霧の峠から雨の松山へ

昨日の午前中に松山に向かう途中で急にバスの速度が落ちて居眠りから目が覚めた。窓から見える景色が殆ど何も見えず真っ白、伊予市近くの犬寄峠辺りで１０ｍ前方を走る車のライトが何とか見えた。その数分後に高速道路を降りて霧が薄まり土砂降りの国道に出た。実家を出た時は大洲盆地は濃い雲に覆われていたが、雨は降っていなかったのだが。

松山に着き藤原町でバスを降りて雨中の路地道を歩くと、狭い路地道から小さな神輿を担ぐ若者の元気な声が聞こえて来たて。初めは子供が担ぐ神輿が、次に若い女性の神輿、次に若者の神輿が、雨中の狭い路地道で出会った。松山市は鉢合わせで有名な「けんか神輿」で知られた秋祭りだが、路地裏道でも小さな神輿があると後から聞いて知った。大人も子供もずぶ寝れになって歩いてた。

友人と何時もの食事を済ませて昼過ぎに松山市駅に向かうと、子供達の神輿がやって来て駅構内に入ってゆき構内で大声をあげていた。まさか駅構内に神輿が入っていくとは思わず驚いた。しかし、駅構内を歩く人たちは何ら気にすることなく慣れた様子で通過していった。

市駅端のバス乗り場に行くと数人が並んでバスを待っていたが、バスは一向に来なかった。空港や近郊の町に向かうバスは次々と来るのに、何故か県南部の宇和島に向かうバスは来なかった。１０分近く待って不安になりバス会社の営業所に電話したが、運行状況に異常はないとの返事が返ってきた。他の誰も営業所に問合せせず黙って待っている乗客に私は不思議に思った。

私の質問の仕方に問題があったようだ。松山営業所に電話した時に今月から時刻表が変わったと初めて聞いた。何故バスが来ないのか、事故があったのかとしか聞かなかった。新しい時刻表通りの運行状況だ、何も変わりがないという返事だと私は気付かなかった。新時刻表だと１時間以上の待ちになった。私と一緒に列に並んでいた乗客にそのことを伝えると、皆一斉に散って行った。

１時間後にバス乗り場に戻ると新たに時刻表が変わったと知っている乗客が並んでいた。その中には見たことのある顔の女性がいた。彼女の住む卯之町営業所で新しい時刻表を貰ったので、時刻表の変更を知っていたと言う。彼女と喋っているうちに私は打ち解けて冗談を言い合うようになった。冗談で笑わせると気安く肩をたたかれ、彼女と時刻表仲間になれたと思い嬉しかった。

戻りのバスが犬寄峠を越えた辺りは霧が晴れていたが、内子町を過ぎた辺りから雨が降り始め大洲盆地は雨だった。峠の霧や大洲の雨は往路程酷くはなかった。朝、出掛ける時に持参した傘が役に立ったが、それでも上着やバッグが濡れた。どうも私は松山から雨を持ち帰ったようだ。■