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ウクライナ情勢ーマトリョーシカ症候群

2014-03-30 23:27:47 | 国際・政治

 10日前に「ウクライナ情勢の損得計算」は今のところロシアの「やり得」みたいになっているが、長期的には我慢比べになり「時間」は欧米側に味方するという見方を紹介した。経済制裁を受けたロシアのダメージは時間の問題でボディブローとなって効いてくると。

 ロシア経済には既に巨額資金が流出し深刻な影響が出始めていると報じられている(日経3/29)。1-3月期に7兆円の資金が流出し、今年16兆円に達する見込み、追加制裁が発動されると成長率がマイナス1.8%になると世界銀行は予測しているという。

 だが、ロシアの人達はクリミア編入に高揚してある種の興奮状態にあり、経済的苦境という現実に痛みを感じていないらしい。プーチン大統領の支持率はうなぎのぼりにあるという。現在のところ寧ろ制裁を加える欧州側の方が痛みに敏感なようだ。

 英独仏の制裁逡巡はウクライナ情勢は欧州の問題ではないと考えている訳ではないと私は思う。バルト三国やポーランドなど旧ソ連圏は天然ガスを100%ロシアに依存しているが対ロ強硬派、一方独仏の依存度は30%前後なのに対ロ経済が損なわれることを恐れれいる。

 このネジレに加えてクリミア共和国の先住民族であるクリミア・タタール人の自治権拡大を大幅に容認する動きがロシア側に出てきたことだ。ウクライナの少数民族ロシア人の独立を認めると同じ論理を当てはめればタタール人の独立若しくは自治権を認めない訳にはいかない。まるでロシア-ウクライナ-クリミア-タタールと次々出てくるマトリョーシカ人形だ。

 このマトリョーシカ症候群はパンドラの箱的な世界中の民族自治権拡大の動きを刺激し火をつける恐れがある。スペインのバルセロナ、アラブの宗派対決やクルド民族から、英国のスコットランドやカナダのフランス語圏など。多分最もリスクが大きいのは中国のチベットとウイグルだろう。第二次大戦後の国境策定はイスラム諸国を分断し、民族紛争の火ダネになる恐れが山ほどある。

 ウクライナ-クリミア-タタールには世界的にハイテック化されたテロを伴う民族紛争を引き起こす恐れがある。数年後にマトリョーシカ症候群が世界各地に伝染し、振り返るとクリミアがパンドラの箱を開けるきっかけになったということにならないことを祈りたい。

 例によって私の大胆予測は欧州の実質的な盟主ドイツの動向がカギ、国内の慎重派と旧東欧圏の突き上げを受けるだろう。ロシア人とドイツ人のどちらが我慢強いかも問われる。もう一つは軍事介入をしないと公言した米国の金融制裁がどのくらいの威力を発揮するか試されることになると予測する。だが、ロシアよりマトリョーシカ症候群の世界的な伝染の方が私は怖い。■

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