閣議決定!
政府は昨日夕方の臨時閣議で憲法解釈を変更し集団的自衛権を使えるよう閣議決定、マスコミ各社はトップで報じた。私は以前投稿したように「大事な友人が困った時に出来ることをするのは人としての務め」という単純な発想で賛意を示した。他人の血が流れようと我が身の方が大事というのは身勝手で真の友じゃないと。だが、その是非或いは善悪についてはこの記事では議論しない。
私の意見は別として、マスコミ各社はどこも「平和主義国家として自衛隊の海外活動を制限してきた戦後の安全保障政策は大きな転換点を迎えた(日経)」という捉え方をしているようだ。この問題認識は正しいと思うがやや抽象的で、一方で「今ここにある危機」に対処するという現実的な認識が欠けていると私は考える。
メインテーマは中国
安倍首相が集団的自衛権を使えるよう急いだ主な理由は、過去5年間の中国の東アジアにおける好戦的で一方的な軍事行動に対処する仕掛けを作ることだと理解する。このテーマを抜きに集団的自衛権を論じる現状に違和感がある。この問題は今後長期にわたり我国に突き付けられた難問であり、逃げずに正面から議論して我が国のあるべき姿を追求して行かねばならない。
しかし、マスコミ報道は「日本が戦争する国になる」とか、「子供が戦争に行かされる」とか、凡そ現在までの自公の議論に比べると、ありえない単細胞的な発言を頻繁に報じて議論を矮小化しているように私は感じる。この機会に国を挙げて考えるべきは中国とのお付き合い方だ。
今後10年の最大テーマ
過去5年の中国の好戦的な外交姿勢が無ければ日本が集団的自衛権に向かうことは無かったと思う。国民の拒絶反応したはずだ。中国は遠からず世界最大の経済・軍事大国になる、10年後も非民主的かつ好戦的な独裁国で、今後経済・軍事力が相対的に強くなると、更に強圧的な対外政策をとる可能性が強い。歴史的に中国は相対的な力関係を見計らって力を加減してきた。
一方頼りにしてきた米国の相対的な影響力低下は避けられない。このような環境下で、安倍政権は集団的自衛権を使い米国との連携を強めて中国と対応する選択をした。この決定は少なくとも今後10年の日本の在り方を決めることになるだろう。その時中日関係は単独では現在の中越関係程度だったら何が起こるだろうか。そういう可能性の議論をすべきだと私は思う。
死後の世界
その議論の為には、20年後30年後の中国がどうなるかが重要になるだろう。10年後、日本は世界のパワーポリティックスの主要プレイヤーではなくなる可能性がある。ただ、中国にも持病がある。急速に老齢化が進み、個人が先進国並みに豊かになる前に経済成長はピークを打つ、そんな中国に何が起こるか分からない。凄く興味があるが、どうせ私の死後の世界だ。■