かぶれの世界(新)

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残ったのは病院と農協、そして郵便局(続)

2015-04-24 18:25:50 | 日記
楽しい話題ではない。地方の農村部で何が起こっているか私が見た希望のない状況を紹介する。

昨日今日と2日かけて畑の草刈りをやった。10日前に田舎に来た時はまだまだと思っていたが、雑草が腰の高さまで伸び我家の畑は手入れされた周りの田畑から際立っていた。近所迷惑なのは分かっていたが中々その気にならず先送りしていた。だが放置したままだと乾燥した天候で雑草の茎が堅くなり、安っぽい草刈機では歯が立たなくなる。時間が経てば経つほど草刈りが難しくなる。

昨日午前中集落の班長、と言っても私より一回り以上若い主婦、が市報を配布がてら自治会費(7000円もする)を集金に来て長々と世間話した。ご近所の消息等近況を知るまたとない機会なので長話は嫌じゃないが、余り楽しい話題はない。聞けば聞くほど独居老人の高齢化が進み集落の先行きが不安になった。同時に我が家の荒れた畑をせめて草刈りだけでもやろうと思った。少し日が傾いた午後遅くやっと草刈りに着手した。

昨日遅くなったのでやり残した部分を今日の午前中にやった。30分位経った頃、隣にある田んぼを農地バンク経由で貸して稲作しているKさんがトラックターで通りかかり、またまた長い雑談が始まった。会社勤め時代と違い時間厳守の会議等ないから、話が尽きるまで雑談が続く。あっさり話を打ち切ったりするとマズイ。話の途中で残った部分は大きな機械を使って草刈りしてあげると彼から申し入れがあり、私は有難くお願いした。

彼は農協を退職後に機械を導入する条件で父親と話し合い農家を引き継ぐことにしたと言うが、それでも特に水に入る(水田のことらしい)と体がきついと言われた。農協と言えども定年までサラリーマンをやった後、彼の様に本格的な農業をやるのは大変のようだ。周りには若い頃会社勤めをした後実家に戻り農業を継いだ人ばかりだ。

彼に再度草刈りをお願いして、草刈機と燃料缶を持って今度は緩斜面の畑に移動した。母が元気な頃はここで自家用の野菜を作っていたが、今では雑草に覆われ見かけは完全に耕作放棄地だ。隣が住宅地なので雑草伸び放題という訳にはいかない。作業に取り掛かろうとすると今度は妹と同級生のSが軽トラックで通り掛かりマタマタ雑談が始まった。

隣の集落に住む1年下のOが孤独死したのを知っているかと、車を降りるなり彼は聞いた。最初心当たりが無い名前だったが話を聞くにつれ、散歩コースの堤防沿いの小さな家に住む愛想のいい小柄な男性だと分かった。見つかった時は死後1週間、飼い犬と金魚も死んでいたという。近くに住む父親には知らせてないという。気持ちは身に沁みてわかった。私もここでは独居老人なのだ。

彼は独身だったが珍しくないことだとSは言った。彼の親戚の甥や姪も独身がゴロゴロいるという。彼によれば結婚して家族を食わせるのは難儀なだけ、独りで気楽にやりたいという。同じ理由で農業もやりたくない、苦労だけでお金にならない、外に勤めに出る方が余程実入りが良いと。彼は市内のあちこちに耕作放棄地があるという。特に山村部にあるらしい。彼も若い時は都会で会社勤めした、農業のプロじゃない、今になってとても手広く農業をやれないという。私は看護婦の奥さんが家計の足しになっているのだろうと思う。

話題は変わって先に亡くなった長老の息子兄弟の行く末が心配と言う。私も凄く気にしている。長老は子供の為に土地を買い集め農機具を揃えて手広くやる積りだった。しかし、長老が亡くなった後兄弟は田畑を全て他人に貸し農業を止めた。今、何をしているかよく分からないという。彼等も若い頃は会社勤めだった。もう中年を過ぎる年齢に達し結婚も出来ないだろう。話をしていて暗然たる気持ちなって、言葉に詰まり草刈りを始めた。緩斜面の’元’畑の草刈りは午前中に何とか終わった。シャワーを浴び洗濯して遅い昼飯、今日は終わり。■

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