。

昨年1月に「2規格対応はインパクトなし」と題してCES(家電見本市)に出品された「ブルーレイ」と「HD DVD」の2規格対応製品をインパクトの無い無意味な商品だと評価した。その心は、戦いの場は光ディスク方式の選択ではなく、光ディスク対ダウンロードであり、今後の光通信の普及を考えるとダウンロードが主流になるだろうというものだった。

http://blog.goo.ne.jp/ikedaathome/d/20070109 

当時、既にネット配信によって音楽CDの売り上げは急落し、DVDは全米最大のウォールマート等でダウンロードサービスが導入されていた。その後書籍のネット配信も商業化された。光媒体が主役から降りるのは時間の問題のように見えた。だが、高精細度映画の大容量データのネット配信に必須の光通信の世界的普及は、まだ時間がかかりそうなのも事実だった。

増田和夫氏はネット配信はマイクロソフトなどIT産業主導下にあり、彼らは光ディスク規格を分裂させて普及を遅らせ、時間稼ぎしてネット配信の導入に持っていこうというシナリオであったが、映画産業はIT産業支配を嫌い光ディスク規格の一本化を急いだと分析している。(日経BP2/18

かつてのVHSとベータのVTR方式の統一には13年かかった。今回たった2年で規格統一が進んだ理由はVTRの学習効果があったろうが、この分析が説くIT産業と映画産業の主導権争いが背景にあったというのは極めて説得力があり、私の予測では見落とされていた。

マイクロソフト・インテルがかつてパソコン業界でやってきた独占的体質を警戒され、デジタル家電との連携は全てうまく行かないだろうとかつて予測したことがあるが、今回もその法則が働いたのかもしれない。HD DVDがマイクロソフトと連携した時点で運命付けられたとも取れる。

まだ正式には認めていないものの、東芝の撤退の噂の素早さには驚いた。日本企業としては異例の速さであり、経営トップの意思決定に敬意を示したい。日本企業の場合、長く開発に関ってきた現場が抵抗し経営判断が遅れて大きな損失を出した例は多い。現場に限らず組織が官僚化し既得権益を守る硬直体質になってしまうからだ。この難しい局面で西田社長がいたことに東芝は感謝すべきだろう。■

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